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第II部 平成21年度の観光の状況及び施策
第2章 国際競争力の高い魅力ある観光地の形成
第2節 観光資源の活用による地域の特性を生かした魅力ある観光地の形成
1 文化財等に関する観光資源の保護、育成及び開発
(1) 文化財等の保存・活用
国は、貴重な国民の財産である文化財を保護するため、「文化財保護法」に基づき、有形文化財を国宝、重要文化財や登録有形文化財に、無形文化財を重要無形文化財に、民俗文化財を重要有形・無形民俗文化財や登録有形民俗文化財に、遺跡、名勝地、動植物等を史跡、名勝、天然記念物や登録記念物に指定・登録するほか、棚田や用水路等を重要文化的景観に、歴史的な集落・町並みを重要伝統的建造物群保存地区として選定するなど、その適切な保存・活用を図っている。
北海道斜里町(日本のナショナルトラスト運動の先駆け、知床100平方メートル運動)
特に、地域の歴史的・文化的シンボルである史跡等については、保存のための整備、建物復元・遺構の露出展示やガイダンス施設の設置といった活用のための整備を行い、その魅力を高めることで、地域の観光資源として活用している。
イベント開催による保有資産の活用(旧安田楠雄邸における「ひなまつり2010」の開催(平成22年2月~3月))
そのほか、平成19年10月に取りまとめられた「文化審議会文化財分科会企画調査会報告書」において提言されている、市町村において文化財を周辺環境も含め総合的に保存・活用するための方針を定める「歴史文化基本構想」の策定を推進するため、平成20年度より20地域においてモデルケースとして基本構想の策定を行っており、その結果を踏まえ指針を作成することとしている。
募金活動や寄付により歴史的価値を有する文化遺産や良好な自然環境を有する土地等を取得し、その適正な管理、保全及び活用を図るナショナルトラスト運動を行う法人に対しては、寄付について税制優遇措置を講じているほか、これまでのナショナルトラスト運動の成果及び課題の整理に関する調査等、普及啓発のための施策を講じた。今後もナショナルトラスト運動推進に関する支援を行っていくこととしている。
(財)日本ナショナルトラストにおいては、旧安田楠雄邸(東京都文京区)を始めとした保有資産の一般公開、会報の発行、シンポジウムの開催等を行っており、これらの活動を通じて、ナショナルトラスト運動が積極的に推進されている。
また、(社)日本ナショナル・トラスト協会が主催した「第27回ナショナル・トラスト全国大会」には全国各地から関係者約150名が参加し、シンポジウム等を通じて自然環境保全活動等の一層の推進が図られた。
(2) 世界文化遺産の保護
1972年ユネスコ総会で採択された「世界遺産条約」により、我が国では日本の文化財を世界遺産一覧表に記載するとともに、世界遺産の保護に関する国際的な協力の取組を進めている。
平成22年2月には、「平泉-仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び関連の考古学的遺跡群-」について、推薦書を提出した。
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