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平成13年度観光の状況に関する年次報告

第3章 国際観光振興の施策

第2節 ●ことばの壁を越えた発見,交流の推進 ~「親しみのある国」へ~

4 国際民間交流の拡大



  (1) ワーキング・ホリデー

オーストラリア(1980年~),ニュー・ジーランド(1985年~),カナダ(1986年~),韓国(1999年4月~),フランス(1999年12月~),ドイツ(2000年12月~)及び連合王国(2001年4月~)との間でワーキング・ホリデー制度を実施している。
ワーキング・ホリデー制度とは,二国間の取決めに基づき,相手国の18歳から25歳(国により30歳まで認められる。)までの青少年を対象として,相互の文化及び生活様式を理解するための広範な機会を提供するため,最長1年間の休暇を主たる目的とした滞在と,その間の滞在費を補うための就労を認める制度である。

表3-2-2 ワーキング・ホリデー査証発給実績



  COLUMN  

■ 地方自治体による語学面での対応,交流の推進の取組み

■ 東北地域国際観光推進協議会

秋田ワールドゲームズ2001,2002ワールドカップサッカー大会,2003青森アジア冬季大会の開催を契機に東北7県が一体となって戦略的に国際観光に取組むこととし,「東北地域国際観光推進協議会」を設立した。韓国語版,中国語版(簡体字,繁体字),英語版「東北広域観光パンフレット,マップ」の作成等外国人観光客の受入れ体制の整備充実に取り組んでいる。

韓国語版「東北広域観光パンフレット,マップ」



■ 長崎県厳原町

城下町を整備し,朝鮮通信使行列を再現し,みなと祭りに韓国からの舞踊団も来島する等韓国との国際交流を行い,年間4,500人に及ぶ韓国からの観光客を誘致している。

みなと祭り(朝鮮通信使行列を再現)




  (2) 国際観光交流の推進

国際観光振興会は,国際交流の推進を目指す内外の自治体や民間団体などに対し,交流関連情報の収集・提供,交流相手先の斡旋・仲介,交流事業の企画・運営支援などを通じて,外国人の日本への来訪を促進する国際観光交流支援事業を実施している。
13年度には,米国,ドイツなどの日本語学習者の日本文化体験旅行,写真や音楽など趣味を通じた交流,学校訪問交流など,多様な訪日交流の実現を支援した。
さらに,国際観光振興会は,韓国からの訪日修学旅行を促進する目的で,韓国の中学・高等学校長など10名の教育関係者を招へいし,韓国の生徒に人気が高い関東方面(福島を含む)を視察してもらうとともに,関係者との意見交換会を開催し,韓国人修学旅行生の受入れの課題とその解決策を話し合う意見交換会を開催した。また,ホームステイ制度の活性化や受入ノウハウの向上を図るため支援事業を実施した。
また,ホームステイに係る適正化,普及を図るため,(社)日本旅行業協会の「ホームステイツアー等適正化協議会」の活動について指導・協力を行った。

  (3) 善意通訳(グッドウィル・ガイド)の普及運動

善意通訳普及運動とは,街頭・車中等で困っている外国人旅行者に善意で通訳を行うボランティア運動のことである。善意通訳者に対しては,国際観光振興会が善意通訳バッジと善意通訳カードを交付し推進している。14年3月現在,全国の善意通訳者の数は約4万8千人,各地で自主的に組織された善意通訳組織は,37都道府県80団体に上っている。
その他,通訳案内業試験の実施,ホテル・レストラン等における外国人旅行者受け入れに関する講習会の実施等を行っている。
  COLUMN  

■ JNTOホームページにおけるボランティアによる電子掲示板

国際観光振興会のホームページに9カ国語によるワールドカップ開催地観光情報サイトを開設し情報発信するとともに,ワールドカップ開催地観光情報に関する海外からの照会,照会に対応する回答等の書き込み(英語)が可能な電子掲示板「Travel Bulletin Board」を開設した。(2月1日より6月末まで運用)
電子掲示板は,10カ所の「ワールドカップ開催地」毎及び「総合」の計11個を設け,ホームページを見た訪日旅行を計画する者が,その旅行準備のために入手したい開催地及びその周辺地域を中心とする観光情報の要望を掲示板に書き込み,訪日外国人旅行者に対する観光ボランティア活動を組織的に行っている各開催地の善意通訳ガイドの組織(Systematized Goodwill Guide:SGG)のメンバーが中心となり,これに対する回答を掲示板に書き込むものである。
これにより市民レベルでの国際交流の推進及び外客誘致促進に寄与した。
  COLUMN  

■ ホテル,旅館,飲食施設マニュアル

日本を訪れる外国人の方々に滞在期間中,多様なジャンルの宿泊施設を提供し利用してもらうことが,外国人客受入体制の整備を図る上で重要になって来ている。
国際観光振興会では,言葉,習慣等が違う外国人客が我が国で快適に過ごすために宿泊施設側が準備しておくべき最低必要な情報を整理し,外客接遇マニュアルとしてまとめ,地方自治体,宿泊事業関係者等に広く配布し外国人客とのコミュニケーションの際に活用してもらうとともに,外客接遇セミナー等を通じ宿泊施設及び飲食施設の外客接遇向上に努めている。

  (4) 通訳案内業,外客誘致法に基づく地域限定通訳案内業免許

外国人旅行客に対する接遇の言語面での環境整備については,通訳案内業法による通訳案内業免許制度により質の向上を図ってきたところである。通訳案内業法においては,通訳案内業者は,国土交通大臣の行う試験に合格し,都道府県知事の免許を受けることとされている。
通訳案内業免許取得者の語学別内訳及び通訳案内業試験年度別・語学別合格者数は,表3-2-3及び表3-2-4のとおりである。
また,通訳案内業者が不足している特定の地域については,「外国人観光旅客の来訪地域の多様化の促進による国際観光の振興に関する法律」により通訳案内業法の特例として地域を限定した通訳案内業免許を付与している。現在,特定地域としては,中国語及び朝鮮語を用いて行う通訳案内業について九州地域が指定されており,平成13年8月現在中国語2名,朝鮮語6名である。

表3-2-3 通訳案内業免許取得者の語学別案内訳




表3-2-4 通訳案内業語学別合格者数



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