E.2.1 交通(鉄道)モデル

鉄道とは、人と物を迅速かつ大量に輸送するため、レールを敷いた専用の通路を用い、その上を車両が円滑に行き来できるように整備された一切の設備とシステムの集合体である。[一般社団法人日本民営鉄道協会]
標準製品仕様書では、鉄道事業法及び軌道法に基づいて敷設された線路を指し、以下を含む。

  • 普通鉄道:鉄道事業法又は軌道法に基づいて運行されている鉄道で、特殊軌道及び索道を除いたもの[付録7 公共測量標準図式]

  • 地下鉄:地方公共団体及び東京地下鉄(株)等が管理する地下高速鉄道[付録7 公共測量標準図式]

  • 路面電車:道路上に線路を敷設した鉄道で、主として路面上から直接乗り降りできる車両が運行される鉄道[付録7 公共測量標準図式]

  • モノレール:車両が一本の軌道桁に跨座し、又は懸垂して走行するもの

  • 特殊鉄道:鋼索鉄道、普通鉄道と接続しない工場等特定の地区内の軌道及び採鉱(石)地と工場等を結ぶ専用軌道[付録7 公共測量標準図式]

  • 索道:空中ケーブル、スキーリフト、ベルトコンベヤー及びこれらに類するもの[付録7 公共測量標準図式]

なお、線路とは、列車又は車両を走らせるための通路であって,軌道及びこれを支持するために必要な路盤、構造物を包含する地帯をいう。[JIS E 1001:2001]
鉄道の記述には、CityGMLに定義されたTransportationモジュールのtran:Railwayを使用する。

標準製品仕様書では、鉄道の表現に必要な地物型等をCityGML及びi-URから抽出し、LODごとに、含むべき地物型、各地物型の空間属性の型、取得基準、取得方法及び補足を定めた「交通(鉄道)モデル」を定義する。
交通(鉄道)モデルのLODは、LOD0からLOD3までを対象とする。

E-1 — 交通(鉄道)モデルのLODの考え方

交通(鉄道)モデル(LOD0)は鉄道を線として表現するが、このときの線は、ネットワーク(軌道中心線)又はレールのいずれかを選択できる。3D都市モデルでは、ネットワーク(軌道中心線)を採用することを原則とする。ネットワークデータとして記述することでマクロな人や物の流れを表現・分析可能となり、公共交通網の見直しや公共施設の再配置等に利用することを想定している。レールを採用する場合、「付録7 公共測量標準図式」(以下、「公共測量標準図式」という)に従う。これにより、従来の都市計画基本図の地図表現が可能となる。

交通(道路)モデルと同様、LOD1以降では、鉄道の形状を面により表現できる。ただし、鉄道は車両の通行が軌道に限定されており、その中心である軌道中心線がユースケースでも多く利用されていることから、面に加えて軌道中心線を表現する。LOD1及びLOD2では交通(鉄道)オブジェクトは高さをもたないため、立体交差等の高低差を表現できない。これらが必要な場合には、高さをもつLOD3が必要となる。