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平成13年度観光の状況に関する年次報告

第1章 観光の現状はどうなっているか

第1節 ●観光の経済に与える影響

2 地域経済への貢献


観光地を訪問する旅行者の行動は,観光施設はもちろん,交通機関や宿泊施設,飲食業や土産品店等の商店街を潤し,更に原材料の調達を通じて地域の広範な産業に関わり,地域の経済・雇用に特に大きな波及効果を及ぼし,地域経済に大きな役割を果たしている。旅行者の飲食や土産品の原材料を地場で供給する域内自給率が高い場合には,その効果は更に大きくなる。
このため,地方自治体の中にも,上記の国の調査と同様に観光消費額の調査と産業連関表から観光のもたらす経済波及効果,雇用効果を試算し,観光産業を産業として確固たる位置付けを行って,観光振興に取り組もうとする自治体が増えている(表1-1-5)。平成11年に総理府が実施した調査によれば,経済波及効果を試算していた都道府県は5県であったが,平成13年においては14道府県市にまで増えている。

表1-1-5 観光の経済波及効果



  COLUMN  

■ 観光の産業としての位置付け(自治体の主な例)

「東京の経済は,景気の低迷,雇用情勢の悪化など閉塞状況を抜け出せず,危機に直面している。東京を再生していくためには,関連する産業のすそ野が広く,かつ経済波及効果の大きい観光を新たに産業として捉え,活性化していくことが急務である。」(東京都観光産業振興プラン 平成13年11月)
「観光産業は,地場産業との連携強化により幅広い産業への波及効果と,地域活性化に大きな役割を果たします。特に,魅力有る地場産品の生産・提供により,観光客の沖縄での観光体験を豊かなものとし,そのことが沖縄県への経済効果をさらに高めます。」(沖縄県における旅行・観光の経済波及効果 平成13年9月)
「観光消費額の生産波及効果の倍率は1.62倍と試算されているように,他の産業への波及効果が高い産業であり,観光を活性化させることで,観光客の食の供給源としての農林水産業,陶磁器産業等の地場産業及び飲食業,旅客運送業などの地域産業の振興を図ることができる。」(長崎県観光活性化行動計画 平成11年8月)
「観光は,人と人との交流や文化と文化との交流による人づくり,さらには,地域文化の再発見や新たな魅力の創造を通じて地域づくりに貢献するとともに,産業としては,他の産業分野への波及効果や新たな雇用の創出につながる可能性が高く,21世紀の我が国の基幹産業として発展することが期待されています。本県はこのような観光の意義や時代背景を踏まえ,観光関連産業の振興による経済・文化の活性化を推進すべく21世紀の新たな観光の姿として「文化観光立県」を宣言しました。」(青森県文化観光基本計画 平成11年3月)
「観光消費による付加価値ベースの経済波及効果は府内総生産のおよそ3.0%に相当し,サービス業の府内総生産の13.8%の規模である」(大阪府観光統計調査報告書 平成13年3月)
「観光消費による粗付加価値誘発額の県内総生産に対する比率は4.3%で,電気・ガス・水道業(4.7%)や金融・保険業(4.0%)と肩を並べる水準となった」(島根県観光経済波及効果調査報告書 平成12年3月)
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