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第II部 平成21年度の観光の状況及び施策

第5章 観光旅行の促進のための環境の整備

第3節 観光旅行者の利便の増進

1 高齢者、障害者、外国人その他特に配慮を要する観光旅行者が円滑に利用できる旅行関連施設等の整備及びこれらの利便性の向上



  (1) 旅行関連施設のバリアフリー化

 公共交通機関等の旅行関連施設のバリアフリー化については、「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー新法)」に基づき、市町村による基本構想の作成を促進しており、平成21年9月末現在で259の市町村が基本構想を作成(複数作成している市町村があり、総数としては343)している。
1) 公共交通機関等のバリアフリー化
 公共交通機関等のバリアフリー化については、平成22年までに1日平均利用客数5,000人以上の旅客施設について100%バリアフリー化する等の目標を定め、旅客施設の整備、車両等の導入等に対して補助や税制上の特例措置等の支援措置を講じている。さらに、交通事業者等がバリアフリー化を進める際の目安として各種のガイドラインを策定し、その普及を図っている。
2) 歩行空間の整備・バリアフリー化
 誰もが安心して歩ける歩行空間を形成するため、「バリアフリー新法」に基づき、駅、官公庁施設、病院等を相互に連絡する道路について、幅の広い歩道の整備、既設歩道の段差解消及び勾配の改善、バリアフリー対応型信号機や道路標識等の整備を実施しており、今後も引き続き実施していくこととしている。
3) 河川空間のバリアフリー化
 地域のまちづくりと一体となった水辺空間を創出するため、スロープ、手摺り、緩傾斜堤防整備等によるバリアフリー化を行うなど、すべての人々が安心して河川に訪れることができるよう水辺の整備を進めており、今後もこれらの取組を引き続き実施していくこととしている。
4) 都市公園のバリアフリー化
 都市公園においては、高齢者や障害者を含むすべての人々が快適に利用できるよう、平成21年度に創設した「都市公園安全・安心対策緊急総合支援事業」により、「バリアフリー新法」に基づくバリアフリー化の取組を支援した。
 また、国営公園では、障害者福祉に一層寄与するため、平成20年度より障害者介添者の入園料を免除(対象1名)しており、両施策については、今後も引き続き実施することとしている。
5) 宿泊施設・文化施設等
 宿泊施設・文化施設等の建築物のバリアフリー化を推進するため、バリアフリー化の誘導的基準を満たす認定特定建築物について、税制上の特例措置等の誘導施策を講じ、一層の整備促進を図っており、今後も引き続き実施することとしている。

  (2) ユニバーサルデザインの考え方に基づく観光の促進

 ユニバーサルデザインの考え方に基づく観光を促進させるため、高齢者や障害のある方等が参加しやすい旅行商品を企画・造成する際のチェックシートを作成した。

  (3) バスの利便性向上

 地方公共団体、道路管理者、警察署、都道府県バス協会、バス事業者等の幅広い関係者の連携によるバス交通を中心としたまちづくりを目指すオムニバスタウンについて、14都市を指定している。また、GPS等を利用し、停留所やウェブ上でバスの位置情報が得られる「バスロケーションシステム」については、平成21年3月末現在9,054系統で導入されており、今後も引き続き、普及促進を図ることとしている。

  (4) 道路交通の円滑化

 環状道路やバイパスの整備、交差点の立体化等の交通容量拡大策に加えて、路上工事の縮減、駐車対策、有料道路の効果的な料金施策を実施するとともに、車利用者の交通行動の変更を促す交通需要マネジメント施策の実施や、カーナビゲーションシステムに道路交通情報をリアルタイムに提供する「道路交通情報通信システム(VICS)」の情報提供エリアの拡大、情報内容や精度の改善・充実により、道路交通の円滑化を図ることで、観光旅行者の来訪の促進や利便性の向上を図っており、今後も引き続き実施していくこととしている。

  (5) 運賃等の割引等

1) 公共交通機関
 鉄道等各公共交通機関において、主として身体障害者手帳の交付を受けた身体障害者及び療養手帳の交付を受けた知的障害者に対し、運賃割引を実施しているところであるが、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた精神障害者に対する運賃割引の実施についても、引き続き各公共交通機関の理解と協力を求めていく。
2) 駐車禁止規制の適用除外
 各都道府県公安委員会が認める一定の身体障害者等については、本人に対して駐車禁止除外指定車標章を交付し、駐車禁止規制の適用が除外されるよう措置している。今後も引き続き実施していくこととしている。

  (6) 道路における案内表示の充実

 地理に不案内な観光客等に対し、「通り名」を記載した案内標識による目的地への分かりやすい道案内等を実施した。また、現地の道路事情に詳しくない人でも快適に走行できるよう、道路の幅やカーブの大きさ等、道路構造の情報が一目で分かる「走りやすさマップ」を対応させた九州版のインターネット路線検索システムとして、「道路の走りやすさナビ」を実施している。
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