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平成19年度観光施策

 第1章 国際競争力の高い魅力ある観光地の形成

 第3節 観光旅行者の来訪の促進に必要な交通施設の総合的な整備

 2  観光の基盤となる交通施設の整備等



   (1) 旅客輸送機関等による観光の利便向上

1)鉄道による観光の利便向上
地下鉄等の駅において実施している駅のナンバリングについて、今後も、路線が複雑で外国人の利用の多い地域を中心に駅におけるナンバリングの導入を引き続き検討するよう促す。
2)自動車による観光の利便向上
1)バス・タクシー
バス事業においては、観光都市における景観にマッチした機能的なバス停の整備・導入及び国立公園等の観光地への低公害バス利用者の利便性を高めたバス車両の導入等に対し支援を行う。
タクシー事業においても、時間制運賃や観光ルート別運賃の設定等利用者ニーズに応じた多様な運賃の設定が可能となるよう制度運用を行う。
2)道路
通り名での道案内方式の実施、主要な幹線道路の交差点及び交差点付近におけるルート番号等を表示した案内標識の設置、歩行者系の地図標識を活用した多言語表記を推進することにより、分かりやすい道路案内標識を整備し、外国人旅行者をはじめとする地理に不案内な観光客が迷うことなく目的地に到着できるような取組を推進する。
道路交通情報通信システム(VICS)については、情報内容の改善や充実等のサービスの向上を図るとともに、3メディア対応型VICS車載機の普及等を推進する。
「道路特定財源の見直しに関する具体策」(平成18年12月8日閣議決定)に基づく平成20年度以降の高速道路料金引下げ等による既存高速ネットワークの効率的活用・機能強化のための新たな措置の実施に向け、平成19年度において、料金引下げに伴う効果と影響等を把握する社会実験を実施する。
また、スマートインターチェンジ(ETC専用インターチェンジ)等を活用した追加インターチェンジ整備の促進を図る(図1-3-1)。

図1-3-1 SA・PAに接続するスマートインターチェンジ(イメージ)



地方道においては、地域の課題に対応して複数事業を一括して支援する地方道路整備臨時交付金を活用して「観光」の発展を目標とする事業を引き続き支援し、地域の自主性と創意工夫を生かした観光施策の推進を図る。
日本国内に豊富に存在する名勝や史跡、温泉等に恵まれた観光地へのアクセスや観光地間の周遊の利便性を向上させることによって地域全体の魅力をより高めるため、観光地へのアクセスや地域間の交流・連携の強化を図る道路等の整備を推進する。
カーナビゲーションシステムの高度化を支援するため、道路の幅やカーブの大きさ等、道路構造上の「走りやすさ」に関するデータのカーナビゲーションシステムへの取込み方法等について、官民共同で検討を行う(図1-3-2)。

図1-3-2 カーナビへの展開イメージ



安全な歩行空間の整備を推進するほか、都市・地域の安全で円滑な交通の確保と魅力ある将来像を実現するための「都市・地域総合交通戦略」の策定を支援するとともに、同戦略に基づき行われる公共交通導入及び利用促進等を総合的に支援していく。
安全な歩行空間の整備を推進するほか、TDM施策を推進し、交通の円滑化を進める。さらに、駐車需要が集中する地区において、駐車誘導システムの整備を推進する。
3)飛行機による観光の利便の向上
1)航空路線網の充実
国際交流の拡大に向け、国際航空路線網の充実を図るため、引き続き諸外国との航空協議を進めていく。地方空港についても、地域の取組、需要動向等を踏まえつつ、国際旅客チャーター便の運航や定期路線の開設を支援していく。
4)旅客船による観光の利便向上
1)クルーズの振興
クルーズ旅行の需要拡大とクルーズ客船の誘致を図るため、引き続き「外航クルーズ旅行振興全国協議会」及び「地方クルーズ振興協議会」を活用して官民一体となった取組を実施する。また、「クルーズアドバイザー認定制度」を支援するなどして、クルーズ需要の拡大等に取り組んでいく。
2)船旅の魅力向上
国内旅客航路については、利用者の減少や近年の燃料油の高騰によるコスト上昇等により、厳しい経営環境となっている。
一方で、四面を海に囲まれた我が国における貴重な交通モードとして、また、ゆとりある時間を満喫できる移動空間として、船旅がより多くのユーザーから楽しまれるようになることが期待されており、我が国の魅力を発信するツールとしても注目されている。
このような中、「船旅の魅力再生のための懇談会」で平成18年6月に取りまとめられた中間提言を踏まえ、「船旅の魅力向上」と「離島観光振興」を重点施策に位置付け、当面、平成19年夏を最初のターゲットとして、「普段着の船旅」の魅力向上に向け、国、旅客船業界、旅行業界、地域の関係者等が連携し、一致協力して情報発信の強化やニーズに合った商品開発・販売促進の取組等の展開を進めており、これら船旅の魅力向上と離島の観光交流促進等を通じて、地域の観光振興に努めていく。

▲「おれんじ8」船内エントランス




▲長距離フェリー航路に就航する「きそ」




▲るるぶ「日本すみずみ船の旅」




▲「日本全国たのしい船旅」




▲「フェリーズ」



  コラム 旅行業界と旅客船業界との連携による「普段着の船旅」の魅力向上に向けた取組  

四面を海に囲まれた我が国にとって、船旅は古くて新しい観光資源となっている。今般、フェリー、離島航路等による「普段着の船旅」の魅力向上に向け、国、関係業界が一致協力して、船の認知度向上のための戦略的な情報発信や利用者ニーズにあった船旅商品の開発・販売促進等、以下のような取組を展開している。

「船から見る風景100選」の募集



今回の取組をきっかけに、関係者が更に緊密に連携して、船旅の魅力向上や離島の観光交流拡大の実現に努め、観光を通じた地域振興を進めていきたいと考えている。

   (2) 様々な情報提供

1)道の駅における情報提供
快適な休憩スペースを提供するとともに、案内員や情報端末、パンフレット等により、道路、観光、医療等の地域情報を提供する「道の駅」の整備を推進する。
2)駐車場案内システムの整備
道路交通の円滑化を図るとともに、市街地の活性化や、観光客等地理不案内な来街者の利便性向上を目指して、駐車場の位置や満空情報を提供する駐車場案内システムの導入を引き続き促進する。
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