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平成17年度観光政策

第3章 観光交流空間の形成に向けた取組

第1節 観光地の魅力の向上

1 総合的、広域的な観光地づくり支援



  (1) 観光ルネサンス事業の推進

観光立国の実現に向けて、ビジット・ジャパン・キャンペーンによる戦略的な日本ブランドの発信とともに、訪日外国人旅行者の受け皿となる地域の魅力の増進を図るため、国際競争力のある観光地づくりを積極的にすすめていく。
このため、第162回国会に提出・成立した「通訳案内業法及び外国人観光旅客の来訪地域の多様化の促進による国際観光の振興に関する法律の一部を改正する法律」により一部改正した「外国人観光旅客の来訪地域の整備等の促進による国際観光の振興に関する法律」に、民間組織による地域観光振興事業計画の策定とその計画に対する支援措置等を位置づけたところであり、同法を適確に運用していく。
また、同法の施行にあわせ、地域振興の核となる人材育成のための観光カリスマ塾の実施や各観光地での人材育成で活用可能な人材育成テキスト・カリキュラムの策定などの普及・啓発事業、観光地域づくりに関する基礎調査、民間を主体とした地域観光振興組織が行う情報提供や人材育成事業等の観光振興事業への補助事業を内容とする観光ルネサンス事業を創設し、地域の民間と行政が一体となった観光振興の取組を総合的に支援する。

図 観光ルネサンス事業の創設




  (2) 都市再生・構造改革特区と一体になった観光振興

平成17年度においても、全国都市再生モデル調査を行い、地方都市の意欲と創意工夫をできる限り尊重しながら、観光や姉妹都市交流を含む様々なテーマによる地方都市の再生・再活性化が図られることとなっている。
構造改革特区では、引き続き、定期的に地方公共団体や民間事業者等から、提案募集を行うが、観光振興に関するものについても提案がなされれば、更なる規制改革に向け、「実現するためにはどうすればいいのか」という方向で対応する。また、地方公共団体から観光振興に向けた計画の認定申請について相談があれば、積極的に支援、助言する。さらに、特区において実施される規制の特例措置は、一定期間後に評価を行うことにより、特区の成果を着実に全国に広げることとしているが、構造改革特別区域推進本部のもとに設置された評価委員会において特段の問題のないとされた規制の特例措置については速やかに全国化するよう努める。

  (3) 地域再生に向けた取組

地域再生に向けた取組としては、平成17年4月1日に施行された地域再生法に基づき、5月に地域再生計画の認定申請を受け付け、6月を目途に認定を行う予定である。地方公共団体から観光振興に向けた計画の認定について相談があれば、積極的に支援、助言していくとともに、「地域再生基本方針」(平成17年4月22日閣議決定)に定められた要件に合致するものは認定を行うものとする。また、6月に地方公共団体や民間事業者等から、地域再生のための支援措置についての提案を募集することを予定しているが、観光振興に資するものについても、提案がなされれば、更なる支援措置の実現に向け、「実現するためにはどうすればいいか」との姿勢で対応する。

  (4) 地域の魅力のデータベース化

一地域一観光魅力ネットサイト事業については、インターネットで公開しているサイト「発見!観光宝探しデータベース」掲載内容について、適宜更新を行い、内容の充実を図る。

  (5) グリーン・ツーリズムの推進

都市と農山漁村の共生・対流の国民運動の一環として、グリーン・ツーリズム(農山漁村で楽しむ余暇活動)の提案・普及を図るとともに、都市部のニーズに応じた農村情報の受発信機能の充実・強化、農村におけるグリーン・ツーリズムビジネスの起業化等の支援・育成、地域ぐるみで行う受入体制や交流空間の整備及びNPO法人等多様な取組主体の育成等について支援する。

  (6) エコツーリズムの推進

観光振興にも効果のあるエコツーリズムの普及・定着を図るため、引き続きモデル事業、エコツアー総覧及びエコツーリズム大賞などのエコツーリズム推進方策に取り組むとともに、新たにエコツーリズム推進調査、国立公園内(1地区)におけるエコツーリズムの推進、エコツーリズム国際シンポジウム及び全国2地区におけるエコツーリズム推進セミナーの開催等を行う。

  (7) 産業観光の振興

全国産業観光推進協議会の活動を引き続き支援するとともに、ものづくりの体験学習や工場見学など、産業に関する施策や技術等の資源を用い、地域内外の人々の交流を図る産業観光の振興に資する施策を検討する。

  (8) フィルムツーリズムの振興

フィルムツーリズムの振興を図るため、映像制作者とロケ地が情報交換を行う「旅フェア2005-メディア懇談会」の開催を支援する。また、平成16年度の調査結果を踏まえ、映像等コンテンツの活用による観光振興を図るための施策を検討する。

  (9) サイクルツアー推進事業

平成17年度には15モデル地区において、各地区で策定したサイクルツアー推進計画に基づき、自転車利用環境の整備や自転車を利用した観光促進策などを推進していく。

図 サイクルツアー推進事業のイメージ




  (10) 北海道の観光振興

北海道では、「北海道の観光を考える百人委員会」が来道観光客数1,000万人構想を提唱するなど、北海道の観光産業の飛躍的発展のための様々な取組が活発化しており、関係機関と連携を深めそれらを支援するため、道路整備、空港・港湾整備、都市環境整備、河川・海岸等の観光基盤の整備を図るための各種の措置を講じる。
平成17年度においては、沿道景観等の地域資源の保全と活用により競争力のある美しく個性的な北海道づくりを目指す「シーニックバイウェイ北海道」の本格展開を推進するほか、活力に満ちた農山漁村の形成に資する「わが村は美しく-北海道」運動を推進する。また、世界自然遺産に推薦している知床において観光客増加への対応策を講じる。

網走の流氷観光




  (11) 沖縄の観光振興

沖縄振興特別措置法、沖縄振興計画及び第2次沖縄県観光振興計画(平成17年3月決定)に基づき、多様なニーズに対応した通年・滞在型の質の高い観光・リゾート地の形成に向け、沖縄観光の一層の振興を図る。
平成17年度においても、新規事業として、特に離島振興を目的とした沖縄離島活性化特別事業の一環として、離島の観光地における観光案内標識や休憩施設・駐車場等の整備の推進を図るとともに、離島観光に関する効果的な情報発信方策の検討等に取り組む。また、バリアフリー観光の推進や、観光客の多様なニーズに対応できる質の高い観光人材の育成等の施策を引き続き実施する。 

沖縄型特定免税店の空港外展開



このほか、沖縄の豊かな自然、歴史、文化等を生かし、世界遺産の周辺整備や体験滞在交流の促進等に努めることとしている。
平成16年12月には、那覇市おもろまちの新都心地域に沖縄型特定免税店の空港外店舗が開業したところであり、ショッピング観光の新たな拠点として活用を図っていく。

  (12) 豪雪地帯における冬季の観光振興

豪雪地帯における観光・レクリエーション産業の振興や雪国の特性を生かした多様な交流を推進するため、豪雪地帯対策基本計画に基づき、冬期間観光の推進に資する冬期利用に配慮した各種施設の整備等を実施する。

  (13) 離島地域の観光振興

観光により離島地域経済の活性化を図ることを目的に、観光資源が十分に開発・活用されていない離島において魅力的な観光資源の開発、観光ルートの設定とともに、モニターツアーによる検証を行う「離島ツアー交流推進支援事業」を実施する。

  (14) 奄美群島・小笠原諸島の観光振興

奄美群島においては、地方公共団体が行う観光拠点としての園地等の整備や自然、伝統文化を体験するための施設の整備に対する支援を実施するとともに、群島内外との交流を促進するために地方公共団体が行う体験交流の推進や奄美群島の歴史、自然、文化について観光客に案内できる人材の育成等の事業に対して支援を実施する。
小笠原諸島においては、世界的にも貴重でかけがえのない自然を生かすためエコツーリズムの取組をより一層進めていくとともに、観光を中心とした島内産業の活性化を図るため、地方公共団体が行う自然公園、都市公園、観光交流施設、農業試験地等の整備や体験型観光交流プログラムづくりに対する支援を行う。

  (15) 半島地域の観光振興

観光を通じた半島地域の活性化を図るため、半島地域と都市間等において、NPOや地域住民等が主体となって行う交流・連携の促進方策を検討するほか、ワークショップ等を通じて、半島地域の観光を考える「半島ツーリズム大学」を開催する。

  (16) 総合保養地域のソフト面の充実等

平成16年2月に変更された「総合保養地域整備法第一条に規定する整備に関する基本方針」を受け、道府県の基本構想の見直しの促進を図るとともに、ソフト面の一層の充実のための地域住民やNPO等による地域間交流等の取組を促進する。
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