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平成19年度観光施策

 第4章 観光旅行の促進のための環境の整備

 第4節 観光旅行の安全の確保

 2 観光旅行における事故の発生の防止等



   (1) 鉄道の安全対策

自動列車停止装置(ATS)の設置・改良、列車集中制御装置(CTC)化等による安全・安定輸送の確保やホームにおける安全対策を推進するとともに、適正な運行管理、厳正な服務、確実な運転取扱い等に関して所要の指導を行う。
踏切道の事故防止対策については、引き続き踏切道の立体交差化、構造改良、踏切保安設備の整備等を総合的に推進する。
また、地下鉄道の火災対策基準に適合していない地下駅等について、引き続き所要の火災対策施設の整備促進を図る。なお、テロ対策については、引き続き、鉄道事業者や関係行政機関等で構成される「鉄道テロ対策連絡会議」における検討等により、鉄道テロ対策を推進する。

   (2) 道路交通の安全対策

自動車運送事業者に対しては、引き続き輸送の安全確保に必要な運行管理の充実及び監査体制の強化を行うとともに、テロ対策の徹底を図る。
安全かつ円滑・快適な道路交通環境の整備を図るため、交通安全施設等の一層の整備に取り組む。都道府県公安委員会においては、交通管制センター、信号機の高度化、信号灯器のLED化をはじめ、交通情報板、光ビーコン、公共車両優先システム(PTPS)等の整備を引き続き推進する。また、道路管理者においては、歩道の整備、歩行空間のバリアフリー化等を引き続き推進する。
特に、社会資本整備重点計画に即し、あんしん歩行エリアの整備、歩行空間のバリアフリー化の推進等の歩行者等の安全通行の確保や、事故危険箇所対策の推進、総合的な駐車対策の推進等の幹線道路等における交通の安全と円滑の確保、信号機の高度化、高度道路交通システム(ITS)の推進等IT化の推進による安全で快適な道路交通環境の実現を重点的に図る。また、自動車による旅行者の安全が図られるよう、行楽地を中心に、必要に応じた交通規制、交通整理及び交通指導取締りの強化に努める。
また、行楽期には、事前広報や臨時交通規制を実施するとともに、交通量の変動に対応した信号制御を行うほか、交通情報板や道路交通情報通信システム(VICS)等による交通渋滞情報等の提供により、う回を促すなどして、行楽車両の適切な配分誘導に努めるとともに、3メディア対応型VICS車載機の普及等を推進する。
さらに、高速自動車国道等においても、交通安全施設の整備等、事故防止に向けた交通安全対策を推進するとともに、付加車線の整備等による渋滞対策、道路交通情報提供施設の整備等、利用者サービスの向上を推進する。

   (3) 航空の安全対策

1)航空保安対策の推進
アメリカ同時多発テロ事件や平成18年8月の英国における航空機爆破テロ未遂事件等の航空保安を巡る厳しい情勢を踏まえ、航空会社、空港管理者等と連携を図りながら航空保安対策の推進を図る。
2)次世代航空保安システムの構築
我が国の経済発展、地方の活性化、諸外国との交流拡大等に伴う航空交通量の増大に対応するため、引き続き人工衛星やデータリンク等の新技術を活用した次世代航空保安システムの構築を推進する。
3)スカイハイウェイ計画の推進
上空及び空港の混雑が深刻化する中で、今後も増大する航空交通に対し、航空管制の高度化により安全を確保しつつ「空の路」である航空路・空域の容量拡大・活用を行うことが喫緊の課題となっている。このため、安全かつ効率的な新しい運航方式(RNAV(広域航法))の積極的な導入・展開を推進し、平成22年度には、羽田空港発着路線も含め、国内主要路線において出発から到着までの間がすべてRNAVで運航可能となるように検討する。また、平成24年度にはノンレーダー空港も含め、主なローカル路線においてもRNAV運航が可能となるように検討する。
4)施設整備の推進
航空機の就航率等の改善を図るため、広島空港等の各空港の運航状況に応じ、引き続き航空保安施設等の整備や性能向上を推進する。

   (4) 海上交通の安全対策

酒酔い操縦や危険操縦の禁止、ライフジャケットの着用等の小型船舶に係る遵守事項について、関係機関と共に周知・啓発活動及びパトロール活動を行い、小型船舶の航行の安全向上を図る。
加えて、港湾法に基づき、港湾区域、臨港地区等におけるプレジャーボートの放置等禁止区域の指定を促進し、公共水域や周辺陸域の適正な管理を推進するとともに、係留・保管場所やビジターバース等の情報提供サイトである「海覧版~プレジャーボート保管場所情報~」(http://kairanban21.jp)の情報充実を図ることにより、安全、快適かつ適正なプレジャーボート利用を促進するための環境整備を行う。
また、マリンレジャーの安全推進のため、引き続き「自己救命策確保キャンペーン」等を推進する。
海上交通の安全を確保するため、船舶への立入検査の実施等、あらゆる機会を通じて指導取締りを実施する。
さらに、救助、救急体制の強化、民間による救助体制や洋上救急体制に対して積極的に支援・指導等を行うなど、救難体制を確保するための様々な施策を引き続き講ずる。

   (5) 宿泊施設の防火安全対策の推進

防火対象物定期点検報告制度及び自主点検報告表示制度について、防火セイフティマーク等の活用も含め、引き続き周知・徹底を行い、点検報告の実施を促進し、本制度の着実な定着を図るとともに、消防法令違反のあるものに対して違反是正の徹底を促進する。
また、火災時の初動対応能力の向上、防火管理体制が手薄となる夜間の体制整備、高齢者等の災害時要援護者に対する火災安全対策等の推進を図り、旅館・ホテル等の実質的な防火安全体制の充実を促進する。
旅館、ホテル等については、特に既存不適格建築物について、建築物防災週間等の機会をとらえて防災査察を実施し、改善指導に努めるとともに、一定規模以上の旅館、ホテル等に対しては「建築基準法」に基づき定期的に維持保全の状況について調査報告を求め、必要な改善指導を行い、防火・避難上の安全の確保を図る。
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