前(節)へ   次(節)へ
平成14年度観光の状況に関する年次報告

第1章 観光の現状

第3節 観光の経済に与える影響

3 2001年における旅行消費の我が国の経済への波及効果



  (1) 旅行消費の経済波及効果

1)生産波及効果
旅行消費額20.6兆円(2000年は22.6兆円,以下カッコ内同様)から,輸入品分を除いた直接効果は20.0兆円(22.0兆円)となる。
この20.0兆円を最終需要として95年産業連関表を用いて推計した生産波及効果は基本ケースで35.3兆円(39.1兆円),家計迂回効果を含むケースで48.8兆円(53.1兆円)となる。
2)付加価値効果
直接効果に対応する付加価値効果は,観光産業のGDPに当たる数値と捉えることができるが,2001年は10.4兆円(11.2兆円)と推計される。基本ケースの付加価値効果は18.1兆円(19.8兆円),家計迂回効果を含むケースで25.8兆円(28.0兆円)と推計される。
3)雇用効果
直接効果に対応する雇用者数(観光産業の雇用者数と捉えることができる)は,181万人(194万人),基本ケースで285万人(312万人),家計迂回効果を含むケースで393万人(422万人)の雇用が発生している。

図1-3-3 旅行・観光産業の経済効果(2001年)



4)税収効果
税収面からみると,直接効果に対応する税収効果は1.7兆円,生産波及効果の基本ケースで3.1兆円と推計される。家計迂回効果を含めると税収効果は4.4兆円と推測される。

  (2) 観光産業の日本経済への貢献

1)我が国経済への貢献度
生産波及効果48.8兆円は,「1999年度産業連関表延長表」(経済産業省)の国内生産額906兆円の5.4%にあたり,付加価値効果25.8兆円は2001年暦年名目GDP506兆円の5.1%に相当する。
また,雇用効果393万人は,2000年の就業者数6,661万人(「国民経済計算年報」(内閣府))の5.9%を占めている。税収効果は4.4兆円と試算され,この額は2001年度税収(国税+地方税)の5.2%に相当する。
2)他産業との比較
観光消費が生み出す観光産業の付加価値10.4兆円(広義の観光GDP:全ての旅行消費先の産業を観光関連産業として位置づけたケース)は,2001年のGDP506兆円の2.1%を占める。この比率は,一般機械2.0%,輸送用機械2.0%,電気業1.9%などをやや上回る数字である。
観光産業の雇用者数181万人は,2000年の就業者数6,661万人(「国民経済計算年報」)に対して2.7%を占める。付加価値効果よりも雇用効果が高いことが,観光産業の特徴となっている。

図1-3-4 観光消費の我が国経済への貢献(推計)2001年



前(節)へ   次(節)へ
All Rights Reserved, Copyright (C) 2003, Ministry of Land, Infrastructure and Transport