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2009/ 4/22 第144号
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◇目 次◇
1新着情報
・本日の報道発表
2現場レポート
新潟県内最大級規模の遺跡「長割遺跡」
3募集してます
・パブリックコメント(意見公募) お知らせ
◆現場レポート
○新潟県内最大級規模の遺跡「長割遺跡」
(北陸地方整備局 羽越河川国道事務所)
羽越河川国道事務所では、日本海沿岸東北自動車道(以下「日沿道」)の
村上IC(仮称)~朝日IC(仮称)間約9kmの整備を担当しています。事業は用地
買収が99%完了し、現在、埋蔵文化財発掘調査箇所を除く区間で、改良工事
及び橋梁工事(三面川橋(みおもてがわばし:仮称))を全面展開しているとこ
ろです。
今回ご紹介する遺跡は、昭和48年に実施した分布調査と平成11年、13年に
ほ場整備(※)に伴って実施した試掘調査により存在が確認され、長割(なが
わり)遺跡と呼ばれています。鮭の遡上で有名な二級河川「三面川」の支流、
門前川(もんぜんがわ)によって形成された自然堤防上(新潟県村上市下相
川字長割地先)に位置しています。
※農地の区画整理を中心に、農業用水路、農道など農業生産基盤の面的な
改良を一体的に行う事業
当事務所では日沿道の整備に伴い、平成19年4月から2カ年計画で新潟県
に委託し、発掘調査(延べ調査面積は約11,000m2)を行いました。
調査区域全域から、縄文時代後期前葉(約四千年前)を主体とする遺構が
確認されています。直径20cm程度の柱穴が円形にめぐるタイプの建物跡と推
測され、炉跡が40基発見されています。また、明確な掘り込みが発見されて
いないことから、平地式建物の可能性が高いと考えられます。
集落の形態は建物がドーナツ状に配置された「環状集落」で、分布範囲は
径約140mと県内の縄文時代のムラでは最大級です。
調査区域の南側では、掘立柱建物(ほったてばしらたてもの)の跡とみら
れる直径1.6mもある柱穴が複数発見されています。痕跡から直径50cm以上の
巨大な柱が使われていた大型の高床式建物と推定され、規模は短軸約5m、長
軸約18mと非常に大きく、現時点で県内最大の掘立柱建物と思われます。
また、多量の石器や土器などの遺物も発見されています。遺物の中には、石
に穴を開けて首飾りにした大珠(たいしゅ)と呼ばれる装飾品や、平らな石に細
かい線で模様が刻まれた線刻礫(せんこくれき)がそれぞれ1点発見されており
注目されています。大珠は長さ約10cmと大型です。線刻礫は扁平な礫に弧線が
連続する文様が特徴的です。
この遺跡は、縄文時代後期前葉の大規模集落であり、居住域の範囲が直径約
140mと広大で、地域の中核的な集落であったことは間違いありません。今後は、
早期に長割遺跡周辺に存在する遺跡と比較し、この遺跡の特徴を明らかにする
ことにしています。
今回の発掘調査にあたっては、遺跡の周辺が調査箇所を含め優良な農地であ
ることから、現地事務所、作業ヤードや駐車場等の確保が難しく、日沿道事業
との工程調整を図りながら発掘調査を進めましたが、当初から全体像が把握で
きていないこともあり、2年という長い時間がかかりました。
調査箇所によっては、2層、3層と深い位置まで掘り下げて調査を実施し、
遺跡の確認ができました。今後は、発掘結果の整理を行う予定です。
発掘調査を進めながら、年数回の現地説明会を開催し、平成19年から20年の
2年間で延べ300人を超える多くの方々の参加をいただき、遺跡について学
んでいただき、また、併せて日沿道整備事業の説明を行い、事業についても広
く知っていただけたことと思います。