運観振第三七号
平成五年三月一五日



国際観光ホテル整備法施行規則に定める施設等に関する基準の解釈について


国際観光ホテル整備法施行規則(以下「規則」という。)に定める施設及び宿泊に関するサービスに関する基準の解釈は、次に定めるところによることとする。
第1章 ホテルの施設及び宿泊に関するサービスに関する基準

1 客室

「客室」とは、通常客の宿泊の用に供する室をいい、客室数は、旅館業法に基づき現に客室として営業の許可を受けている客室の数とする。

2 ホテル基準客室

(1) 洋式の構造及び設備

1) 机、テーブル、椅子及び洋服を掛ける設備(フック等を除く。)又はこれらに代わるものを備え、椅子式生活と単層式ベツドによる睡眠に適するように造られた客室であること。なお、一人室にあっては、テーブルを省略することができる。
2) 和洋折衷の客室については、畳敷きの部分の床面積が洋式の居室部分(客室面積から畳敷き部分、浴室、シャワー室、洗面設備、便所及び収納部分の面積を除いた部分をいう。以下同じ。)の床面積を超えるものは、ホテル基準客室に含めないこととする。
3) 入口の建具は堅牢で防音に適したものであること。

(2) 客室面積

客室の床面積には、客室に付属している浴室、シャワー室及び便所の面積を含む(パイプスペース、ダクトスペース等は除く。)こととし、測定に当たっては、壁芯をもって測定線とする。ただし、壁厚が二〇cm以上の場合及び柱型がある場合は、内側面から一〇cmの線を測定線とする。

(3) 開口部

客室側から遮光するために必要な厚手のカーテン、板戸等の設備があること。

(4) 浴室(シャワー室)及び便所

1) 浴室は、客が自由に冷水及び温水を浴槽内に入れて浴槽内の用水をその好む温度に調節でき、かつ、使用のたびに用水を取り替えることができるものであること。
2) シャワー室には、冷水及び客がその好む温度に調節できる温水を出すことができるシャワー設備があること。
3) 便所は水洗式であり、かつ、座便式便器を備えていること。

(5) 洗面設備

鏡、棚又はこれに代わるもの及び照明設備が付属していること。

(6) 入口の施錠設備

シリンダー錠又はこれと同程度に堅牢なものであり、かつ、客室の内外から建具を施錠できるものであること。

(7) 電話

フロント及び施設外に通話可能なものであること。

3 ロビーその他の客の共用に供する室(以下この章において「ロビー等」という。)

(1) 「ロビー等」とは、ロビー、ラウンジ、休憩室等の名称の如何を問わず、無料で自由に利用できるものをいう。
(2) 洋式の構造及び設備

土足のままで利用でき、椅子及びテーブルを備え付けていること。

(3) 共同用の便所

次に掲げる要件を満たすものであること。

イ 廊下、ロビー等にいる者に便器が見えないように前室、隔壁等があること。
ロ 水洗式であり、かつ、座便式便器を備えていること。ただし、男女別便所のそれぞれについて、大便器が一つしかない場合は、座便式便器でなくてもよい。

(4) 収容人員に相応した規模

1) ロビー等の面積が、次の表の上欄に掲げるホテルの収容人員(4)参照)の区分に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる面積以上であること。ただし、フロントの付近に飲物の注文だけで利用可能なコーヒーショップ等がある場合は、下欄に掲げる面積からコーヒーショップ等の面積の二分の一の面積を引いた面積以上あればよい。

収容人員
面積
100人以下
20m2
101人〜500人
0.2m2×収容人員
501人〜1,000人
0.15m2×収容人員+25m2
1,001人〜2,000人
0.075m2×収容人員+100m2
2,001人以上
0.05m2×収容人員+150m2

2) 面積は、その室の面積からフロント前、店舗部分、エレベーター前の面積を除いて算出すること。
3) ロビー等が二室以上ある場合は、その合計面積とする。
4) 収容人員の算出方法

イ 洋式の客室

ベッド(ソファーベッド、補助ベッドを除く。)一台につき定員一名とする。ただし、ダブルベッドについては、旅館業法に基づき許可を受けている定員とし、一室の最大定員は二名とする。

ロ 和式の客室

睡眠の用に供する畳敷きの部分の面積が一〇m2以下の場合は定員一名、一〇m2を超える場合は、定員二名とする。

ハ 和洋折衷の客室

洋式の居住部分についてはイを、畳敷き部分についてはロを適用して合算した定員とする。ただし、畳敷き部分の床面積が洋式の居室部分の床面積を超えないものについてはイを適用した定員とする。

4 食堂

(1) 洋式の構造及び設備

1) 洋朝食(コーヒー・紅茶、トースト等のパン類、卵料理等)を提供することができる、適当な厨房が付属していること。したがって、通常は和食、中華等の洋食以外のものを提供する食堂であっても、洋朝食が提供可能な部分はこれに含まれる。
2) 適当な数の椅子、テーブルを備え付けていること。

(2) 共同用の便所

3 (3)「共同用の便所」に定めるところによる。

(3) 収容人員に相応した規模

食堂の客席部分の面積が〔〇・二m2×収容人員〕以上であること。厨房、配膳室、待合場所等の面積はこれに含まれない。

5 環境

著しく非衛生、風紀の悪い場所がなく、臭気・騒音等の甚だしい場所の付近にあっては、館内にその影響が及ばないよう措置されており、外客向きホテルの環境としてふさわしいこと。

6 客室等の配置、建物

施設配置に根本的な欠陥がなく(静かであるべき客室部分が騒がしい公共部分と分離されていること、ルームサービスの交通路が玄関ホール又はロビー等の前を通過しないこと等)、開口部に必要に応じ防虫措置が講じられている等施設及び設備が外客向きホテルの建築としてふさわしいこと。

7 玄関

「客その他の関係者」とは、宿泊、飲食、集会、面会等の目的でホテルを利用する者をいう。

8 冷房設備及び暖房設備

中央冷暖房方式又はこれに劣らない方式によって少なくとも次に掲げる部分に対して冷房及び暖房を施すことができるものであること。

イ ロビー等
ロ フロント
ハ ホテル基準客室
ニ 食堂(4に定めるものに限る。)
ホ 前記に掲げる施設を利用する客の使用する廊下

9 乗用の昇降機

1) 「客の利用に供する階」とは、次に掲げる施設を有する階をいう。

イ 建物の主たる出入口
ロ ロビー等
ハ フロント
ニ ホテル基準客室
ホ 食堂(4に掲げるものに限る。)
ヘ ロ及びホに掲げる施設を利用する客の使用する便所

2) 階数の算定に当たっては、建築基準法による階数に準ずることとする。
3) 「乗用の昇降機」とは、エレベーター又はエスカレーターであって客が昇降することができるものをいう。
4) 乗用の昇降機は、客の利用に供する階を有する建物の内部にある必要はない。例えば甲の建物の客の利用に供する階と連絡廊下等により連絡している乙の建物の階の相互間が乗用の昇降機により通じている場合は、甲の建物に乗用の昇降機があるものとみなす。

10 標示

1) 標示は、英語その他の外国語又は分かりやすい絵文字等で明瞭に掲げてあること。
2) 「館内の主な施設」とは、客室、ロビー等、食堂、フロント、共同用の便所、乗用の昇降機、階段等をいう。

第2章 旅館の施設及び宿泊に関するサービスに関する基準

1 客室

第1章1に定めるところによる。

2 旅館基準客室

(1) 日本間

1) 客室には、床の間、洋服を掛ける設備(フック等を除く。)及び踏込みがあり、隣室との間は壁仕切りであること。
2) 床の間には、床柱及び床板又は床畳が必要であり、つり床、置床等は、床の間に含まれない。

(2) 客室面積

1) 畳敷きの室の床面積の測定に当たっては、壁芯をもって測定線とする。ただし、壁厚が二〇cm以上の場合及び柱型がある場合は、内側面から一〇cmの線を測定線とする。
2) 前記面積には、当該室に付属している床の間、押入れ等の部分の面積は含まれない。
3) 七m2、九・三m2とは、それぞれ四畳半相当、六畳相当であることをいう。

(3) 開口部
第1章2(3)に定めるところによる。
(4) 冷房設備及び暖房設備
客室の広さに相応した冷暖房能力を備えていること。
(5) 洗面設備
第1章2(5)に定めるところによる。
(6) 入口の施錠設備
第1章2(6)に定めるところによる。
(7) 電話
第1章2(7)に定めるところによる。

3 一定の旅館基準客室の浴室(シャワー室)及び便所

第1章2(4)に定めるところによる。

4 一定の旅館基準客室の洗面設備

第1章2(5)に定めるところによる。

5 ロビーその他の客の共用に供する室(以下この章において「ロビー等」という。)

(1) 「ロビー等」とは、ロビー、ラウンジ、休憩室等の名称の如何を問わず、無料で自由に利用できるものであって、椅子及びテーブルを備え付けているものをいう。
(2) 共同用の便所

次に掲げる要件を満たすものであること。
イ 廊下、ロビー等にいる者に便器が見えないように前室、隔壁等があること。
ロ 水洗式であり、かつ、座便式便器を備えていること。

6 環境

著しく非衛生、風紀の悪い場所がなく、臭気・騒音等の甚だしい場所の付近にあっては、館内にその影響が及ばないよう措置されており、外客向き旅館の環境としてふさわしいこと。

7 客室等の配置、建物

施設配置に根本的な欠陥がなく(静かであるべき客室部分が騒がしい公共部分と分離されていること、ルームサービスの交通路が玄関ホール又はロビー等の前を通過しないこと等)、開口部に必要に応じ防虫措置が講じられている、庭又はこれに類する造作物が敷地内又は建物内にある等施設及び設備が外客向き旅館の建築としてふさわしいこと。

8 乗用の昇降機

1) 「客の利用に供する階」とは、次に掲げる施設を有する階をいう。

イ 建物の主たる出入口
ロ ロビー等
ハ フロント
ニ 旅館基準客室
ホ ロに掲げる施設を利用する客の使用する便所

2) 階数の算定に当たっては、建築基準法による階数に準ずることとする。
3) 「乗用の昇降機」とは、エレベーター又はエスカレーターであって客が昇降することができるものをいう。
4) 乗用の昇降機は、客の利用に供する階を有する建物の内部にある必要はない。例えば甲の建物の客の利用に供する階と連絡廊下等により連絡している乙の建物の階の相互間が乗用の昇降機により通じている場合は、甲の建物に乗用の昇降機があるものとみなす。

9 共同用の浴室(シャワー室)

利用者が一定の時間を限り専用できるものであって、その入口は、内外から施錠できるものであること。従って、大浴場等は含まれない。

10 共同用の便所

次に掲げる要件を満たすものであること。
イ 廊下、ロビー等にいる者に便器が見えないように前室、隔壁等があること。
ロ 水洗式であり、かつ、座便式便器を備えていること。
ハ 便所のない旅館基準客室と同一階又はその付近にあること。

11 標示

第1章10に定めるところによる。


All Rights Reserved, Copyright (C) 2003, Ministry of Land, Infrastructure and Transport