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2009/6/2 第169号
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◇目 次◇
1新着情報
・本日の報道発表
2地域情報スクエア
南禅寺水路閣と蹴上インクライン(京都府京都市)
3募集してます
・パブリックコメント(意見公募)
◆地域情報スクエア
○南禅寺水路閣と蹴上インクライン
~明治の技術者たちの軌跡を散策~(京都府京都市)
京都・南禅寺の参道の途中右手奥に、「水路閣」という煉瓦造りの水道橋
があります。この橋の上には琵琶湖疏水(びわこそすい)と呼ばれる琵琶湖か
ら京都市内に引かれた水路が流れ、寺院とともに多くの人が訪れる観光名所
となっています。
琵琶湖疏水は明治時代に入り、東京遷都後、人口と産業が急速に衰退し、
活気を失った京都の復興を計画した一大事業でした。
滋賀県大津市から京都市東山区蹴上までの区間が第一疏水、この水路にほ
ぼ平行し全区間暗渠※となっているものを第二疏水と呼びます。そのうち南
禅寺の水路閣を流れ、哲学の道に沿って流れているのは第一疏水の分流で、
疏水分線と呼ばれています。
※暗渠(あんきょ)・・・地中に埋設された河川や水路のこと。
疏水建設の主な目的は、水力発電の導入や舟による輸送で産業の振興を図
ることでした。
工事は、明治18年(1885年)に開始されました。トンネル開削を要する日本
初の大工事であり、当時の京都府の年間予算の倍以上もの予算が組まれ、計
画に反対する声も多くあがったといいます。疏水の工事は17人もの殉職者を
出し、数々の困難を乗り越えて、明治23年(1890年)に完成します。
疏水の完成は水力発電所の建設へとつながり、日本初の市電が京都に誕生
します。また、その電力を利用したのがインクラインです。インクラインは、
船が上がれない急な坂を貨車を使って引っ張り運ぶための傾斜鉄道です。
やがて時代は移りかわり、鉄道輸送が発展すると舟運は衰退し、昭和23年
に運転は休止しました。廃止された蹴上インクラインの線路沿いは現在、桜
の名所としても知られています。
大工事の殆どは外国人技術者に委ねる時代にあって、この琵琶湖疏水の工
事は全て日本人の技術によるもので、大変画期的なことであったそうです。
この時作られた水力発電所は商業用としては日本初のものであり、京都の産
業発展に多大な貢献をしました。現在の琵琶湖疏水は京都市に上水を供給す
るのが主な役割となっています。
京都の再興に尽力した明治の技術者達の夢に思いを馳せながら、水路閣、
インクラインをのんびり散策するのもまた一興かもしれません。