平成14年度観光の状況に関する年次報告
第7章 観光産業の動向
第2節 旅行業
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旅行業者等は,業務の範囲により,第一種旅行業者(海外を含むパック旅行及び乗車船券等の販売等),第二種旅行業者(国内のみのパック旅行及び乗車船券等の販売等),第三種旅行業者(乗車船券等の販売等),旅行業者代理業者(特定の旅行業者を代理した旅行商品の販売)に区分される。旅行業者数は表7-2-1のとおりである。第一種旅行業の取扱実績は表7-2-2のとおりである。
表7-2-1 旅行業者等数の推移
表7-2-2 第一種旅行業の取扱実績
また,平成14年の主要旅行業者50社の取扱状況を見ると,海外旅行は1月から8月までは,平成13年9月の米国同時多発テロ事件の影響が残り,取扱減が続いていたが,9月以降,前年の取扱大幅減の反動で増加に転じ,年計で前年比1.0%増となった。さらに国内旅行,外人旅行を含めた年総計では,前年比1.6%減の5兆5,573億円となった(表7-2-3)。
表7-2-3 主要旅行業者50社の総取扱高(平成14年)
(2) 航空会社・鉄道会社の直販,情報提供・予約事業への異業種参入 |
インターネット時代を迎え,旅行業界においてはインターネットを利用した旅行販売等が増えてきている一方で,新運賃制度の導入により,従来は旅行会社を通じて販売していた航空券を,航空会社が直接消費者に販売する動きが拡大しており,また,国内での宿泊施設では,専門の宿泊サイトを通じて宿泊予約をする旅行者が増えている。
全国の大手コンビニエンスストアでは,マルチメディア端末で旅行商品や航空券,宿泊券 等を販売しているが,平成14年の年間取扱額は,34億円となっている。
(4) ITを活用した電子商取引市場の拡大と消費者保護 |
旅行取引は電子商取引の中でも最も成長が期待されている分野の一つで,旅行に関わる電子商取引市場の規模は,平成13年は1,190億円,平成18年には2兆3,770億円に達するものと予想されている(平成13年電子商取引推進協議会調査)。
拡大するインターネット取引の適正化を図るため,旅行業協会において「インターネットを利用した旅行取引に関するガイドライン」を策定し,旅行業者が遵守すべき基本方針を定めており,このガイドラインを遵守しているホームページに対し,旅行業協会が適正マーク(e‐TBTマーク)を交付している(平成14年11月現在78社に対して交付)。
(5) イラク攻撃・SARSの影響を受ける旅行関連業社への対応 |
米国同時多発テロ事件,バリ島爆発事件による海外旅行需要の大幅な減少,長引く不況による旅行需要の低迷により,旅行業界においては非常に厳しい経営状況にあったが,3月20日に開始した米国等のイラク攻撃,さらには,香港,中国,台湾等におけるSARSの集団発生に伴い,海外旅行需要の大幅な減少を招いている。特に,中国,香港,台湾等は日本人の海外旅行の主要な渡航先であり,旅行需要の大幅な減少を招く結果となっている。
こうした状況を踏まえ,国土交通省では,旅行会社に対する支援策について,関係府省と協議を進め,4月17日より,旅行関連事業者の中小企業者の運転資金の確保のための支援措置(保証枠を二倍に拡大)が講じられた。
また,5月14日より,休業手当等の一部を助成する「雇用調整助成金」の要件緩和についての特例措置が旅行関連業者及び航空事業者に対し講じられた。
(6) 旅行商品の適正な情報提供のあり方に関する調査 |
旅行業者の主催旅行商品の広告表示については,消費者保護の観点から詳細かつ正確な表示が求められており,これまでにも平成7年の旅行業法改正等により,国としてその適正化に努めてきたところであるが,近年のインターネットの発達等による広告媒体の多様化,主催旅行商品の多様化などから,広告表示のあり方について改善する必要が生じてきている。
このため,主催旅行商品の広告表示及び適切な情報提供のあり方について調査・検討を行い,今後の広告表示方法の改善等に反映させることとしている。
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