議事概要

九州産交バス株式会社、産交バス株式会社、熊本都市バス株式会社、熊本電気鉄道株式会社及び熊本バス株式会社からの一般乗合旅客自動車運送事業の上限運賃変更認可申請事案に係る審議(第2回)

1.日 時:平成26年1月9日(木) 10時30分~12時10分

2.場 所:国土交通省 2号館14階 運輸審議会審議室

3.出席者
<委 員>
 上野文雄(会長)、鷹箸有宇壽(会長代理)、保田眞紀子、島村勝巳、松田英三、河野康子

<国土交通省>
 自動車局:瓦林旅客課長ほか  
 事案処理職員:運輸審議会審理室 若林室長、杉山調査官、笠原主査

4.議事概要
○ 事案処理職員から公聴会開催の申請はなかった旨の報告があった後、自動車局が、九州産交バス株式会社、産交バス株式会社、熊本都市バス株式会社、熊本電気鉄道株式会社及び熊本バス株式会社からの一般乗合旅客自動車運送事業の上限運賃変更認可申請の内容等について、道路運送法第9条第2項に規定する認可基準に適合するかという観点を中心に説明した。
 併せて、前回審議時に次回審議時に回答することとされた事項([1]補助金の交付状況、[4]債務超過の理由及び事業への支障の有無、[8]通学利用の学生等への配慮、[9]重大事故の内容及び行政の対応)について、
[1]説明資料別紙の通り。
[4]熊本電気鉄道は、過去の交通事業全体での赤字と関連事業等の過大投資によるものであるが、会社再建計画を策定し不良債権処理に取り組んでおり2年後には債務超過解消予定である。熊本バスは、貸倒損失、土地等の売却損等によるものであり、金融機関からの短期借入金により資金繰りを行っている。
[8]各社、学校の始業・終業時刻等に合わせた運行ダイヤを設定しているほか、九州産交バスにおいては月額千円で指定エリアが乗り放題となる「駅からパス」を発行している。
[9]重大事故(人身事故)発生時には、各社から事故報告書を受理し、運輸支局において問題点の指摘や再発防止に向けた指導を行っている。特に、昨年3月の産交バスの死亡事故については、事故発生を端緒に監査を実施し、運転者の指導監督義務違反等があったとして車両使用停止処分を行った。
等の回答を得た。

○ 運輸審議会委員からは、
[1]「南九州ブロック」に属する事業者数
[2]輸送人員の査定方法
[3]人件費が申請より増額査定となっている理由
[4]燃料油脂費が申請より減額査定となっている理由。「能率的な経営」であるかは考慮されているのか。
[5]熊本都市バスは熊本市内だけを営業区域としているにもかかわらず輸送効率が悪い理由
[6]貸倒損失の発生理由
[7]他事業に比べ収入に占める補助金の割合が高いので、国等によるしっかりとした監督が必要
[8]補助金交付に係る国と地方自治体との役割分担
[9]株式の配当状況
[10]5社の再編、統合等の必要性
[11]観光客等初めての利用者にも利用しやすくする方策、地元密着の需要喚起等の利用促進策が求められる。
[12]高齢者の足である乗合バス車内での転倒防止対策について、運転者任せでない対策を検討してほしい。
[13]運転者の高齢化対策。また、運転者の高齢化が事故原因となっているのか。
等についての指摘・質問があった。

 これに対し、自動車局からは、
[1]熊本県、宮崎県及び鹿児島県の3県の車両台数30両以上の民営11事業者である。
[2]平成24年度の輸送実績に実車キロ伸び率と直近(本件では25年5月から10月まで)の動向(輸送傾向値)を乗じて求める。詳細は改めて次回審議時に説明する。
[3]ブロック平均値を考慮した実働日車当たり使用人員と平均給与月額から標準的な人件費を算出した結果である。
[4]直近の熊本地区の小売価格を踏まえた結果である。ブロック平均値との比較で「能率的な経営」であるか考慮する。
[5]公営事業者である熊本市交通局の路線を移管したものであり、もともと民間事業者より採算性の悪い路線が多い。また、郊外のショッピングセンター開業等による熊本市内への買物客の減少も影響していると思われる。
[6]確認し次回審議時に回答する。
[7]補助金が適切に使用されているかは、補助金等適正化法に基づき確認している。
[8]国は運行頻度、利用者数等の基準に照らし、シビルミニマムとしてバス交通を維持すべきと判断される路線の赤字額の2分の1を補助する。これ以外の部分については、地元地方公共団体の判断により補助が行われる。
[9]各社とも無配である。
[10]5社あることにより過当競争が発生し経営が苦しくなっているのではないと思われる。基本的に営業エリアは分かれており、統合による経営効率の向上はあまり期待できないのではないか。
[11]改めて事業者に伝達したい。
[12]事案の内容を見るとちょっとした注意で防げるものが多く、基本動作の徹底が第一であると思う。今のところ、ハード面での対応等は難しいのではないかと考えている。
[13]バス運転者の高齢化の進展、運転者不足が懸念されることから、昨年12月に局内に検討会を設け有識者等も交え検討を開始したところであり、半年程度で今後の対応策をまとめたいと考えている。今回の事例の中で運転者の高齢化が原因と考えられるものはない。
等の回答を得た。


(注)事案処理職員とは、運輸審議会一般規則第7条の2の規定に基づき、運輸審議会の指名を受け、指定された事案を処理する国土交通省職員のことである。

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