運観旅第二四〇号
平成八年四月一日



旅行業法施行要領(営業保証金関係)


営業保証金制度については次の規定によることとする。
(関連条文、旅行業法(以下「法」という。)第七条〜第一〇条、第一六条〜第一八条の二、第二〇条及び第二二条の一五、旅行業法施行規則(以下「規則」という。)第六条の二〜第九条及び第三七条、営業保証金規則(以下「保証金規則」という。))
1 供託義務

〔1〕 旅行業者は、次の場合に営業保証金の供託義務が発生し、それぞれに掲げる時までに所要の営業保証金を供託し、その旨を登録行政庁に届け出なければならない。

(イ) 新たに旅行業の登録を受けたとき(法第七条第一項)…登録通知を受けてから一四日以内
(ロ) 供託金の額を定める省令の制定又は改正により供託すべき営業保証金の額が引き上げられたとき(法第八条第二項)…省令改正の施行の日から三箇月以内(その施行の日から三箇月を経過する日がその施行の日の属する事業年度の前事業年度の終了の日から翌日から一〇〇日を経過する日前である場合にあっては、当該一〇〇日を経過する日まで)
(ハ) 前事業年度終了後において、その供託している営業保証金の額が、法第八条第一項に規定する額に不足することとなるとき(法第九条第一項)…毎事業年度終了後において、その終了の翌日から一〇〇日以内
(ニ) 法第六条の四第一項の変更登録を受けた場合において、その供託している営業保証金の額が、法第八条第一項に規定する額に不足することとなるとき(法第九条第五項)…不足額を追加供託し、その旨を登録行政庁に届け出た後でなければ、その事業を行うことができない。
(ホ) 既に供託した営業保証金から債権者が法第一七条の規定により還付を受けたことにより供託額が不足することとなるとき(法第一八条第一項)…還付があった旨の通知を受けてから一四日以内
(ヘ) 旅行業協会の保証社員であった旅行業者が、旅行業協会を除名される等により保証社員の地位を失ったとき(法第二二条の一五第三項)…保証社員の地位を失ってから七日以内
(ト) 旅行業協会が解散し、又は旅行業協会の指定を取り消されたときの旧保証社員(法第二二条の二二第一項)…解散又は指定取消しの日から二一日以内

〔2〕 前記期限までに供託の届出がない場合の取扱いは、次のとおりである。

(1) 〔1〕(イ)〜(ハ)の場合

七日以上の期間を定めて、その期間内に供託するよう登録行政庁より催告がなされ、催告期間内に供託の届出がない場合は、登録の取消しの対象となる。

(2) 〔1〕(ホ)〜(ト)の場合

登録の効力が当然に失効し、職権により登録が抹消される。

2 供託額及び取引額の報告

〔1〕 供託すべき額は次のとおりである。

(1) 1〔1〕(イ)の場合

新規登録申請時に提出した旅行業法施行要領第一号様式(以下「第一号様式」という。)「旅行業務に係る事業の計画」7.取扱いの内訳中「年間取引見込額」の欄の(計)に記載した金額に見合う規則別表に規定する額。

(2) 1〔1〕(ニ)の場合

変更登録申請時に提出した第一号様式の「旅行業務に係る事業の計画」7.取扱いの内訳中「年間取引見込額」の欄の(計)に記載した額に見合う規則別表に規定する額と現在供託している額との差額。

(3) 1〔1〕(ホ)の場合

登録行政庁より送付を受けた通知書に記載されている額。

(4) (1)〜(3)以外の場合

当該旅行業者の前事業年度における旅行者との取引の額(後記〔2〕及び〔3〕参照)に見合う規則別表に規定する額。現在供託している営業保証金がある場合には、その供託している額との差額。

〔2〕 旅行者との取引の額とは、次のとおりである。

(1) 旅行者との取引の額とは、単純券面販売、附随的旅行業務に係る額も含め旅行者から受領した旅行代金の全額(取扱額)であり、手数料収入額、粗利益等を意味するものではない。

また、自社の取り扱った業務に係る額に加え、自社に属する旅行業者代理業者の取引額及び自社主催旅行を他の旅行業者等に委託して販売している場合のその取引額(いずれも旅行業者代理業者等への販売手数料等を差し引いたものでない額)も含まれる。

(2) 次のものは取引の額に含まない。

(イ) 他の旅行業者の主催旅行を自ら又は自社に所属する旅行業者代理業者が受託して販売している額。
(ロ) 運送機関が自ら旅行業の登録を受けている場合の自社運送乗車船券又は連絡乗車船券等の販売に係る額(運送機関としての業務に係る取引額)。

〔3〕 次の場合には、前事業年度における旅行者との取引の額ではなく、次に規定する額により供託すべき額を算定し、〔1〕(4)を適用する。

(イ) 新規登録又は変更登録を受けた事業年度に供託を行う場合…新規登録又は変更登録申請時に提出した第一号様式の「旅行業務に係る事業の計画」7.取扱の内訳中「年間取扱見込額」の欄の(計)に記載した額。
(ロ) 前事業年度に新規登録又は変更登録を受けたことによる営業保証金の供託の届出(法第七条第二項又は法第九条第六項において準用する法第七条第二項に規定する届出。次の計算式及び〔4〕において「届出」という。)をした場合…

(直近の届出の日以降の前事業年度における旅行者との取引の額/直近の届出の日から前事業年度終了の日までの日数)×365

(ハ) 決算期の変更等により前事業年度が一年と異なる期間であった場合…

(前事業年度における旅行者との取引の額/前事業年度の日数)×365

〔4〕 旅行業者は事業年度終了後一〇〇日以内に前事業年度における旅行者との取引の額を規則第六号様式により登録行政庁に報告しなければならない。登録行政庁が運輸大臣である場合には、主たる営業所の所在地を管轄する地方運輸局長を経由しなければならない。

〔1〕(ハ)の場合には、取引額の報告を行う前に追加供託を行い、その旨の届出とともに当該報告を行わなければならない。
〔3〕(ロ)の場合には、報告すべき取引の額の報告の中に、当該額の算出に用いた「直近の届出の日以降の前事業年度における旅行者との取引の額」を併記しなければならない。

〔5〕 旅行業法の一部を改正する法律(平成七年法律第八四号)の施行に伴い、旧法により登録を受けたすべての旅行業者は同法施行の日(平成八年四月一日)から一〇〇日以内に、前事業年度における旅行者との取引の額の報告及び追加供託が必要な場合には追加供託した旨の届出を行わなければならない。この場合において、平成八年三月三一日までに終了している事業年度が存しないときは、登録後の営業実績等を勘案して年間取引見込額を算出し、これにより報告及び供託すべき営業保証金の額の算定を行うものとする。

3 供託手続

〔1〕 供託手続には、規則、保証金規則のほか、供託法(明治三二年法律第一五号)及び供託規則(昭和三四年法務省令第二号)の適用がある。
〔2〕 供託する場合には、金銭によるほか、一定の有価証券も認められるが、その取扱いは、以下による。

(1) 供託することができる有価証券は、国債証券、地方債証券及び規則第八条に掲げる有価証券である。
(2) 国債証券、地方債証券及び政府保証証券(券面に「政府保証」及び「日本国政府はこの債権の元金及び利息の支払を保証する」旨の記載並びに大蔵大臣の署名捺印があるかどうかが目安となる。)以外のものは、額面金額の90/100しか評価されない。また、割引債については、規則第九条第二項の規定による算式により額面額を割引いた金額が額面額とみなされる。したがって有価証券の供託については、次の関係が成立しなければならない。

(イ) 国債証券、地方債証券又は政府保証証券

1) 利付債の場合

額面金額=要供託額

2) 割引債の場合

額面金額を規則第9条第2項の方法により割引いた額=要供託額

(ロ) (イ)以外の有価証券

1) 利付債の場合

額面金額×90/100=要供託額

2) 割引債の場合

額面金額を規則第9条第2項の方法により割引いた額×90/100=要供託額

〔3〕 供託所は登録簿上の主たる営業所の最寄りの供託所に供託すること。この場合、「最寄りの供託所」とは、原則として主たる営業所の所在地の属する市区町村の供託所であるが、時間的、距離的に見て、より便宜な供託所がある場合は、このような供託所を最寄りの供託所として支障ない。ただし、主たる営業所の所在地の属する都道府県内の供託所に限る。

(1) 旅行業者は、旅行業協会の保証社員となった場合には、営業保証金の供託義務が免除される。(法第二二条の一四)
(2) 旅行業協会の承認を受け、その加入しようとする日までに弁済業務保証金分担金を納付した旅行業者は、旅行業協会の保証社員となる。(法第二二条の九第一項及び第二二条の一〇第一項)
(3) 保証社員は弁済業務保証金分担金を納付したときには、弁済業務規約により、その納付書の写しを登録行政庁に届け出なければならない。

法及び規則の適用に当たっては、納付書の写しの届出をもって営業保証金の供託の届出とみなす。

4 営業保証金についての権利の承継等

〔1〕 権利の承継

法第一六条第二項に規定する「営業保証金につき権利を承継した事実を証明する書面」は、次のとおりとする。
(イ) 旅行業者が死亡した場合

1) 戸籍謄本
2) 遺産分割の協議書、家庭裁判所の審判書の謄本、公正証書等

(ロ) 旅行業者たる法人が合併により消滅した場合

1) 登記簿の謄本
2) 合併契約書の写し

(ハ) 旅行業者がその事業の全部を譲渡した場合

1) 登記簿の謄本
2) 事業の全部譲渡の契約書の写し

〔2〕 営業保証金の保管替え

旅行業者が主たる営業所を移転し「最寄りの供託所」に変更を生じた場合は、法第一八条の二第一項の保管替え等の手続を要する。その概要は次のとおり。
(イ) 金銭のみをもって営業保証金を供託している場合においては、法第一八条の二第一項、保証金規則第一〇条第一項第一号及び供託規則第二一条の二に規定するところにより保証金を保管替えし、同規則第二一条の四第二項の規定により交付を受けた供託書の写しを添付して、登録行政庁に供託の届出を行うこと。
(ロ) 有価証券又は有価証券及び金銭をもって営業保証金を供託している場合においては、法第一八条の二第二項前段の規定により移転後の主たる営業所の最寄りの供託所に営業保証金を供託し、登録行政庁に対し供託の届出を行うこと。この供託をしたときは、法第一八条の二後段の規定により保証金を取り戻すことができる。この場合は、法第二〇条第四項において準用する法第九条第八項の規定による公告を要しない。

5 営業保証金の取り戻し

〔1〕 旅行業者は、以下の場合は既に供託した営業保証金のうちそれぞれに掲げる額を取り戻すことができる。

(イ) 営業保証金の額を定める省令の改正により、供託すべき営業保証金の額が減額された場合(法第八条第四項)…改正後の供託すべき額と現に供託している額の差額
(ロ) 前事業年度終了後において、その供託している営業保証金の額が法第八条第一項に規定する額を超えることとなるとき(法第九条第三項)
(ハ) 法第六条の四第一項の変更登録を受けた場合において、その供託している営業保証金の額が法第八条第一項に規定する額を超えることとなるとき(法第九条第五項)
(ニ) 旅行業の登録の抹消があったとき(法第二〇条第三項)…現に供託している全額
(ホ) 旅行業者が旅行業協会の保証社員となったとき(法第二二条の一五第一項)…現に供託している全額

〔2〕 営業保証金の取り戻しは、〔1〕(イ)、(ロ)の場合を除き、六か月以上の期間必要事項を官報で公告した後でなければできない。公告事項は保証金規則第九条第一項から第三項に定めるところによる。
〔3〕 前記の公告は、登録行政庁から保証金規則第二条第三項に規定する通知を受けてから、当該権利の実行手続が終了し、登録行政庁から保証金規則第四条第五項の通知書の交付を受ける(又は同項の公示をされる)までの間はすることができない。(保証金規則第九条第四項)
〔4〕 登録行政庁は、公告期間中に権利の申出がなかった場合は、請求により、保証金規則第九条第七項の証明書を交付する。(保証金規則第九条第七項)
〔5〕 公告期間中に権利の申出があった場合は、登録行政庁は保証金規則に定めるところにより配当の手続を行い、当該手続により配当した総額が取戻しをしようとする営業保証金の額を下回るときは、請求により、その下回る額について保証金規則第九条第七項の証明書を交付する。逆に上回るときは、登録行政庁は、その上回る額について、保証金規則第四条第五項の通知書を交付する。
〔6〕 〔1〕(ロ)の場合における保証金規則第八条第一項の規定の取扱いについては、前事業年度における旅行者との取引の額の報告の際に、あわせて、保証金規則第八条第二項の証明書交付申請書を提出するものとする。登録行政庁は当該旅行業者について権利の実行の手続がとられていない場合には、同条第三項の証明書を交付する。権利の実行の手続がとられている場合であっても、当該申請日の属する事業年度内に、当該手続が終了し、当該手続により配当した総額が取戻しをしようとする営業保証金の額を下回っている場合には、その下回る額について当該証明書を交付する。

一方当該手続がとられている間に当該事業年度が終了した場合で、翌事業年度においてもなお〔1〕(ロ)に該当するときは、改めて、前事業年度における旅行者との取引の額の報告を行い、申請害を提出することとする。(保証金規則第八条第四項)
なお、配当した総額が取戻しをしようとする営業保証金の額を上回るときは、登録行政庁は、その上回る額について、保証金規則第四条第五項の通知書を交付する。

〔7〕 保証社員の取戻し手続については、旅行業協会の定めるところによる。


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