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平成19年度観光施策

 第4章 観光旅行の促進のための環境の整備

 第4節 観光旅行の安全の確保

 1 国内外の観光地における事故、災害等の発生の状況に関する情報の提供



   (1) 気象情報の提供充実

特定地点別に行っている高潮予測について、複雑な海岸地形を取り込み面的に行うほか、沿岸の詳細な波浪予測を行うことにより、海岸・港湾ごとのきめ細かな防災対応や住民の適時・的確な避難対応を支援する。また、気象庁ホームページにより防災気象情報等を引き続き提供(http://www.jma.go.jp)するとともに、英文ページの内容の充実に努める。

   (2) 観光地における安全対策の推進

1)林野火災・山地災害等の防止対策
全国山火事予防運動実施期間(3月1日~7日)及び3・4月の林野火災多発時期を中心に、防火思想の啓発・普及に努めるとともに、監視パトロールの実施等の出火防止対策の推進、林野火災防ぎょ訓練の実施等、林野火災の総合的な予防対策を強化する。
また、林野火災発生時には近隣都道府県等や自衛隊のヘリコプターによる消火活動を積極的に実施するなど、迅速かつ広域的な対応力の強化を推進する。
さらに、観光地の周辺の森林において、山崩れ、雪崩等の災害を防止するため、周辺の景観に配慮しつつ、治山事業等を実施し、安全の向上と併せて観光資源の質的向上を促進する。
2)河川情報等
インターネットや携帯端末等を利用し、リアルタイムの観測情報を国民に提供(http://www.river.go.jp)するとともに、河川の流況等のライブ映像等を災害対策基本法上の指定公共機関であるNHKに提供することにより、TV報道を通じて、各家庭に情報が提供されるよう努める。
3)土砂災害
土砂災害等のおそれがある観光地について、土砂災害を防止するため、砂防設備等の整備等のハード対策と、監視装置の設置等ITを活用した情報基盤の整備や「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律」に基づく土砂災害警戒区域等の指定、警戒避難体制の整備等のソフト対策を併せたハード・ソフト一体となった総合的な土砂災害対策を推進する。
また、地方自治体の防災活動や住民の警戒避難行動等を支援することを目的に、土砂災害警戒情報に関する伝達の施策を推進する。
4)道路の防災対策
地震・豪雨・豪雪等の自然災害に対し、観光地へのアクセス道路等を含め、安全で信頼性の高い道路ネットワークを確保するため、道路の斜面対策や孤立を防ぐ生命線となるバイパスの整備を推進するとともに、災害時の救援活動や緊急物資輸送に不可欠な道路交通を確保するために必要となる緊急輸送道路の橋梁の耐震補強や避難路の整備等を推進する。さらに、雪崩予防柵の設置等の防雪事業や除雪事業等の雪寒対策により、安定した冬期の道路交通の確保を推進する。
また、災害時においても道路利用者の利便の向上を図り、安全で円滑な道路交通を確保するため、道路情報板のほか、携帯端末等による道路の災害情報の提供を推進する。
5)地震・火山
地震に対する土砂災害から人命等を保護するため、地震によるがけ崩れの危険度を評価し、大きな被害を及ぼすおそれのある箇所について、砂防関係施設を重点的に整備する。
また、火山噴火に起因した土砂災害を防ぐため、砂防設備等のハード対策並びに火山ハザードマップの作成・公表の支援や噴火時の災害をできる限り軽減するための火山噴火緊急減災対策の検討、異常な土砂の動き等を監視・情報伝達するために必要な機器の設置等により、総合的な火山砂防事業を推進する。
火山の多くは観光資源である一方、災害をもたらすおそれがあることから、観光客の安全確保等を図るため、引き続き観光と関わりの深い火山の活動の監視及び火山情報の提供等を実施する。
  コラム 能登半島地震による観光への被害対策と今後の取組  

平成19年3月25日の「平成19年能登半島地震」発生後に生じたいわゆる風評被害等によって、宿泊施設の予約キャンセルが発生するなど、観光客の減少によって、能登半島地域をはじめとする石川県内の観光地は大きな被害を受けた。
このような風評被害の払拭のために、同年4月17日には「ようこそ能登」観光キャンペーン実行委員会が、石川県、地元市町、経済・観光団体、北陸信越運輸局等の参画の下で発足し、新聞・ラジオ・JR主要駅等におけるPR活動等の国内誘客促進キャンペーンに取り組んでいる。
また、国としても地元関係者との連携の下、1平成19年4月19日から22日に開催された旅フェア2007((社)日本観光協会主催)における能登観光支援コーナーの設置等によるPRの実施、2ビジット・ジャパン・キャンペーンの実施による台湾等からの外国人観光客の誘致拡大、3平成19年度の観光関係団体のセミナー等について石川県での集中開催の要請等に努めているところであり、今後とも観光復興に向けて関係者一丸となった取組を進めることとしている。

   (3) 遭難防止対策等の推進

1)山岳遭難の防止対策
インターネット等を通じた登山情報の提供や、山岳パトロール等の活動を通じた安全指導を行うことにより、登山者の安全意識の向上に努めるとともに、山岳警備隊による救助訓練等を実施することにより、迅速かつ的確な救助活動の実施を図る。
2)水難の防止対策
海浜におけるパトロールや、船舶・航空機による監視活動等を行うことにより、遭難者の早期の発見、救出・救護に努めるとともに、関係機関・団体と協力した救助訓練や水難防止等の呼び掛けを行うことにより、国民の安全に関する意識及び知識の向上を図る。
近年、カヌーやラフティングをはじめとした水面利用や自然体験活動等、河川での活動が多様化していることから、河川管理者や地元自治体、水面利用者が一体となって、河川の安全利用を進めるための安全講習等の支援、インターネットや携帯電話による河川情報の提供等(http://i.river.go.jp)を推進する。
3)避難体制の確立
観光旅行者に対し、災害危険箇所及び避難場所・避難路等について周知するよう、引き続き地方公共団体に要請する。
また、災害危険性のある観光地を有する地方公共団体を重点に、事前に避難路及び避難計画を定めるとともに、避難場所等の安全性についての点検、観光旅行者等への迅速かつ確実な情報伝達及び十分余裕をもった避難の勧告・指示等避難誘導体制全般の整備促進を図り、統一的な図記号等を利用した分かりやすい案内板等の設置を進める。さらに、防災関係機関との連携の下に、防災訓練を定期的に実施するよう要請する。

   (4) 海外における事故・事件への対応と安全対策

近年、日本人の海外渡航者が増加しており、また、団塊の世代の多くが定年を迎え、高齢層の海外渡航者の増加が見込まれるところ、海外における多様な危険に対する安全対策と支援体制の強化がますます重要となっている。
1)各種広報啓発活動の展開
海外で幅広い年齢層の日本人が安全に楽しく旅行できるよう、引き続き、「海外安全ホームページ」、旅行業者等を通じて、旅行先の治安、テロ、災害、感染症等の多様な危険に関する最新情報、日本人が巻き込まれやすい犯罪等の傾向と対策等を、旅行者に対してより分かりやすく効果的に提供するよう努め、海外における危機及び安全対策に関する知識の増進を図る。
2)海外における支援体制の強化
万一、日本人が海外でトラブルに巻き込まれた場合には、トラブルの種類と状況を的確に把握し、必要に応じた可能な支援を迅速かつ適切に行えるよう支援体制を強化する。
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