軌道の車両の制動機の構造基準


昭和三十一年八月二十日
/運輸省/建設省/告示第二号
改正
昭和五四年四月二八日/運輸省/建設省/告示第五号
平成一一年一〇月一日/運輸省/建設省/告示第五号

軌道建設規程(大正十二年内務省令、鉄道省令)第二十二条第六項の規定に基き、軌道の車両の制動機の構造基準を次のように定める。


第一条  
制動機は、迅速かつ確実に作用し、各部の点検及び調整が容易なものであつて、振動、衝撃等によりその作用に障害を生ずるおそれのないものでなければならない。

第二条  
制動機は、全車輪に対して制動力を作用させるものでなければならない。ただし、機関車の導輪及び従輪に対しては、制動力を作用させるものでなくてもよい。
2   車側制動機は、前項本文の規定にかかわらず、一部の車輪に対して、制動力を作用させるものであつてもよい。
3   空気制動機を備える車両の空気制動機以外の動力制動機(非常の際用いられる他の空気制動機を含む。)及び手用制動機は、第一項本文の規定にかかわらず、一部の車輪に対して制動力を作用させるものであつてもよい。

第三条  
制動機の鋳鉄制輪子に作用する圧力の総和(車輪に鋳鉄制輪子を使用しない制動機にあつては、これに換算した力)と、運転整備のときの車両重量(蒸気機関車にあつては、積載石炭及び水量が規定量の二分の一のときの重量をいう。)又は満載のときの車両重量(客車及び客室を有する動力車にあつては、その空車重量と五十五キログラムに定員を乗じた重量との和をいい、貨車及び動力を有する貨車にあつては、その空車重量と標記荷重との和をいい、客室及び手小荷物室をあわせ有する車両にあつては、空車重量と五十五キログラムに定員を乗じた重量に標記荷重を加えた重量との和をいう。)との割合は、次の各号に掲げる割合以上でなければならない。ただし、車側制動機の割合は、満載の場合において、百分の六以上とすることができ、空気制動機を備える車両の空気制動機以外の動力制動機(非常の際用いられる他の空気制動機を含む。)及び手用制動機の割合は、空車の場合において百分の二十以上とすることができる。

一   機関車の場合 百分の七十

二   客車及び客室を有する動力車(手小荷物室をあわせ有するものを含む。)の場合 百分の七十

三   貨車及び動力を有する貨車の場合 百分の二十五



第四条  
制動機の制輪子に作用する圧力を計算するにあたつては、次の諸元を用いてするものとする。

一   空気制動機の気筒内圧力は、次の圧力とする。イ直通式空気制動機(一)減圧装置のある場合は、減圧装置の調整圧力(二)減圧装置のない場合は、調圧器の入込み圧力ロ自動式空気制動機 常用制動における制動筒内平衡圧力

二   蒸気制動機の気筒内圧力は、汽かんの最高使用圧力の百分の九十とする。

三   手用制動機のハンドルに作用する力は、片手ハンドルの場合は二百九十ニュートンとし、両手ハンドルの場合は四百四十ニュートンとする。

四   車側制動機のてこに作用する力は、九百八十ニュートンとする。

五   制動機の各部の効率は、次の割合とする。イ動力制動機の場合は百分の百ロ手用制動機(ハンドルからピストン押棒に至るまでの機構とする。)及び車側制動機の場合(一)ら旋は百分の三十(二)歯車は百分の九十(三)傘歯車は百分の八十五(四)鉄鎖巻付は百分の七十(五)てこ及びクランクは百分の九十(六)床下ブレーキシヤフトは百分の八十五

六   制動機構に鉄鎖を使用している場合のチエンホイルであつて、溝その他の鉄鎖を巻き付けるための特殊構造を有しないものの巻付部の有効半径は、チエンホイルの半径に当該鉄鎖の短径の四分の一を加えたものとする。



第五条  
制動機の制動倍率は、手用制動機にあつては千二百以下とし、車側制動機にあつては十五以上とする。

第六条  
空気圧縮機、空気配管、空気だめ及び弁類並びにこれらの附属装置は、次の各号に適合するものでなければならない。

一   空気圧縮機は、元空気だめの使用最高圧力以下で作用する調圧器を備えること。

二   空気配管及び弁類は、その空気系統の使用最高圧力の一・五倍に耐えうること。

三   リベツト継手による空気だめは、使用最高圧力の一・三倍に〇・三メガパスカルの圧力を加えた圧力の水圧を、熔接継手によるものにあつては、使用最高圧力の一・五倍の圧力の水圧をそれぞれ徐々に加え、その圧力に五分間保つた場合において漏れ、又は著しい変形を生じないこと。

四   元空気だめは、ドレンコツクを備えること。

五   運転中異物の衝撃により破損のおそれのある空気だめのドレンコツクは、防護装置を備えること。

六   空気圧縮機と元空気だめとの間の空気配管又は元空気だめは、元空気だめの使用最高圧力に〇・〇五メガパスカルから〇・一メガパスカルまでの圧力を加えた圧力で作用し、かつ、適当な容量を有する安全装置を備えること。


2   運転室には、元空気だめの圧力を指示する圧力計を運転士の見易い箇所に備えなければならない。この場合において、圧力計の目盛は、零から使用最高圧力の一・二倍から三倍までの範囲のものとし、かつ、調圧器の入込み及び切放し圧力を表示したものとする。

第七条  
車両の運転に常用する電気制動機の抵抗器及び電動機は、次の各号に適合するものでなければならない。

一   抵抗器は、制動により発生する電流に対して焼損のおそれのないこと。

二   電動機は、制動により発生する電圧及び電流に対して充分耐えうる構造であること。




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