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平成19年度観光施策

 第1章 国際競争力の高い魅力ある観光地の形成

 第2節 観光資源の活用による地域の特性を生かした魅力ある観光地の形成

 1 文化財に関する観光資源の保護、育成及び開発



   (1) 文化財の保護等

文化財の指定等については、綿密かつ的確な調査に基づき、文化財としての価値はもとより、社会的諸条件も考慮し、緊急性、優先度等を勘案し、適切に進める。
「文化財保護法」に基づいて指定された有形の文化財(重要文化財、史跡名勝天然記念物)に対しては、その修理・防災事業等に対する補助を、登録された有形の文化財(登録有形文化財、登録記念物)に対しては、その修理の設計監理費の補助を、重要無形文化財の保持者に対しては、技の維持向上と伝承者の養成のため特別助成金の交付を、祭り等の民俗文化財に対しては、地域における伝承活動等に対する補助を行う。
文化財保護強調週間(11月1日~7日)には、文化財保護思想の高揚のため展覧会や芸能発表会、史跡めぐり等の各種行事を全国各地で展開するよう提唱する。
文化財防火デー(1月26日)には、文化財所在地における防火訓練や消防設備点検、広報活動等の関連行事を行い、文化財愛護思想の普及と行政・文化財所有者・地域住民らの文化財防災のための連携体制の構築、さらに、広域的な地域ぐるみ・住民ぐるみの防火・防災意識の高揚を目指す。

   (2) 博物館等

1)博物館
博物館においては、我が国を訪れる外国人旅行者の増加に対応するなど、すべての人々が快適に利用できる施設となるよう、「公立博物館の設置及び運営上の望ましい基準」や調査研究の成果の普及等によりその促進を図る。
2)国立博物館、国立美術館
平常展示に加えて特別展を各施設において開催し、文化財や美術の普及を図る。
また、平成17年10月に開館した「九州国立博物館」については、収蔵品の充実に努め、魅力ある展示を開催していく。さらに、平成19年1月に開館した国立新美術館については、企画展や公募展の開催、美術に関する情報収集・提供事業等を行う。
なお、外国人の来館者に対する取組について、多言語による館紹介パンフレットの作成、展示作品のキャプションの英語併記等を引き続き推進していく。
3)国立科学博物館
平成19年4月に、施設と展示の改修工事を進めてきた本館を「日本館」としてオープンし、「日本列島の自然と私たち」をテーマに、日本列島の豊かな自然とそこに暮らす生き物たちの進化、日本人の形成過程と私たちと自然の関わりの歴史について展示する。この日本館においても地球館(新館・平成16年開館)と同様、高齢者、身体障害者、外国人を含むあらゆる人々に優しい観覧設備を整備し、展示のユニバーサル化を図っていく。

   (3) 国立劇場等

国立劇場においては、伝統芸能の公演を行うほか、我が国古来の伝統的な芸能の保存及び振興を図るための事業を引き続き行う。国立劇場おきなわでは、沖縄伝統芸能の公開、伝承者養成、調査研究等を行う。また、新国立劇場においては、現代演劇等の公演のほか、研修事業の実施、現代舞台芸術情報システムの構築等を行う。
なお、外国人向けに、国立劇場では歌舞伎・文楽公演のイヤホンガイド英語版を提供するほか、国立能楽堂では各座席ごとに設置した字幕装置を用いて英語字幕を表示するとともに、公演内容等をプログラムに英文で掲載するなどの対応を引き続き行う。

   (4) ナショナル・トラスト活動への支援

ナショナル・トラスト活動の推進を通じて、我が国固有の文化遺産や自然環境等の保護・活用を図るため、ナショナル・トラスト活動団体が行う対象資産等の取得、修復、保全、整備、このための調査、ナショナル・トラスト事業に必要な募金活動の展開及び観光資源や自然環境の保護・活用の意義の普及・啓発等の諸活動に対する支援を行うとともに、引き続き税制優遇措置、普及・啓発等の施策を通じその一層の推進を図る。
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