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第II部 平成22年度の観光の状況及び施策

第4章 国際観光の振興

第1節 外国人観光旅客の来訪の促進

3 MICE(国際会議等)の誘致の促進



  (1) MICE(国際会議等)の誘致・開催

1)MICE(国際会議等)の誘致・開催をめぐる動き
 国際会議を我が国に誘致し、我が国において国際会議を開催することは、我が国の情報発信力の強化、地域活性化に加え、国際交流の拡大、観光立国の推進にも資する重要な取組である。そのため、「観光立国推進基本計画」において、「今後5年以内に我が国における国際会議の開催件数を5割以上伸ばし、アジアにおける最大の開催国を目指す」との目標が掲げられ、その達成に向けて国を挙げて取り組んできたところである。
 平成21年の我が国の国際会議開催件数は、538件とシンガポール(689件)には及ばないものの、世界5位と依然として上位につけている。
 このように国際会議の開催・誘致の推進については一定の成果を挙げてきたところであるが、シンガポール、韓国等のアジアの誘致競合国や米国、豪州等においては、国際会議のみならずMICE(Meeting, Incentive travel, Convention, Event / Exhibition)全般の振興に積極的に取り組んでいるところから、これら国際会議以外のものについても訪日外国人旅客の増大、経済効果、地域の国際化・活性化等に大きな意味を持つため、我が国としても国際会議だけではなくMICE全般を推進していく必要があるとしたところである。
 そのような中、平成21年7月に国及び関係主体が具体的に果たすべき役割や活動内容、時期等についてまとめた「MICE推進アクションプラン」を策定し、このアクションプランに基づき国及び関係主体が連携してMICEの推進に取り組んでいくこととした(図II-4-1-2)。

図II-4-1-2 MICEの概要


 平成22年10月には、愛知県名古屋市において生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が開催され、180の締約国、関連国際機関、NGO、報道関係者、スタッフ等あわせて1万3千人以上が参加した。
 平成22年度には、我が国がAPEC議長を務め、横浜での首脳・閣僚会議を始め、全国12都市で各種の大臣会合・関連会合を開催した。これらの会合では、アジア太平洋地域の持続可能な成長と繁栄に向けて議論を行った。また、日本の伝統文化紹介や料理の提供に加え、最先端の技術の展示等を行い、のべ1万人以上の海外訪問客に日本の魅力を紹介した。
2)MICE(国際会議等)の誘致・開催推進の具体的な取組
 MICE(国際会議等)の誘致・開催を推進するため、主に、以下の取組を実施した。
1)MICEの誘致支援
 関係省庁とも連携し、所管大臣等による招請状の発出、在外公館による国際会議の開催国決定権者等に対する働きかけ等の支援を実施した。また、海外において行われるMICE見本市への出展や、MICEの開催国決定権者等の我が国への招請を通じて、MICE開催適地としての日本の魅力をPRした。さらに、MICEの開催地決定権者等に対して誘致働きかけを行うために実施される説明会等について、観光庁が共催することで支援を行った(表II-4-1-3)。

表II-4-1-3 誘致に成功した国際会議の例


2)「Japan MICE Year」について
 平成22年を従来の国際会議誘致からMICE全般の推進へと変革していく年、すなわちMICE元年とし、「Japan MICE Year」と位置付け、更なるMICE推進に向け、積極的な誘致活動を行った。その一環として、平成22年7月、自治体や各地のコンベンションビューロー、PCO(会議運営会社)等関係者全般を対象に、MICEの意義やその推進のための実践的知識・ノウハウを習得してもらうことを目的として「Japan MICE Year 記念シンポジウム」を大阪にて開催した。

「Japan MICE Year」ロゴマーク及びキャッチフレーズ


3)国際ミーティング・エキスポ(IME)
 平成22年12月、東京国際フォーラムにおいて、我が国で唯一の国際コンベンション見本市である「国際ミーティング・エキスポ(IME)2010」を開催した(日本政府観光局(JNTO)及び日本コングレス・コンベンション・ビューロー(JCCB)と共催)。国内外の国際会議関係団体・企業、地方自治体、メディア等が一堂に会し、情報交換や商談会が行われた。
3)沖縄におけるMICE(国際会議等)の誘致・開催の推進について
 沖縄におけるMICE誘致・開催の取組については、「国際会議等各種会議の沖縄開催の推進について」(平成12年6月20日閣議了解)を踏まえ、これまでも政府として推進してきたところであり、平成22年10月には、APEC電気通信・情報産業担当大臣会合が開催されたほか、平成24年5月の日本・太平洋諸島フォーラム首脳会議(太平洋・島サミット)の開催が決定した。
 また、平成22年10月に、名護市でAPEC電気通信・情報産業大臣会合を開催した。
4)北海道におけるMICE(国際会議等)の誘致・開催の推進について
 北海道におけるMICE誘致・開催の取組については、「国際会議等の北海道開催の推進について」(平成20年7月4日閣議了解)を踏まえ、各省庁との連携により政府としての取組を強化しつつ、「Japan MICE Year」に連動して北海道におけるMICE誘致・開催の取組を総合的に展開するため、政府、北海道、自治体及び民間企業等の連携強化を進めた。
 また、平成22年6月に、札幌市でAPEC貿易担当大臣会合を開催した。

  (2) 国際的な文化フォーラムの開催

 内外の芸術家、文化人等を招へいし、座談会・講演・鼎談等の形式により世界の文化芸術の最新の諸相や動向について語り合うことを目的として国際的な文化フォーラムを平成15年度から開催している。
 平成22年度は11月18日から「文化の多様性と東アジア」を共通テーマに東京・奈良・福岡で3つのセッションを行い、世界に向け文化芸術のメッセージを強く発信した。
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