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平成16年度 観光の状況に関する年次報告

第5章 観光交流空間の形成

第3節 文化遺産の保存と観光への活用

1 文化財の保護



  (1) 文化財保護

文化財は、我が国の歴史、文化等の正しい理解のために欠くことができないものであり、また、将来の文化の向上発展の基礎となるものであることから、その適切な保存・活用を図ることが極めて重要である。国は、貴重な国民の財産である文化財を保護するため、「文化財保護法」に基づき、建造物、絵画、彫刻などの有形文化財を国宝・重要文化財に、演劇、音楽、工芸技術などの無形文化財を重要無形文化財に、農具や漁猟用具、祭りや民俗芸能などの民俗文化財を重要有形・無形民俗文化財に、遺跡、名勝地、動植物などを史跡・名勝・天然記念物に指定し、歴史的な集落・街並みを重要伝統的建造物群保存地区として選定するなどして、その適切な保存・活用を図っている。重要無形文化財の指定に当たっては、併せて保持者、保持団体を認定している。
また、平成16年5月の文化財保護法の一部改正により、棚田や里山など、人と自然の関わりの中で作り出された「文化的景観」を文化財保護法上の文化財として位置付けるとともに、生活や生産に関する用具、用品等の制作技術など地域において伝承されてきた「民俗技術」を民俗文化財の一形態として位置付け、新たに保護の対象とすることとした。また、近代の文化財等の保護を図るため、登録制度を、従来の建造物に加え、他の有形の文化財(建造物以外の有形の文化財、有形の民俗文化財及び記念物)にも拡充することとした(平成17年4月1日施行)。
そのほか、国立博物館等における公開に加え、公私立の歴史的民俗資料館等において地域の民俗文化財等の保存・活用を図っているほか、史跡や歴史的建造物等の整備・活用事業を推進している。

  (2) 文化財保護強調月間と文化財防火デー

1)文化財保護強調週間
「文化の日」を中心に実施する教育・文化週間(昭和34年9月4日閣議了解)の一環として、毎年11月1日~7日を「文化財保護強調週間」とし、各都道府県の教育委員会と連携しながら、国民一人一人が文化財を国民的財産として愛護するよう、積極的に広報活動を行うとともに、その気運の醸成を図っている。平成16年度は、文化財所有者、関係機関・団体等の協力の下、文化財愛護思想の高揚のための展示会、史跡めぐり等の各種行事及び広報活動が行われた。
2)文化財防火デー
1月26日を「文化財防火デー」とし、この日を中心として文化財を火災・震災その他の災害から守るため、各市町村消防本部及び各都道府県・市町村の教育委員会並びに文化財所有者等と連携し、全国的に文化財防火運動を展開した。平成16年度は、大崎八幡宮(仙台市)において大規模な消防訓練を実施したのをはじめ、全国各地の文化財所在地において防災訓練や防災対策等の各種行事が行われた。
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