平成14年度観光の状況に関する年次報告
第2章 観光をめぐる課題 ~訪日外国人旅行者倍増に必要なこと~
第1節 我が国の国際観光交流
1 我が国の国際観光交流の状況
我が国を訪れる外国人旅行者数は,昭和40年代前半までは日本人の海外旅行者数を上回っていたが,その後日本人の海外旅行者数が円高の影響等もあり大幅に伸びたのに対し,訪日外国人旅行者数は増加基調にはあるものの低調な伸びにとどまり,その格差は大きなものとなっている(図2-1-1)。
図2-1-1 訪日外国人旅行者数及び日本人海外旅行者数の推移
第1章でみたように,平成14年における訪日外国人旅行者数は,対前年比9.8%増の524万人になったが,日本人の海外旅行者数1,652万人に比べると3分の1以下にとどまり,極めてアンバランスな状態が続いている。
国際旅行収支でみても,外国人旅行者の日本における支出(日本にとっての収入)は35億ドルであるのに対し,日本人海外旅行者の海外での支出(日本にとって支出)は264億ドルであり,差し引き2.9兆円の赤字となっている(図2-1-2)。
図2-1-2 国際観光の動向
我が国の外国人旅行者受入れ者数は,諸外国に比べると著しく少ない。
WTO(世界観光機関)が発表している外国人旅行者受入数世界ランキングは2001年(平成13年)が最新時点であるが,これによると,日本の477万人は世界で35位であり,またアジアの中でも中国,香港,マレーシア,タイ,シンガポール,マカオ,インドネシア,韓国よりも低位の9位と後塵を拝している(図2-1-3,図2-1-4,表2-1-5)。
図2-1-3 外国人旅行者受入数国際ランキング(2001年)
図2-1-4 外国旅行者数国際ランキング(2000年)
表2-1-5 外国人旅行者受入れアジアランキングの推移
しかも,このアジアランキング9位というのは,約10年前の1990年(平成2年)の第5位から,中国,マカオ,インドネシア,韓国に抜かれた結果であり,この間の伸びはアジアの中でも低かったことが分かる。
これに対し,日本人の海外旅行者数1,782万人は世界で10位,アジアで2位となっている(平成12年)。
このように,日本の国際観光交流は極めてアンバランスな状況にあり,また特に外国人旅行者受入れ者数は,世界の中でも,またアジアの中でも低位な状況にあるが,そもそも外国人旅行者の訪日促進は,次のような様々な意義を有するものである。
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