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平成13年度観光の状況に関する年次報告

第2章 21世紀における持続可能な観光に向けて ~WTO大阪総会の開催~

第2節 ●観光の経済波及効果

7 経済効果統計整備の必要性


旅行・観光産業は各産業に横断的にかかわりを持つ産業であるが,それぞれの個別産業の集まりであるという性格から,産業分類においても産業連関表においても,一個の産業部門としては位置付けられず,従来から経済的計測が明確に行われて来なかった。
今回の調査は,こうした状況を踏まえ観光に関する経済活動を国際的に比較可能なTSA(ツーリズム・サテライト・アカウント)と呼ばれる世界標準に則して把握しようとする旅行・観光産業の経済統計整備のための最初の取組みとなるものである。
我が国経済の政策立案,運営に旅行・観光の果たす役割を的確に反映させるためには,今回の調査結果を踏まえて,引き続き,旅行・観光産業の統計的把握・分析手法の検討・確立と,データの蓄積を行っていく必要がある。
また,都道府県レベルでも同様に,観光入込客数や観光消費額に関する調査の充実とデータの蓄積を行い,産業連関表によって旅行・観光産業の地域経済に果たしている効果の実態の分析を行っていく必要がある。
  COLUMN  

■ TSA(ツーリズム・サテライト・アカウント)(Tourism Satellite Account)の概念

TSAは,国民経済計算体系(SNA)のサテライト・アカウントのひとつとして「93年国民経済計算体系」(SNA93)に位置づけられている。これは,特別な経済活動(環境,介護,医療等)を体系づけるサブ・システムであり,GDP統計等との整合性・比較可能性を保ちつつ,新しい経済概念に対応していく枠組みである。
ツーリズムもその中のひとつであり,TSAとして特掲され,WTO(世界観光機関)がそのマニュアルを作成し,2000年3月に国連統計委員会の承認を得た。
TSAは,国・地域レベルでの観光産業の経済的な有り様を,国際的に統一された基準の下で明らかにするためのツールであり,他産業との比較や国際間比較を可能とすることにひとつの目的がある。
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