交通政策審議会第17回海事分科会:議事要旨

交通政策審議会第17回海事分科会:議事要旨

1.日時:平成20年7月17日(木)14:00~16:00

2.場所:国土交通省 11階特別会議室

3.出席者:
 <委員、臨時委員>(敬称略)
  浅野正一郎、杉山武彦、杉山雅洋、松田英三、山村レイコ、秋山昌廣、今津隼馬、上野孝、
  大内博文、河野真理子、藤澤洋二、前川弘幸、松尾正洋、村木文郎、森本靖之

 <国土交通省>
  伊藤茂海事局長ほか

4.主な議題:
 議題1.交通政策審議会海事分科会長の互選について
 議題2.日本船舶及び船員の確保に関する基本方針について
 議題3.船員部会の設置について

5.議事概要:
 ○ 議題1について、杉山武彦委員が海事分科会長に選任された。

 ○ 議題2について、事務局より諮問第67号「日本船舶及び船員の確保に関する基本方針に
  ついて(案)」の説明がなされ、質疑応答を行い、全会一致で諮問案どおり議決された。

  委員からの主な意見及び質問は次のとおり。

  ● 「2.(6)その他」において、海上運送法及び船員法の一部を改正する法律案に対す
   る国会での附帯決議の趣旨を盛り込むべきではないか。案では、「今後も諸外国の動向等
   も踏まえ、更なる制度改善にについて検討する。」とされているが、附帯決議に述べられ
   ている「船舶の特別償却制度、固定資産税、登録免許税等トン数標準税制以外の税制及び
   船員雇用に係る支援措置の充実等により、国際的な競争条件の均衡化のための更なる制度
   改善に努めること。」の部分が記述されていないが、この附帯決議に対して、行政として
   はどのように考えているのか。

  ● 「1.(2)日本船舶及び船員の確保の目標」において、外航日本船舶は約450隻、
   外航日本人船員は約5,500人との試算が述べられているが、現在のマーケット、新造
   船の発注状況からみると、外航日本船舶の約450隻という数値についてはかなり実現性
   のあるものと考えるが、外航日本人船員の方の約5,500人という数値は、一朝一夕に
   なかなか増やせる状況ではないことから、外国人の承認船員等も併せた船員政策が不可欠
   であるという現実を認識しておく必要がある。現在、600隻以上発注されていることか
   ら、その半分が日本籍船として建造されれば300隻以上は容易に増える可能性はあるも
   のと考える。現在、日本籍船が約100隻であることから、400隻、450隻と増えて
   いく可能性は十分にあるものと考えている。問題は、船舶に乗船する船長・機関長を中心
   とした船員をなかなか確保出来る状況にはない。従って、日本人船員に対するいろいろな
   施策と併せて、外国人の承認船員をどのように確保していくのかも考えていく必要があ 
   る。早いペースで隻数が増える環境にあることから、日本人船員を中心に、承認船員も含
   めた船員確保政策について、相当な政策論をもって、予算編成をして望んでいかないと船
   員の方は追いついていかない状況になっているものだと考えている。承認制度・承認試験
   制度のあり方、日本人船員の資格要件のあり方も併せていろいろと検討していかないと、
   間に合わない状況が生まれてきているのであろうと考える。

  ● 外航海運業界として、法律改正が本日施行されたこと、また、本分科会において基本方
   針が取りまとめられたことについて、関係者の皆様に御礼を申し上げる。7月に人材確保
   タスクフォースを設立し、現在、日本人海技者を確保するための広報活動や教育機関との
   連携、承認試験の簡素化等の改善を求めるための活動等について鋭意検討を開始した。民
   間としても、可能な限り国際競争力の確保に努め、安定的な海上輸送の確保という使命を
   遂行していきたいと考えている。

  ● 内航と外航、船員問題という1つの枠組みの中で、基本方針が出されているが、内航海
   運業界の立場から申すと、内航の船員問題と外航の船員問題とでは非常に違う側面がある
   と考える。特に、ナショナルセキュリティーの観点から、カボタージュ制度が設けられて
   おり、内航の場合は、日本人船員のみでの運航を行っている。日本人船員がいなければ船
   舶は動かない。それに対して、外航の場合は、例え日本人船員がいなくても運航はできる
   ものである。内航船員がいなくなってしまうということは、業界の存立に関わる問題にな
   る。この点が、根本的に外航船員問題と内航船員問題とが違うところであると考える。こ
   のような中で、内航海運の船主は、中小零細企業が圧倒的な多数を占めているということ
   で、船員問題については、外航船のように自前の対応ができない。トン数標準税制ができ
   たことは、国際的な標準からみて、正しいことであるものと考えるとともに、外航船員の
   確保のために非常に大きな前提条件になると理解をしているが、内航においても、これに
   匹敵するような、若しくはそれ以上の原動力となるような何か制度、予算措置というもの
   を、今後、是非考えて頂く必要があるのではないか。外航船員は、現状2,600人い 
   て、それを1.5倍にするということだが、内航船員は、現在3万人の船員がいるが、予
   算措置においても更なるご支援をお願いしたい。

 ○ 事務局から「船員部会の設置について」の説明がなされ、質疑応答を行い、全会一致で船
  員部会の設置について承認された。

  委員からの主な意見及び質問は次のとおり。

  ● 船員労働の問題は、船員法と労働基準法と全く違う環境の法律の中で、いろいろな労働
   問題、紛争問題、調停問題が出てきているのが現実である。これを、陸上の労働基準法を
   ベースにした中央労働委員会を中心にして、これらの問題を処理していくという流れにな
   ってきた。船員法の特有から生じるいろいろな問題について、反映させるためには、委員
   の構成が非常に重要になってくると考える。中央労働委員会の紛争調整機能における委員
   として、船員側の代表が何名入る予定となっているのか。各都道府県における労働委員会
   の委員構成はどうなっているのか。さらには、各地方運輸局の地方交通審議会の委員構成
   はどうなるのか、船員の代表が入る余地があるのかないのか。

  ● 陸と海が違うと話だが、どのように違うのか。全く同じにしても良いのではないのかと
   考えている。労働関係法規というのは、できるだけ、一般の労働法規で全てこなすべきで
   あって、業種毎に特別な規定を設けるのは如何なものかと基本的に考える。海と陸が違う
   ことについて説明をしてほしい。

※ 「委員からの主な意見、質問」は、現時点において事務局の責任においてとりまとめたもの
 であり、今後発表される議事録と異なる可能性があります。

※ 正式な議事録については、後日HP上に公開しますので、そちらをご参照下さい。

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