

運観旅第七四号
平成八年四月一日
旅行業法施行要領
第1 定義(法第二条)
1 旅行業(法第二条第一項)
〔1〕 報酬について
(1) 事業者が法第二条第一項各号に掲げる行為を行うことによって、経済的収入を得ていれば報酬となる。
(2) 主催旅行のように包括料金で取引されるものは、旅行者から収受した金銭は全て一担事業者の収入として計上されるので、報酬を得ているものと認められる。
(3) 行為と収入との間には直接的な対価関係が無くとも、以下に示すような相当の関係があれば、報酬を得ていると認められる。
(例) 旅行者の依頼により無料で宿を手配したが、後にこれによる割戻しを旅館から受けている場合
〔2〕 法では旅行業務について、基本的旅行業務(運送又は宿泊についての業務)と附随的旅行業務(運送又は宿泊以外のサービスについての業務)とに区分し、後者は前者に附随して行う場合に限り旅行業務となるとしている。したがって、以下の場合には、旅行業に該当しない。
(例)
1) 運送又は宿泊以外のサービスについてのみ手配し、又は旅行者に提供する場合(プレイガイド、ガイド等)
2) 運送事業者が行う日帰り旅行、宿泊事業者が行うゴルフや果樹園との提携企画等運送又は宿泊部分を自ら提供し(代理、媒介、取次、利用のいずれにも該当せず、したがって基本的旅行業務とならない。)これに運送、宿泊サービス以外のサービスの手配を付加して販売する場合
〔3〕 運送機関の代理人として発券する業務のみを行う場合は、法第二条第一項第二号に該当するものであるが、同項本文の規定により旅行業に該当しない。(航空運送代理店、バス等の回数券販売所等)
〔4〕 旅行業務は、旅行者から直接依頼を受け、又はサービス提供機関のために旅行者と直接取引をする等旅行者との間の何らかの契約行為を伴う業務に限るものであり、旅行者に対して直接債務を負わない旅行業者の下請手配代行者(いわゆる「ランドオペレーター」)の手配行為は、旅行業務に該当しない。
〔5〕 以下のように、行為の反復継続の意思が認められる場合には、事業性が認められる。
(例)
1) 旅行の手配を行う旨宣伝、広告をしている場合
2) 店を構え、旅行業務を行う旨看板を掲げている場合
〔6〕 旅行契約を締結する場合の代金を、営業所において旅行業者が直接収受せず、金融機関、郵便局等旅行業者以外の者(以下「第三者」という。)を経由して収受する場合の取扱いについては、以下による。
(1) 料金収受代行機関を取り扱う第三者は、以下の条件を満たす必要がある。
(イ) 当該者が、電気・ガス・水道料金を含む公共料金の収受その他の様々なサービスについての料金収受代行業務を取り扱っており、金融機関又は金融機関に準ずるものとして社会的に認知されていること。
(ロ) 旅行代金の支払いが、当該者に対する支払いをもって旅行業者への支払いになるよう措置されていること。
(ハ) 当該者が、旅行業務については、旅行契約に係る取引のうち、金銭収受代行業務以外のものを一切行っていないこと。
(2) 契約の変更若しくは解除又はそれらに伴う精算若しくは取消料の収受については、第三者を介さず、旅行業者と直接行うこと。
(3) 旅行業者から第三者に支払われる旅行商品の取扱いに対する対価(代金収受代行業務に対する対価)には報酬性を持たせないこととすること。
2 主催旅行(法第二条第四項)
〔1〕 旅行計画の要件
(1) 日程等は計画として定まっていればよく、募集前に手配を完了していることを要しない。
(2) 以下のような事例は、複数の主催旅行の計画が同時に提出されているものとしていずれも主催旅行に該当する。
(例)
1) 出発日が一定期間中何時でも可とするもの
2) 幾つかのオプションを組み合わせることができるアラカルト型の旅行であるもの
(3) 目的地が明示されないミステリーツアーの類も、単に明示されていないだけで計画としては定まっているのであるから、主催旅行に該当する。
〔2〕 募集の要件等
(1) 募集とは、旅行契約(旅行業務の取扱いに関する契約)の申込みを旅行者に対し誘引することをいい、運送事業者又は宿泊事業者の代理人として運送契約又は宿泊契約の申込みを誘引するにすぎないものは含まない。単一のサービス機関によって提供されるサービスについての宣伝、広告であって、サービス提供機関名が明示されているものは、ほとんどの場合主催旅行の募集に該当しない。
(2) 募集の方法は問わない。新聞等への広告、ポスター、パンフレット、ちらし、口頭による勧誘、ダイレクトメール、いずれも旅行契約の申込みを誘引するものは募集となる。
(3) 旅行業者又は旅行業者代理業者以外の者(オーガナイザー)が旅行者の募集に関与する場合の取扱いについては、以下による。
(イ) オーガナイザーが、その名において旅行者との間で旅行契約を締結する場合は、オーガナイザーの無登録営業となる。また、旅行業者の名において旅行契約を締結する場合でも、オーガナイザーにおいて申込みを受け付け、旅行代金を収受する行為は、無登録営業となる。したがって、旅行業者はこれらオーガナイザーより手配を引き受ける等、これらの者の違法営業に関与してはならない。
(ロ) 次の例のように、相互に日常的な接触のある団体内部で参加者が募集され、オーガナイザーが当該団体の構成員であることが明らかな場合におけるオーガナイザーによる参加者の募集は、主催旅行の募集とはならす、この場合、旅行業者は、オーガナイザーから手配旅行契約で引き受けて差し支えない。
(例)
1) 同一職場内で幹事が募集する場合
2) 学校等により生徒を対象として募集する場合
(ハ) (ロ)に規定する以外のオーガナイザーから手配の依頼があった場合には、当該オーガナイザーの集客募集等が実質的に旅行業者の行う主催旅行の募集と類似しており、旅行者に混乱を与え得るものであることから、旅行業者は主催旅行として取り扱わなければならない。この場合に旅行業者は、当該オーガナイザーを関与させることなく、直接に旅行者から旅行代金を収受して旅行契約を締結しなければならない。
(4) 以下の事例のように、オーガナイザーが旅行業務に該当しないイベント等の企画を実施する場合の募集広告の表示等については、次による。
(例)
1) 海外留学ツアー
{/海外留学あっ旋―イベント事業者/旅行手配―旅行業者/
2) ハネムーンツアー
{/挙式―イベント事業者/旅行手配―旅行業者/
3) 交流ツアー
{/交流行事―イベント事業者/旅行手配―旅行業者/
(イ) 旅行手配部分については、旅行業者が全ての責任を負うことを明示すること。
(ロ) 旅行部分の代金を分離し、参加者は旅行業者に支払うべきものとすること。
(ハ) 募集広告上の表示は、原則として以下の事例のいずれかに従うこと。
(例)
1) 主催者を旅行業者のみとし、費用も全額を旅行業者に支払う。
共同企画
|
イベント事業者、旅行業者
|
主催
|
旅行業者
|
費用
|
全費用
|
費用支払先
|
旅行業者
|
2) 費用、責任をイベント部分と旅行部分に分けて表示する。
イベント主催
|
イベント事業者
|
旅行主催
|
旅行業者
|
費用
|
イベント参加費用と旅行費用を分離表示
|
費用支払先
|
旅行費用については旅行業者
|
3) 旅行部分を含まない企画にしてしまう。
主催 イベント事業者
費用 イベント参加費用のみ
|
旅行についての表示例
|
(イベント参加者は〇〇旅行業者主催の××ツアー(△△円)に参加できます。(別途旅行業者に申し込んで頂きます。))
|
3 主催旅行契約(法第二条第五項)
主催旅行契約は、旅行業務の取扱いに関する契約であり、旅行業務の取扱いの結果成立した運送契約、宿泊契約等は含まない。
第2 登録(法第三条―第六条、規則第一条―第四条)
1 登録申請の区分等
〔1〕 登録の申請は、旅行業の業務の範囲の別(法第四条第一項第四号)を示して行う必要がある。業務の範囲の別を超えて旅行業を営む場合は、無登録営業となる。
〔2〕 旅行業者は、法第一四条の二の規定による他、他の旅行業者の代理はできない。
〔3〕 旅行業者代理業については、登録上、代理する旅行業者(「所属旅行業者」という。)は一社に限られる(法第六条第一項第九号)。所属旅行業者との代理関係が失効したときは、法第一五条の二の規定により、既存の登録はその効力を失うので、旅行業者代理業者がその所属旅行業者を変更するためには、改めて登録の申請をしなくてはならない。
2 登録事項
〔1〕 案内所、出張所、連絡所、サービスステーション等の名称の如何を問わず、実質的に旅行業務を取扱う場所は、営業所としての登録を受ける必要がある。
〔2〕 パンフレットの配布のみの場所は登録を要しないが、その場所で契約の申込みを受け付け、申込金を受領する場合は、営業所の登録が必要である。
〔3〕 航空券の発券等、運送機関の代理行為のみを行う場合であっても、旅行業者が行う場合は旅行業務となるため、営業所の登録が必要である。ただし、運送サービスを提供する者のため、旅行者に対する運送サービスの提供について代理して契約をする行為のみを行う場所であって、次の要件の全てを満たすものについては、営業所の登録を要しないこととする。この場合、登録を要しないことについては、事前に承認を受けるものとする。
(イ) 当該場所で取り扱う航空券、乗車船券等の範囲は、旅行業務に関する取引の公正の維持等の観点から問題を生ずる可能性が小さいと認められる定型的なものに限ること。
(ロ) 当該場所に、当該運送サービスに係る運送事業者から当該旅行業者へ接続するオンラインシステムの端末機器が設置され、航空券、乗車船券等がこれを使用して発券されるものであるか、又は、発券に関してこれと同等程度の正確さが担保されるような措置が講じられていること。
(ハ) 取引の公正の維持及び旅行者の利便の確保のため、適切な担保措置が講じられていること。
〔4〕外務員が常時一定の場所で契約の申込みを受け付けているような場合については、施設その他の面で実質的に営業所としての体裁を整えているか個別に判断するものとする。
〔5〕 主たる営業所とは、旅行業務に関する営業の本拠となる営業所をいい、申請者の住所、登記簿上の会社の本店の所在地と必ずしも一致する必要はない。
〔6〕 役員とは、概ね次に掲げる者をいう。
(イ) 合名会社 定款をもって業務を執行する社員を定めた場合は、当該社員。その他の場合は、総社員
(ロ) 合資会社 定款をもって業務を執行する無限責任社員を定めたときは、当該無限責任社員。その他の場合は、総無限責任社員
(ハ) 株式会社及び有限会社 取締役及び監査役
(ニ) 財団法人及び社団法人 理事及び監事
(ホ) 特殊法人 総裁、理事長、副総裁、副理事長、専務理事、理事監事等法令により役員として定められている者
3 添付書類
〔1〕 「旅行業務に関する事業の計画」は概ね第一号様式による。
〔2〕 「旅行業務に係る組織の概要」には、旅行業務を取り扱う部局の組織図、各部局ごとに取り扱う旅行業務の概要及び従業員数等を記載するとともに、旅行業務取扱主任者を明示すること。この場合、国内旅行のみを取り扱う営業所と海外旅行までを取り扱う営業所の別を明記すること。
〔3〕 設立後最初の決算期を終了していない法人の申請に係る規則第一条の三第一号ニの書類は、商法(明治三二年法律第四八号)第三三条第二項に規定する会社設立時の貸借対照表を提出すれば足りる。
〔4〕 規則第一条の三第一号ホの書類は、次のとおりとする。
(イ) 法第六条第一項第一号から第三号及び第五号のいずれにも該当しない旨の役員の宣誓書
(ロ) 法第六条第一項第七号については、申請者が旅行業務取扱主任者として選任する事を予定している従業員(雇用することが確実であると認められる者を含む。)に係る次に掲げる書類
1) 旅行業務取扱主任者認定証又は旅行業務取扱主任者試験合格証の写し
2) 本人の前記(イ)に掲げる書類
3) 雇用することが確実であると認められる者については、本人の同意書(他の会社から出向する予定の従業員にあっては、本人の同意書及び出向に関する契約書の写し)
(ハ) 決算書類に関する次の書類
1) 公認会計士又は監査法人による財務監査を受けているときは、当該監査証明
2) 前記以外の場合にあっては、納税申告書の写しその他の資産負債の明細を示す書類
〔5〕 規則第一条の三第二号イの書類中「住民票」とあるのは、外国人にあっては「外国人登録済証明書」とする。
〔6〕 規則第一条の三第二号ロの「許可」とは、民法(明治二九年法律第八九号)第六条の営業の許可をいう。
〔7〕 規則第一条の三第二号ニの書類は、次のとおりとする。
(イ) 申請者に係る前記〔4〕(1)(イ)の書類
(ロ) 前記〔4〕(1)(ロ)及び(ハ)の書類
第3 登録審査(法第六条、規則第三条及び第四条)
1 旅行業務に関する不正な行為
旅行業者の使用人として横領その他の経済事犯に問われた場合等が該当する。
2 旅行業務取扱主任者(法第六条第一項第七号)
法第六条第一項第七号の基準の取扱いについては、次のとおりとする。
(1) 法第一一条の二は単に主任者の選任のみならず、主任者をして必要な管理、監督を行わせるよう義務付けているのであるから、規則第十条に掲げる業務を管理、監督できる地位に主任者はいなければならない。したがって大規模な営業所において一人の主任者ではこれらの管理監督が十分できない場合は、複数の主任者を選任しておく必要がある。
(2) 主任者が欠けた場合に備え、できるだけ職務代行者をあらかじめ主任者として選任しておくこと。
3 財産的基礎(法第六条第一項第八号)
(1) 繰延資産とは、商法第二八六条〜第二八七条に規定する創立費等をいう。
(2) 営業権とは、商法第二八五条の七の暖廉をいう。
(3) 規則第四条第二項により資産の増加が認められる場合は、市場性のある資産の再販売価格の評価額が、基準資産表計上額を上回る旨の証明があった場合とする。
(4) 規則第四条第二項により資産の額が減額される場合とは、1)債権の保全されておらず、請求権の行使ができない資産、又は相手方の倒産等により回収不能と認められる資産を計上していた場合、2)債権の存在が明らかでない資産を計上していた場合とする。
(5) 規則第四条第三項により資産の増減がなされる場合は、次の場合とする。
(イ) 公認会計士又は監査法人による監査証明を受けた中間決算による場合
(ロ) 増資、贈与、債務免除等があったことが証明された場合
第4 更新登録(法第六条の二及び第六条の三、規則第一条)
1 添付書類
原則として新規登録に準じる。
2 更新登録の審査
新規登録に準じる。
第5 変更登録(法第六条の四第一項及び第二項、規則第四条の二)
1 添付書類
新規登録の添付書類〔1〕、〔2〕、〔3〕、〔4〕(ロ)、(ハ)の書類を添付する。
2 変更登録の審査
法第六条第七号及び第八号に該当するものでないことについて新規登録に準じて審査を行う。
第6 登録事項の変更の届出(法第六条の四第三項及び第四項、規則第五条)
1 申請者に係る変更
(1) 個人の登録を受けている場合に、他の個人に事業を譲渡する場合は、変更手続によらず、譲受人が新規に登録を受ける必要がある。
(2) 個人営業を法人営業に改める場合は、変更手続によらず、登録を申請し直す必要がある。
(3) 法人の組織変更については、以下の場合を除き、変更手続によらず、登録を申請し直す必要がある。
(イ) 有限会社と株式会社との間の変更
(ロ) 合名会社と合資会社との間の変更
(4) 住居表示に関する法律(昭和三七年法律第一一九号)の規定により、住所又は所在地の名称が変更された場合には、法第六条の四第三項の規定は適用がないので、変更手続を行うことを要しない。
2 添付書類
規則第五条第二項第一号の添付書類は、第2、3、〔4〕(イ)に準ずる。
3 その他
(1) 旅行業者が法第四条第一項第五号に掲げる事項の変更の届出をした場合において、旅行業者代理業者の廃止の場合には、法第一五条の二の規定により当該旅行業者代理業者の登録の効力が無くなり、登録行政庁が職権により登録を抹消することとなる。
(2) 変更の届出については法第六条の規定の適用は無く、登録が拒否されることはないが、届出内容に新設営業所において主任者が選任されておらず、あるいは役員が欠格事由に該当する等法第一九条第一項に該当するものが含まれていれば登録の取消等を行うこととなる。
第7 旅行業務取扱主任者(法第一一条の二及び第一一条の三、規則第一〇条―第一四条、第二〇条、第二七条の二)
1 選任義務等
(1) 法第一一条の二第一項の規定は、単に主任者を選任しておけばよいというものではなく、規則第一〇条に定める職務について、主任者として管理・監督せしめる義務も定めている。
(2) 管理・監督は、実質的になされれば足り、職制上主任者が管理監督者の身分にあることを要しない。
(3) 主任者資格は、現行法上試験合格者のみであるが、旅行業法の一部を改正する法律(昭和五七年法律第三三号)附則第五条第一項により、同法による改正前の旅行業法の規定により資格認定を受けた者(以下「認定資格者」という。)も試験合格者とみなされる。
第8 旅行業務の取扱いの料金(法第一二条、規則第二一条)
1 掲示料金表
(1) 法第一二条第一項の規定により掲示すべき料金は、旅行者から収受する料金のみであり、運送機関等から収受する手数料等は、掲示する必要はない。
(2) 主催旅行については、料金掲示の義務はない。(ただし、法第一二条の七の規定により、パンフレット等に旅行の対価に関する事項を表示する必要がある。)
(3) 掲示料金表の様式は、概ね第二号様式とする。
2 取扱料金の明示等
(1) 旅行者から手配を依頼されたときは、法第一二条の四の規定により、契約締結前に旅行者に取扱料金に関する事項を説明しなければならない。(規則第二五条第二号ハ)また、契約を締結したときは、本件事項を記載した契約書面を旅行者に交付しなければならない。(規則第二七条第二号ハ)
(2) 掲示料金を超えて旅行者から料金を収受した場合は、法第一三条第一項第一号に違反することとなり処分の対象となる。
第9 標準旅行業約款(法第一二条の三)
(1) 法第一二条の三の標準旅行業約款は、平成七年運輸省告示第七九〇号をもって公示されている。
(2) 標準旅行業約款の取扱いについては、平成八年運観旅第 号「改正標準旅行業約款について」に規定するところによる。
第10 取引条件の説明、契約書面及び広告(法第一二条の四、第一二条の五、第一二条の七及び第一二条の八、規則第二五条〜第二七条、第二八条の二、第三〇条)
(1) 取引条件の説明は、当該旅行に関するサービスの提供を受ける権利を表示した書面を交付するもの以外の場合は、書面を交付して行わなければならない。ただし、書面を交付しなくてよい場合においても、約款又は料金表の掲示があることをもって取引条件の説明とすることはできない。
(2) 取引条件の説明を書面で行った場合において、その記載内容に従った契約がなされたときは、当該記載事項については、法第一二条の五の規定による契約書面の交付がなされたものとして取り扱う。
(3) 法第一二条の五の契約書面は、数種の書面(領収書、確定書面(最終日程表)等)によって要件を満たすことも認められる。
(4) 法第一二条の五に規定する「サービスの提供を受ける権利を表示した書面」とは、航空券、乗車船券、宿泊券等をいう。これらの券類によって表示されない事項は、他の書面を交付して、補わなければならない。
(5) 主催旅行に関する広告及び取引条件の説明に使用する書面の基準については、主催旅行に関する広告の表示基準等について(平成八年運観旅第七四号)に規定するところによる。
第11 外務員(法第一二条の六、規則第二八条)
(1) 法第一二条の六第一項の外務員証の交付の範囲は、旅行業者の役員又は使用人に限られる。使用人とは、旅行業務の実施に関し、旅行業者の監督の下に業務を行う者をいい、その者の行為については、旅行業者は使用者責任を問われるほか、その結果について、法第一二条の六第三項の規定により、責任を負うこととなる。また、使用人の違法行為については、法第三一条の両罰規定により、使用者も処罰の対象となる。
(2) 使用人等以外の者が外務員証を所持し、自己の計算で、旅行業者の名義において独立して取引を行った場合は、当該者は無登録営業に相当し、旅行業者は法第一四条違反としての処分の対象となる。
第12 標識(法第一二条の九、規則第三一条)
(1) 旅行業者等は、営業所の種別に応じ、それぞれ定められた標識を、適切に掲示しなければならない。
(2) 標識は、旅行者に見やすいように掲示する義務があり、カウンターの奥等通常訪れる旅行者の目につかない場所に掲示したのでは不十分である。
第13 旅程管理(法第一二条の一〇及び第一二条の一一、規則第三二条―第三七条の二)
1 旅程管理措置
旅程管理のための措置は、必ずしも添乗員が全て行う必要はなく、旅行地の旅行業者へ委託すること、常時連絡可能な窓口を設けること等の他の方法によって必要な措置を講ずることが可能であれば、これらの方法によって支障ない。
2 旅程管理業務を行う者
(1) 主任の者とは、複数の添乗員がいる場合の統括管理者をいう。したがって、複数の添乗員のうち有資格者の統括管理に属さない者がいる場合は、その者も有資格者である必要がある。
(2) 規則第三四条の旅程管理業務に従事した経験には、主催旅行の添乗経験のほか、団体の手配旅行に添乗し、規則第三二条に掲げるような業務に従事した経験を含む。
(3) 旅行業法の一部を改正する法律(平成七年法律第八四号)附則第一〇条の規定により、同法の施行の際(平成八年四月一日)現に旅行業務取扱主任者資格を有する者は改正法第一二条の一一に規定する研修の課程を修了した者とみなされる。
第14 その他
1 禁止行為(法第一三条)
(1) 法第一三条第一項第二号及び同条第二項の「旅行業務に関し取引をする者」は、旅行者に限らず、運送又は宿泊機関等を含む。
(2) 法第一三条第三項の規定は、白ナンバーの貸切バス営業等、我が国における法令に違反するサービスの提供等のあっ旋にも適用がある。
2 申請等の提出(規則第五八条)
(1) 運輸大臣に提出すべき申請等は、通常規則第五八条により所管地方運輸局長を経由することとなっているが、以下の場合は、直接運輸大臣に提出する(したがって運輸省あて持参又は送付する)必要がある。
(イ) 旅行業務取扱主任者研修又は旅程管理業務研修の指定の申請
(ロ) 旅行業協会の指定の申請
(ハ) 旅行業協会の名称等の変更の届出
(ニ) 旅行業務取扱主任者試験の事務代行の申請及び当該代行機関についての名称等の変更の届出
(2) 主任者試験の受験申請、合格証の再交付申請については、本来運輸大臣に提出すべきものであるが、試験事務を旅行業協会に代行させているので、当該協会あて提出すること。
3 事故の報告
(1) 第一種旅行業者は、自らが取り扱った旅行において次の事故が発生したことを知った場合には、運輸省に対して、第三号様式に所定の事項を記載して報告しなければならない。
(イ) 死亡者の発生した事故
(ロ) 一〇名以上のけが人が発生した事故
(ハ) ハイジャック
(ニ) その他社会的影響が大きいものと第一種旅行業者において判断したもの
(2) なお、事故の詳細等が明らかでない場合においても、第一報として明らかとなっている事項を直ちに報告し、その後、追加して報告を行う方法により対応しなければならない。
All Rights Reserved, Copyright (C) 2003, Ministry of Land, Infrastructure and Transport
|