公共交通と私達の未来

公共交通と私達の未来

 「明日からどうなってしまうのだろう・・・。」
私の住んでいる地域を走っていた鹿島鉄道が平成19年3月31日に廃線となってしまった。

 父の転勤により、東京から茨城に引越してきた。できるだけ交通の便が良い地へ、と鹿島鉄道沿線の新興住宅に引越してきたので残念でならなかった。通勤で利用していた父の生活スタイルも一変した。

 今では線路もはがされて、雑草が生いしげっている。その姿は殺風景で、もの淋しい風が吹いている。

 街にも変化があった。廃線後、土地の価格が下がり、広大な空地に家が建ち始めたのだ。鉄道を利用する人が少ないから廃線となったのに、なんて皮肉なことだろう。

 代替バスが運行されているが、問題が山積みである。まず時刻表通りの運行が出来ていない。そのため、多くの人々がマイカー通勤へと変わっていった。

 世界的に温室効果ガス削減が叫ばれている昨今なのに、私の街を含め、多くの地方はそれに逆行している。一家に二台はあたりまえ。
大人一人に一台ずつという家もある。これでは温室効果ガス削減しよう、だなんて考えられない。

 もし近場に買い物に行くならば、徒歩や自転車で行けばいい。健康になるし、環境にもいい。だが、個人で温室効果ガスを減らす努力には限界がある。

 そこで、未来の環境を考えた地球規模の街づくりを実行していかなければならない。そのために、公共交通機関を軸とした街を大胆に作っていかなければならないと私は思う。

 現在、富山市ではLRT(ライト・レール・トランジット)という新型の路面電車が運行されている。

 普通の電車と比べ、スマートな車体のため空気抵抗が少なく加速しやすい。路面電車のため既存の道路を利用できるので、多額の資金は必要ない、というメリットがある。さらにLRT専用道を設置することによって、定刻運行が可能となる。

 こんな路面電車が日本全国を網羅したらいいなぁ。どんなに便利になるんだろうと思った。

 もっと言うと、お年寄りやベビーカーを利用した子連れの方、車イスの方にも安心かつ快適に使えるよう、ユニバーサルデザインの車両がいい。また、路線は駅・市役所・図書館・病院・スーパーマーケットなど多くの停留所があるともっとよい。できれば、地域住民が大勢参加して、どこに停留所を作るか、どのようなルートにするかを話し合う場があるといい。そうすれば、地域から街へ、街から市へ、市から県へ、県から日本全土へと本当に必要な路線が出来上がる。

 問題は運賃だ。高過ぎたら、乗る人は少なくなる。低過ぎても会社の採算が合わなくなってしまう。しかし利用客のことを考えると、安ければ家族連れから通勤・通学など子供からお年寄りまで、多くの人が気軽に利用することができる。75才以上には無料パス支給というのもいいだろう。そうすれば、孤独になりがちなお年寄りだって、街に出るのが楽しみになるだろう。

 こんな夢の話でも、実現しようと思えば、可能であると思う。地球温暖化には待ってとは言えない。

 私の親が子供だった頃は、携帯電話は夢の話だったそうだ。もしかしたら、私が大人になる頃には、公共交通を中心とした交通網の発達した、環境や人にやさしい社会が実現しているかもしれない。

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