前(節)へ   次(節)へ
第II部 平成23年度の観光の状況及び施策

第5章 観光旅行の促進のための環境の整備

第3節 観光旅行者の利便の増進

1 高齢者、障害者、外国人その他特に配慮を要する観光旅行者が円滑に利用できる旅行関連施設等の整備及びこれらの利便性の向上



  (1) 旅行関連施設のバリアフリー化

 公共交通機関等の旅行関連施設のバリアフリー化については、「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法)」等を踏まえ、関係者が必要に応じて緊密に連携しながら、移動等円滑化の促進に関する基本方針に定められた目標を達成することを目指す等一体的・総合的なバリアフリー化を推進している。

  1) 公共交通機関等

 旅客施設においては、地域の実情に鑑み、高齢者、障害者等の利用の実態等を踏まえてバリアフリー化を推進し、原則として1日あたりの平均的な利用者数が3,000人以上である旅客施設のバリアフリー化を優先的に行っている。また、車両等においては、鉄軌道車両やバス車両、タクシー車両について、バリアフリー化を行っている。

  2) 歩行空間

 誰もが安心して歩ける歩行空間を形成するため、「バリアフリー法」に基づき、駅、官公庁施設、病院等を結ぶ道路において、幅の広い歩道等の整備、歩道の段差・傾斜・勾配の改善、無電柱化の推進、視覚障害者誘導用ブロックやバリアフリー対応型信号機、道路標識等の整備を実施しており、引き続き実施していくこととしている。

  3) 河川空間

 地域のまちづくりと一体となった水辺空間を創出するため、傾斜の緩い堤防の整備等により、すべての人々が安心して河川に訪れることが出来るよう水辺を整備しており、これらの取組を引き続き実施していくこととしている。

  4) 都市公園

 都市公園においては、高齢者や障害者を含むすべての人々が快適に利用できるよう、平成21年度に創設した「都市公園安全・安心対策緊急総合支援事業」により、「バリアフリー法」に基づくバリアフリー化の取組を支援している(平成21年度から5年間に限定)。また、国営公園では、障害者福祉に一層寄与するため、障害者本人及び介添者(対象1名)の入園料を免除しており、引き続き実施することとしている。

  5) 宿泊施設・文化施設等

 宿泊施設・文化施設等の建築物のバリアフリー化を推進するため、バリアフリー化の誘導的基準を満たす認定特定建築物について、税制上の特例措置等の誘導施策を講じ、一層の整備促進を図っており、引き続き実施することとしている。

  (2) ユニバーサルデザインの考え方に基づく観光の促進

 誰もが安心して旅行をするためのユニバーサルツーリズムについて、旅行の送客を担う旅行会社での取り組みを促進するため、モニターツアーやアンケート調査を実施し、旅行サービスのあり方を検討した。

  (3) バスの利便性向上

 地方公共団体、道路管理者、警察署、都道府県バス協会、バス事業者等の幅広い関係者の連携によるバス交通を中心としたまちづくりを目指すオムニバスタウンについて、14都市を指定している。また、GPS等を利用し、停留所やウェブ上でバスの位置情報が得られる「バスロケーションシステム」については、平成23年3月末現在10,720系統で導入されている。

  (4) 道路交通の円滑化

 環状道路やバイパスの整備、交差点の立体化等の交通容量拡大策の実施により、観光旅行者の来訪の促進を図った。加えて、路上工事の縮減、駐車対策の実施、車利用者の交通行動の変更を促す交通需要マネジメント施策や、カーナビゲーションシステムに道路交通情報をリアルタイムに提供する「道路交通情報通信システム(VICS)」の情報提供エリアの拡大等、情報内容や提供精度の改善・充実により、効率的な観光周遊に資する交通の円滑化を図った。
 上記に加え、高速道路上を中心に設置したITSスポットによる広範囲の渋滞データに基づきカーナビが賢くルート選択が可能であるダイナミックルートガイダンスサービスの活用等により、さらなる道路交通の円滑化を図ることで、観光旅行者の来訪の促進や利便性の向上を図っていくこととしている。

  (5) 運賃等の割引等


  1) 公共交通機関

 鉄道等各公共交通機関において、身体障害者手帳、療育手帳又は精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた利用者に対し、運賃割引を実施しており、引き続き理解と協力を求めていく。

  2) 駐車禁止規制の適用除外

 各都道府県公安委員会が認める一定の身体障害者等については、本人に対して駐車禁止除外指定車標章を交付し、駐車禁止規制の適用が除外されるよう措置しており、引き続き実施していくこととしている。

  (6) 道路における案内表示の充実

 地理に不案内な観光客等に対し、ルート番号等を表示した案内標識等による目的地へのわかりやすい道案内等を実施した。

  (7) 自転車利用環境の整備

 環境負荷の小さい都市内交通体系の実現と自転車関連事故対策のため、道路空間の再配分などにより、歩行者・自転車・自動車が適切に分離された安全で快適な自転車ネットワークの整備を推進した。
前(節)へ   次(節)へ
All Rights Reserved, Copyright (C) 2003, Ministry of Land, Infrastructure and Transport