(社)日本旅行業協会会長・(社)全国旅行業協会会長あて
記
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(別添) 旅程保証の趣旨及び適用について
1 旅程保証の趣旨
(1) 主催旅行業者は、運送・宿泊機関等のサービス提供機関と主催旅行業者との間で締結されている契約の内容や旅行業務取扱料金を旅行者に対して明らかにしているものではないにもかかわらず、一定の旅行計画を示して不特定多数の旅行者を募集するものである。したがって、主催旅行業者は、計画内容に従った旅行サービスが実現しない場合の一定のリスクを負担する責任を有するものである。
(2) 特に、昨今、主催旅行の増加、その形態、目的地の多様化が進んでおり、計画内容に従った旅行サービスが実現しない場合の主催旅行業者の責任負担をすべて当事者間の個別の調整に委ねておくことは必ずしも適当ではなくなってきている。
(3) 従って、主催旅行業者の債務不履行があった場合の損害賠償責任とは別に、今般、特に重要な主催旅行契約の変更に係る主催旅行業者の最低限の責任を標準旅行業約款に「旅程保証」として定めることとしたところであり、各主催旅行業者においては、前記の趣旨を踏まえ、これを適切に実施されたい。
2 旅程保証の適用
(1) 支払事由について
旅程保証の支払事由となる特に重要な契約変更の解釈等については、以下のとおりである。
・ 「旅行開始日又は旅行終了日の変更」とは、当該主催旅行に旅行者の集合、解散が設定されている場合には旅行者の集合又は解散の行われる時刻の属する日の変更をいい、これ以外の場合には、当該主催旅行における最初又は最後に利用する運送・宿泊機関等の利用開始時刻又は利用終了時刻の属する日の変更をいう。
・ 旅行開始日、旅行終了日ごとに、各々、一件と算出する。
・ 「入場する観光地・観光施設(レストランを含みます。)」とは、観光地、観光施設のうち、通常、当該観光地、観光施設に入場しなければ目的が達せられないものをいう。契約書面に記載した観光地、観光施設については、入場する観光地、観光施設であるか否かを明示すること。
・ 「その他の旅行の目的地」とは、当該都市又は地域を訪問することが旅行の目的であるものをいい、入場する観光地、観光施設が当該旅行目的地に含まれていない場合においては、契約書面において、経由地、乗継地、休憩地等と区別できるように明示すること。
・ 旅行中に訪問し得なかった観光地又は観光施設、都市又は地域ごとに、各々、一件として算出する。
・ 「都市又は地域」に「入場する観光地、観光施設」が含まれている場合は、入場する観光地、観光施設の変更について補償を行い、この場合、都市又は地域の変更については補償を要しない。
・ 本事項中の「料金」とは、いわゆる「等級又は設備の対価としての運賃・料金の総額」にあたるものを意味するものであり、本事項の変更とは、航空機のファーストクラス利用からビジネスクラス利用への変更、新幹線の利用から新幹線以外の特急列車の利用等、契約変更後の当該運賃・料金の総額が当初契約において利用することとなっていた運送機関の運賃・料金の総額より低い運送機関を利用することとなった場合(○○航空ファーストクラス利用から△△航空ファーストクラス利用への変更等異なる航空会社で同一の等級又は設備を利用した場合を除く。)を意味する。
・ 旅行中に利用し得なかった運送機関一フライト、一乗車、一乗船ごとに、各々、一件として算出する。
・ 「運送機関の種類の変更」とは、「航空」、「鉄道(軌道・索道を含む。)」、「船舶」、「自動車」、「その他の運送機関」の別に応じ、契約書面に記載した種類とは別の運送機関を利用した場合をいう。
・ 「運送機関の会社名の変更」とは、同一の種類の運送機関を利用した場合において、契約書面にその会社名を記載した運送機関とは別の会社の運送機関を利用した場合をいう。
・ 旅行中に利用し得なかった運送機関一フライト、一乗車、一乗船ごとに、各々、一件として算出する。
・ 運送機関の種類の変更と会社名の変更が同時に発生した場合は、運送機関の会社名の変更について補償を行い、この場合、運送機関の種類の変更については補償を要しない。
・ 「宿泊機関の種類の変更」とは、「ホテル」、「旅館」、「コンドミニアム」、「民宿」、「ペンション」、「その他の宿泊機関」の別に応じ、契約書面に記載した種類とは別の宿泊機関を利用した場合をいう。
・ 「宿泊機関の名称の変更」には、契約書面に「○○ホテル本館」等と宿泊機関の名称が特定されている場合に「○○ホテル別館」等を利用した場合を含む。
・ 旅行中に利用し得なかった宿泊機関一泊ごとに、各々、一件として算出する。
・ 契約書面に記載した宿泊機関の名称の変更が発生した場合は、契約書面に記載していない宿泊機関の種類の変更については補償を要しない。
・「客室の種類の変更」とは、「和室」、「洋室」、「和洋室」の種類の別、また、洋室については「シングル」、「ツイン」、「ダブル」、「トリプル」、「スタンダード」、「スイート」等の別に応じ、契約書面に記載した種類の客室とは別の種類の客室を利用した場合(明らかに好条件の種類の客室を利用した場合を除く。)をいう。
・ 「客室の設備の変更」とは、客室に専属して客室としての基本的な機能を果たすバス、シャワー及びトイレの設備並びに客室の特徴を明確にするための特に客室に専属することを契約書面に記載したプール等の設備(テレビ、エアコン、ドライヤー等の機械、器具等は含まれない。)の有無に応じ、当該設備のない客室を利用した場合をいう。
・ 「客室の景観の変更」とは、契約書面に、当該客室が自然風景、建築物、祭り、イベントが見える場所に位置している旨記載しているにもかかわらず、このような状態でない客室を利用した場合をいう。
・ 宿泊機関一泊ごとに、各々、一件として算出する。(同一日の宿泊で、例えば、客室の種類の変更と設備の変更が同時にあっても一件として算出する。)
・ 「ツアータイトル中に記載があった事項」とは、募集広告において、「○月○日に出発する」、「○○美術館を訪問する」、「ファーストクラスで行く」、「○○航空で行く」、「○○ホテルに泊まる」、「オーシャンビューの客室に泊まる」等、特定の旅行出発日、観光施設、運送・宿泊機関等を旅行者が当該主催旅行を選択する上で重要な要素として表示した場合(明らかに旅程の説明の一環として表示した場合を除く。)の当該表示事項をいい、これを契約書面に明記すること。
・ 1)から6)までの事由中、契約書面のツアー・タイトルに記載があったものについて、各々、一件として算出する。
(2) 免責事由について
「免責事由項目」の解釈等については以下のとおりである。
・ 出発地、旅行の目的地等に天災地変等があり、当該旅行の目的地を訪問し得ない状態をいう。
・ 「運送機関のサービスの提供の中止」とは、○○航空○便等の運行(航)中止をいう。
・ 「宿泊機関等のサービスの提供の中止」とは、休業を意味する。
(宿泊機関の一部の客室が提供されている状態は、休業には含まれず、博物館等の突然の休館は、当該施設全体が旅行者の訪問時に閉鎖されていれば休業に含まれる。)
・ 運送・宿泊機関等のサービス提供の中止に伴い生じた旅行開始日又は旅行終了日の変更、運送・宿泊機関等の名称等の変更は、補償を要しない。
・「運送機関のサービス提供の中止」が原因となって発生した運送・宿泊機関等の名称等の変更については、目的地到着日に利用予定のものに限って、補償を要しない。
・ 当該運送機関の出発及び到着の時刻並びに到着地の変更をいい、これによる旅行開始日又は旅行終了日の変更については、補償を要しない。
・ 「当初の運行計画によらない運送サービスの提供」が原因となって発生した運送・宿泊機関等の名称等の変更については、目的地到着日に利用予定のものに限って、補償を要しない。
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