6.3.3 位置正確度

位置正確度とは、空間参照系内の地物の位置の正確さのことである。標準製品仕様書では、位置正確度として、報告された座標値と採択された値又は真とみなす値との近さを示す絶対正確度(外部正確度とも呼ぶ)を採用する。

標準製品仕様では、データ製品が満たすべき位置正確度として、地図情報レベル2500を適用することを基本とする。

ユースケースに応じて、位置正確度の適合品質水準は変更してもよい。ただし、変更に当たっては作業規程の準則に定義される地図情報レベルに従い決定すること。また、このレベルは地物型ごとに替えてよい。

点群や画像からの図化により取得したインスタンスは、P01とP02、P05とP06、又はP07とP08から、その地図情報レベルに応じて、品質要求及び評価手順を適用する。

また、GISデータからの変換により取得したインスタンスの場合はP03、既成図数値化により取得したインスタンスはP04を適用する。

なお、地形については、P-dem-01を適用する。

● 地図情報レベル2500の場合の位置正確度

6-48

No

P01

品質要素

位置正確度・絶対正確度

品質適用範囲

点群や画像からの図化により取得した、データ集合内の全ての地物型のインスタンス。

品質評価尺度

データ集合内の位置の座標と、より正確度の高い参照データである点検測量成果の座標との誤差の標準偏差を計算する。また、誤差の母平均は0とする。
ただし、データ品質属性の「幾何属性作成方法」の値が「0(推定)」となるインスタンスは検査対象としない。

適合品質水準

全ての検査単位について、水平位置の標準偏差が、水平距離1.75m以内であれば合格、1.75mを超えれば不合格。

品質評価手法

抜取検査を実施する。

  • 手順1.抜取検査手法に従い検査単位を抽出する。

  • 手順2.検査単位に含まれるデータ(地物インスタンス)を表示又は出力する。

  • 手順3.検査単位ごとに明瞭な地物から21辺以上(2点以上/辺)を抽出する。

  • 手順4.抽出した地物の点について、データ集合上の位置座標を測定する。

  • 手順5.抽出した地物の点に対応する現地(又は現地とみなす資料)の点検測量成果を取得する。

  • 手順6.手順4.及び手順5.より、誤差の標準偏差を計算する。

6-49

No

P02

品質要素

位置正確度・外部正確度

品質適用範囲

点群や画像からの図化により取得した、データ集合内の全ての地物型のインスタンス。

ただし、地形(dem:ReliefFeature)は除く。

品質評価尺度

データ集合内の位置の座標と、より正確度の高い参照データである水準測量成果の座標との誤差の標準偏差を計算する。また、誤差の母平均は0とする。
ただし、データ品質属性の「幾何属性作成方法」の値が「0(推定)」となるインスタンスは検査対象としない。

適合品質水準

全ての検査単位別に、標高の標準偏差が0.66m以内であれば合格、0.66mを超えれば不合格。

品質評価手法

抜取検査を実施する。

  • 手順1.抜取検査手法に従い検査単位を抽出する。

  • 手順2.検査単位に含まれるデータ(地物インスタンス)を表示又は出力する。

  • 手順3.検査単位ごとに明瞭な地物から21辺以上(2点以上/辺)を抽出する。

  • 手順4.抽出した地物の点について、データ集合上の位置座標(標高)を測定する。

  • 手順5.抽出した地物の点に対応する現地(又は現地とみなす資料)の水準測量成果を取得する。

  • 手順6.手順4.及び手順5.より、誤差の標準偏差を計算する。

● 地図情報レベル500又は地図情報レベル1000の場合の位置正確度

地図情報レベルを変更する場合は、P1及びP2に示す適合品質水準を下表に従い変更する。図化以外(GISデータの変換及び既成図数値化)の場合には、P3又はP4を使用する。

6-50 — 新規測量における数値地形図データの位置精度及び地図情報レベル(作業規程の準則第106条)

地図情報レベル

水平位置の標準偏差

標高の標準偏差

500

0.25m以内

0.25m以内

1000

0.70m以内

0.33m 以内

● 地図情報レベル500の場合の位置正確度

6-51

No

P05

品質要素

位置正確度・絶対正確度

品質適用範囲

点群や画像からの図化により取得した、データ集合内の全ての地物型のインスタンス。

品質評価尺度

データ集合内の位置の座標と、より正確度の高い参照データである点検測量成果の座標との誤差の標準偏差を計算する。また、誤差の母平均は0とする。
ただし、データ品質属性の「幾何属性作成方法」の値が「0(推定)」となるインスタンスは検査対象としない。

適合品質水準

全ての検査単位について、水平位置の標準偏差が、水平距離0.25m以内であれば合格、0.25mを超えれば不合格。

品質評価手法

抜取検査を実施する。

  • 手順1.抜取検査手法に従い検査単位を抽出する。

  • 手順2.検査単位に含まれるデータ(地物インスタンス)を表示又は出力する。

  • 手順3.検査単位ごとに明瞭な地物から21辺以上(2点以上/辺)を抽出する。

  • 手順4.抽出した地物の点について、データ集合上の位置座標を測定する。

  • 手順5.抽出した地物の点に対応する現地(又は現地とみなす資料)の点検測量成果を取得する。

  • 手順6.手順4.及び手順5.より、誤差の標準偏差を計算する。

6-52

No

P06

品質要素

位置正確度・外部正確度

品質適用範囲

点群や画像からの図化により取得した、データ集合内の全ての地物型のインスタンス。
ただし、地形(dem:ReliefFeature)は除く。

品質評価尺度

データ集合内の位置の座標と、より正確度の高い参照データである水準測量成果の座標との誤差の標準偏差を計算する。また、誤差の母平均は0とする。
ただし、データ品質属性の「幾何属性作成方法」の値が「0(推定)」となるインスタンスは検査対象としない。

適合品質水準

全ての検査単位別に、標高の標準偏差が0.25m以内であれば合格、0.25mを超えれば不合格。

品質評価手法

抜取検査を実施する。

  • 手順1.抜取検査手法に従い検査単位を抽出する。

  • 手順2.検査単位に含まれるデータ(地物インスタンス)を表示又は出力する。

  • 手順3.検査単位ごとに明瞭な地物から21辺以上(2点以上/辺)を抽出する。

  • 手順4.抽出した地物の点について、データ集合上の位置座標(標高)を測定する。

  • 手順5.抽出した地物の点に対応する現地(又は現地とみなす資料)の水準測量成果を取得する。

  • 手順6.手順4.及び手順5.より、誤差の標準偏差を計算する。

● 地図情報レベル1000の場合の位置正確度

6-53

No

P07

品質要素

位置正確度・絶対正確度

品質適用範囲

点群や画像からの図化により取得した、データ集合内の全ての地物型のインスタンス。

品質評価尺度

データ集合内の位置の座標と、より正確度の高い参照データである点検測量成果の座標との誤差の標準偏差を計算する。また、誤差の母平均は0とする。
ただし、データ品質属性の「幾何属性作成方法」の値が「0(推定)」となるインスタンスは検査対象としない。

適合品質水準

全ての検査単位について、水平位置の標準偏差が、水平距離0.7m以内であれば合格、0.7mを超えれば不合格。

品質評価手法

抜取検査を実施する。

  • 手順1.抜取検査手法に従い検査単位を抽出する。

  • 手順2.検査単位に含まれるデータ(地物インスタンス)を表示又は出力する。

  • 手順3.検査単位ごとに明瞭な地物から21辺以上(2点以上/辺)を抽出する。

  • 手順4.抽出した地物の点について、データ集合上の位置座標を測定する。

  • 手順5.抽出した地物の点に対応する現地(又は現地とみなす資料)の点検測量成果を取得する。

  • 手順6.手順4.及び手順5.より、誤差の標準偏差を計算する。

6-54

No

P08

品質要素

位置正確度・外部正確度

品質適用範囲

点群や画像からの図化により取得した、データ集合内の全ての地物型のインスタンス。
ただし、地形(dem:ReliefFeature)は除く。

品質評価尺度

データ集合内の位置の座標と、より正確度の高い参照データである水準測量成果の座標との誤差の標準偏差を計算する。また、誤差の母平均は0とする。
ただし、データ品質属性の「幾何属性作成方法」の値が「0(推定)」となるインスタンスは検査対象としない。

適合品質水準

全ての検査単位別に、標高の標準偏差が0.33m以内であれば合格、0.33mを超えれば不合格。

品質評価手法

抜取検査を実施する。

  • 手順1.抜取検査手法に従い検査単位を抽出する。

  • 手順2.検査単位に含まれるデータ(地物インスタンス)を表示又は出力する。

  • 手順3.検査単位ごとに明瞭な地物から21辺以上(2点以上/辺)を抽出する。

  • 手順4.抽出した地物の点について、データ集合上の位置座標(標高)を測定する。

  • 手順5.抽出した地物の点に対応する現地(又は現地とみなす資料)の水準測量成果を取得する。

  • 手順6.手順4.及び手順5.より、誤差の標準偏差を計算する。

GISデータからの変換を行う場合及び既成図数値化を行う場合:適合品質水準は地図情報レベル2500の場合と同様とする。ただし、原典資料は変更した地図情報レベルの要件を満たさなければならない。

● GISデータの変換の場合

6-55

No

P03

品質要素

位置正確度・外部正確度

品質適用範囲

GISデータからの変換により取得した、データ集合内の全ての地物型のインスタンス。
ただし、地形(dem:ReliefFeature)は除く。

品質評価尺度

「データ集合内の座標」と「原典資料の座標」との誤差の標準偏差を計算する。
ただし、原典資料は地図情報レベル2500の要件を満たしているものとする。また、誤差の母平均は0とする。

適合品質水準

全ての検査単位別に、標準偏差が0mであれば合格、0mを超えれば不合格。

品質評価手法

抜取検査を実施する。

  • 手順1.抜取検査手法に従い検査単位を抽出する。

  • 手順2.検査単位に含まれるデータ(地物インスタンス)を表示又は出力する。

  • 手順3.検査単位ごとに他の地物との関係から位置が明確な点を10点以上抽出する。

  • 手順4.抽出した点について、データ集合上のインスタンスの座標値を取得する。

  • 手順5.原典資料を用いて、手順4.で抽出した地物の点の座標値を取得する。

  • 手順6.手順4.及び手順5.より、検査単位毎に誤差の標準偏差を計算する。

● 既成図数値化の場合

6-56

No

P04

品質要素

位置正確度・外部正確度

品質適用範囲

既成図数値化により取得した、データ集合内の全ての地物型のインスタンス。

品質評価尺度

「データ集合内の水平位置の座標」と「データ取得時に使用した原典資料を用いて図化したデータ集合内の水平位置の座標」との誤差の標準偏差を計算する。
ただし、原典資料は地図情報レベル2500の要件を満たしているものとする。また、誤差の母平均は0とする。

適合品質水準

全ての検査単位について、図上の水平位置の標準偏差が0.3mm以内であれば合格、0.3mmを超えれば不合格。

品質評価手法

既成図の図郭四隅の残存誤差を計測し、図郭四隅の残存誤差が0.2mm以内であれば、以降の手順に従い、地物の空間属性が保持する幾何オブジェクトの誤差の標準偏差を計測する。
抜取検査を実施する。

  • 手順1.抜取検査手法に従い検査単位を抽出する。

  • 手順2.検査単位に含まれるデータ(地物インスタンス)を表示又は出力する。

  • 手順3.検査単位ごとに明瞭な地物から21辺以上(2点以上/辺)を抽出する。

  • 手順4.抽出した地物の点について、データ集合上の位置座標を測定する。

  • 手順5.抽出した地物の点に対応する既成図上の座標を測定する。

  • 手順6.手順4.及び手順5.より、検査単位毎に誤差の標準偏差を計算する。

● 地形の位置正確度

6-57

No

P-dem-01

品質要素

位置正確度・外部正確度

品質適用範囲

dem:ReliefFeature

品質評価尺度

データ集合内の位置の座標と、より正確度の高い参照データである水準測量成果の座標との誤差の標準偏差を計算する。また、誤差の母平均は0とする。
ただし、データ品質属性の「幾何属性作成方法」の値が「0(推定)」となるインスタンスは検査対象としない。

適合品質水準

全ての検査単位別に、標高の標準偏差が0.7m以内であれば合格、0.7mを超えれば不合格。

品質評価手法

抜取検査を実施する。

  • 手順1.抜取検査手法に従い検査単位を抽出する。

  • 手順2.検査単位に含まれるデータ(地物インスタンス)を表示又は出力する。

  • 手順3.検査単位ごとに明瞭な地物から21 辺以上(2点以上/辺)を抽出する。

  • 手順4.抽出した地物の点について、データ集合上の位置座標(標高)を測定する。

  • 手順5.抽出した地物の点に対応する現地(又は現地とみなす資料)の水準測量成果を取得する。

  • 手順6.手順4.及び手順5.より、誤差の標準偏差を計算する。