第7回国土交通技術行政の基本政策懇談会 議事要旨

第7回国土交通技術行政の基本政策懇談会 議事要旨

1.日時
  令和元年7月10日(水)10:00~12:00

2.場所
  中央合同庁舎4号館11階共用第1特別会議室


3.出席者(五十音順、敬称略)
  委員:石田東生、鵜澤潔、金山洋一、木下剛、小林潔司、高木健、堀宗朗、松尾亜紀子、屋井鉄雄、山田正
  ゲストスピーカー:竹林幹雄

4.議事
(1)今回の課題テーマについての議論
 <課題テーマ>
  「国際ゲートウェイ戦略(港湾、空港)」
(2)中間とりまとめのフォローアップ事項(2件)
  [1]スマートシティ
  [2]データプラットフォーム
(3)その他(今後のスケジュールについて

5.議事次第
(1)課題テーマ「国際ゲートウェイ戦略(港湾、空港)」
【港湾・物流】
  • 船舶ではゼロエミッションについて考えるべきである。CO2削減のために速度を落とすと、さらに大型化する。そうなると日本へ直接寄港する可能性は低くなる。水素燃料等は燃料タンクの大きさから航続距離の問題があるが、中小型船なら可能性はある。しかし、バンカリングと輸送形態を考える必要がある。
  • 船舶だとさらにバラスト水の海洋環境への影響に対する管理問題もある。輸送コストを上げる要因について、対策を考えていかなければならない。船のAI化に伴うリスク管理についても考えていかなければならない。自動運転とした場合、無人のときに海賊に襲われた時の保険などについての検討も必要である。
  • 大型コンテナは鉄道トンネルを通過できない等、国内輸送上の課題がある。物流は、港湾のゲートウエイ機能とあわせ、線で繋がるよう他の輸送との連携も考えていかなければならない。国際コンテナと国内物流の連携が課題である。
  • 現状では、道路と港湾のネットワークは出来てきているが、改善・工夫について今後さらに行う必要はある。鉄道とのネットワークは、クルーズ船からの乗客を貨物鉄道で運ぶ計画もあるが、全国で連携が上手く出来ているわけではないので検討が必要である。
  • 道路、港湾など直轄系事業の連携は上手く行っていると思うが、鉄道など非直轄系事業の連携についても工夫をしていく必要がある。トラックの担い手不足の問題もある。激甚災害が起こったときの鉄道貨物の役割についても考えなくてはならない。
  • LNGバンカリングは、全世界とのネットワークが必要になる。バンカリング拠点を横浜と名古屋に作る予定である。シンガポールと連携して広めていくように動いている。
  • オペレーションの連携が不十分である。キャリアの世界ではオペレーターを上手に使うかが課題である。
  • 港湾においては、オペレーターをプレイヤーとして入れることを考えなくてはならない。
  • 横浜港で、コンテナを取りに来る方の予約をしてもらい、インターに入ってくる車の情報を港へ提供する実証実験を行っており上手く行っている。
  • 日本はトレーサビリティに課題があるのに加え、マレーシアによるハラール物流のハブ化が大規模なものとなれば、コンテナへの混載ができず分けての運送となり、オペレーションに大きな影響を及ぼすが、そこに大きな技術革新の芽があるのではないか。物流はブロックチェーンやフィンテックなど商流の世界ともリンクしてくるので、その辺りのシステム戦略について基礎的な研究を行う必要があるが、日本だけではく、他国と一緒に考えて行かなくてはならない。【小林委員】日本企業の個別事例で、中国の工場で人件費が上がってきているため、利益確保のために輸送費を下げる方法しかないと言う話がある。身の回りの小さな商品を扱っている事例だが、重厚長大なものの輸送だけでなく、幅広い輸送について意見を聞いて行く必要がある。

【空港・民営化】
  • 民営化した時の国全体の制度、仕組みを整理する必要がある。空港民営化について、ヒースロー空港は、国が決定した政策に対して運営会社がビジネスとして成り立つと判断し、計画を提案することとし、役割分担がはっきりしている。日本では、成田空港が良い方向に進んでいると思うが、国の役割について曖昧な部分もあるので、明確な形づくりが必要である。
  • 日本は、新幹線と航空もあるが、両施設が近くにはない。海外では新幹線と航空ネットワークが連携している(日本では、福岡の博多ぐらいでは)。エア&レールについての研究は、海外ばかりで日本は遅れている。
  • エア&レールの成功についてはどの様に判断するのかが課題。アメリカのカリフォルニアでは、空港に高速鉄道が入っているのは一箇所のみである。中国は、乗り換えと考えると厳しいが、マルチモーダルと考えると成功しているだろう。羽田に新幹線の路線が入るようにしてもよいのではないか。
  • 民営化については、公的関与残すかどうか、どのように残すかといったことが重要である。例えば、欧州では交通に責任を持つ地方政府等公的機関が委託して民間が運営したり、また、空港や鉄道など同じ位置づけで計画・整備したりしている。
  • 合意形成は需要である。需要予測については、敢えて右肩下がり(衰退)のシナリオを見せて行くことも必要である。

【その他】
  • 需要予測、技術がどれだけ役立つのか、国の政策を従来のやり方ではなく、色々な方法を検討し決定してほしい。
  • 日本が成長していくために、今後何をターゲットにするのかを考えないといけない。サプライチェーンの上流だけではなく、下流での安全・生産機能について何をもってこられるか、最後のラストワンマイルの付加価値を高められるかが重要であるし、新しい需要を掘り下げていかないといけない。それを支援するためには、分散化されたデータをブロックチェーンで管理する技術、ビックデータから大量のシミュレーションを行う場所や機関が必要である。
  • 官民連携は日本が遅れている。資産評価士の制度が整っていないのは日本だけである。国交省は資産の情報を持っているところなので、このような制度を作ればよいのではないか。
  • グーグルのトロントの報告書では、従来の需要想定の方法とは異なる方法で、トロント全体の将来像を描いており、グーグルは新たな需要想定技術を確立していると思われるため、参考にしてはどうか。
  • KPMGはモビリティーにも着目している。需要予測をパーソントリップ調査なしに実施している。日本は、そのことについて危機感を持つ必要がある。
  • ゲートウェイの捉え方は、港湾、空港だけでなく、地域全体として意味を考えるべきではないか。港湾や空港は一定の地域に置かれており、置かれている地域全体をゲートウェイとして考えるべきで、インバウンド観光や空港をコアにした基盤整備などインフラをコアにした地域の活性化を議論する必要がある。大規模施設が、地域の紛争でなく、発展・再生の種になることが大事なのではないか。
  • 海外の治水に関するコンペにて、海外と日本の考え方の違いとして、日本は治水の話しかしない。海外は、治水や交通等を含めて話をしていた。日本も、物流等様々な分野を含めて考えるべきではないか。
  • 従来の視点だけはなく広い視野をもつことが必要である。例えば、より精度の高い予測が出来るように、技術力の強みを日本は活かしていけばよいのでは。国際ゲートウェイ戦略を考えるに際して、日本の本当の強みは何で、それを活かすためにはどうするかという視点も大事である。
  • RORO船の超高速船を作ったが、トンネルなどの道路規格外で走れなかったり、港内速度規制で入港できなかった。政策を考える時に、ハードウェアや技術革新なども考えることが重要であり、視野を広げた議論や長期的な視野、バックキャストを上手取り込むなどが必要である。
  • 日本では70年前に全国総合開発計画が考えられた。その際には地域や臨海、貿易等の様々な分野を一つにまとめて計画を行っていた。今後の政策においても、このような考え方を取り入れていかなければならないのではないか。

(2)中間とりまとめのフォローアップ事項
【データプラットフォーム】
  • 地下空間のデータはデータプラットフォームに含まれているのか。
  • 地下の埋設物等についてもデータプラットフォームに含まれており、民間のデータも連携していきたい。火災時の防災データについても同様に連携させていきたい。
  • 国土地理院のデータや産総研のデータと、国土交通プラットフォームはどのような関係があるのか。
  • 地図データベースは国土地理院の基盤地図情報や民間のデータを使用し、GIS機能で複層的にみられるようにしていく予定である。
以上

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