第9回国土交通技術行政の基本政策懇談会 議事要旨

第9回国土交通技術行政の基本政策懇談会 議事要旨

1.日時
令和元年10月11日(金)10:00~12:00

2.場所
九段第2合同庁舎8階地震予知連大会議室

3.出席者(五十音順、敬称略)
 <委員>
     石田東生、春日伸予、小林潔司、高木健、中川聡子、藤野陽三、松尾亜紀子、山田正
    <ゲストスピーカー>
     根本敏則、苦瀬博仁、矢野裕児

4.議事
(1)今回のテーマについての議論
 <テーマ>
  「物流・ロジスティック政策」
(2)議論及び意見交換  
(3)その他(今後のスケジュール)

5.議事次第

<物流>
  • AIやIoT、自動運転などの様々な技術を取り込んだ高度なマネジメントに対応できるのは大手企業が中心と思われる。物流業界は中小企業が多く、目の前の業務をこなすのが精一杯であり、特に大きな技術を取り入れないようなプロジェクトでも着いていけないのが現状。中小企業を取り込んでいかないと飛躍的な効果は得られない。
  • 安全面、環境面でも中小企業の対応の難しさは、同じように問題になっている。国交省は問題意識を持ってのマネジメントを高度化して行って欲しい。
  • 政策の中にいかにビルドインしていくか。標準化や共同配送などを、物流を担っているプレイヤーにと供に進めていきたい。
  • 輸送業界、運輸業界は中小企業が多いということは事実であり、仕組みが行き渡るかどうかという議論は必要。一方で、サードパーティー・ロジスティクスをはじめとして重層構造になっているので、下請け、孫受けのどこの段階でまでIT武装を図る必要があるか考えなくてはならない。元請けがコントロールをし、ターゲットにする階層を決めるのが良いと思う。
  • 協働輸送において、日本ではウーバー型のシェアプラットフォームが未だに立ち上がっていない。シェアエコノミー的なメカニズム、枠組みをどう考え、日本型シェアプラットフォームを立ち上げていくかが課題である。
  • フランスでは、宅配便が20分後に届くといった連絡の自動サービスがある。また、病院や美容院の予約連絡もリマインドメールで届くようになっている。これが世界標準かは分からないが世界では、この辺までの細やかなサービスとなっている。
  • ラストワンマイルや必要な時に宅配されることは大事であるが、例えば、朝の車の混雑時にトラックが荷卸等で二車線の道路の一車線をつぶして、交通の流れを止めるのは問題ではないか。
  • LaaS(Logistics As a Service)では海上輸送が話題になっていない。船舶は、モーダルシフトで環境負荷が少ないモードなので、いかに利用していくかが課題となる。
  • ラストワンマイルの話題だけでなく、船舶の利用を考えることが環境の観点で重要である。離島や定期航路においては、荷主と物流業者が一体となって航路を決めて技術開発(ゼロエミッション)に取り組んでいる例があるが、一般的には中小企業が中心なので、技術開発はコスト的に大変厳しい。物流において、船を含めた大きな括りで如何に対応していくかが課題である。
  • 前回の懇談会のシェア型プラットフォームが上手くいってない話があったが、物流においても、利便性をどこまで追求すべきなのかを考える必要がある。
  • ロンドンでは駐停車が禁止されている道路であっても、部分的には車いすの人の自動車や荷捌き車両の駐車が認められている。このように、禁止されており、障害者や荷捌きのための駐車について、時間的に分離するか、空間的に分離すべきかを議論する必要がある。どちらも問題があり配送できないのであれば、配送どこまでサービスを落とすのか、時間指定など何を我慢するかの議論が必要となるのではないか。
  • 都市部のビルの駐車場が余っており、問題である。余っている駐車スペースをどう使用するかは、都市計画上大事な問題であるのではないか。道路の縦断的にデザインをしていくのかを考えていく必要がある(カーブ・サイドマネージメント)。
  • 建物内の駐車場において、高さが低いことや幅が狭いことで入ることができずに、貨物車が路上駐車せざるを得ないことも多い。しかし、大規模建築物における物流円滑化に関するガイドラインを国交省が設けたことで、少しづつ建築設計にとりれられている。一方、路上や公共の駐車場は、貨物車や荷捌きについて十分には考えられておらず、今後検討していく必要がある。
  • 工事等において、決められた時間前に到着し、荷卸をせずに時間調整を目的とし駐停車する大型車がいる。駐停車する車を減らす等の場所を設けることを考える必要がある。
  • 昔から求荷求車システム、インターネットを使った求荷求車システムは殆ど失敗に終わり、SIPでは荷主と物流業者の情報をマッチングさせる施策が考えられたが、進んで情報提供するメリットがはっきりしないため苦戦している。関係者がお互いに信頼できる仕組み(レーティングするなど)を作ればマッチングが進む可能性がある。
  • 物流のトレーサビリティをどう作っていくべきか。牛肉における物流の情報システムは部分的に出来上がっている。
  • 関西の国際物流戦略チームでは、コールドチェーンが話題となった。温度管理のシステムは日本にはあるが、相手国の協力も得ないといけないし、国際的認証システムを考えなくてはならない。国交省が今後対応を検討すべきではないか。

<ロジスティック>
  • 平常時における物流の最適化は研究しやすいが、非常時などの災害・緊急時においても注目しなくてはならない。電子化においては、昨年の北海道でのブラックアウト、今年の千葉県での大停電において、被災地域ではない東京都や中央部では状況把握していても、被災地では内部の状況がわからず、無駄な物資を作ってそれが産廃になってしまった。また、災害時のブラックアウトについて被災した自治体と中央省庁との間でどう連携をとるか、物流コントロールの方向性を検討してほしい。
  • 大きな災害時は、政府が対策本部を立てる。小さい災害時は、地元と連携して対策本部を立ち上げる。発生直後では、プッシュ型で支援物資を送り、ある程度混乱が落ち着いた段階で、地元から情報をもらい、その都度必要なものを届ける対応を行っている。
  • 使いたい人がその存在を知っていなければ、それは用意されていないことと同じになる。国で対策本部が立ち上がらない時が重要であり、どういう時に何が必要で、どこに持って行くのかを、把握する対策が必要である。
  • 熊本地震以降、現地の対策本部に中央省庁のハイレベルの人間が現地にて対応を行っている。各府省担当者が被災現場へ行き、自分の組織が持つ能力・資材で何が出来るかを考えているし、事後検証も行っている。今後は、民生の安定に必要な情報をどう集めるかを話し合う必要がある。
  • 物流・ロジスティックス政策では、防災や復興についても一つのテーマとしてやって欲しい。
  • 熊本地震での緊急時において、自衛隊が物資を運び、ラストワンマイル(最後の輸送)を誰が運ぶか問題となった。今後、災害時の際は対応について自衛隊と国交省で話し合いを行ってほしい。
  • 河川の緊急時の物資走行は川沿いとなるが災害で道路が水に浸かると使えない。河川の横を走る高速道路に緊急時の物資輸送基地を置いて、河川資材置き場にも使えるようにしたら良いのではないか。
  • 災害時において、ごみの輸送形態をどうするかを考えるべきである。
  • 雪が降るところの冬期の都市部での物流において、道路と都市河川の堤防を併用して使用することも今後検討してはどうか。災害や雪対策にも有効である。

<その他>
  • 情報の問題において、企業の情報システムが世界と比べると遅れている。個々の企業努力で対処するのは厳しいので、国が情報政策、戦略を検討する必要がある。
  • 省人化について、近年トラックドライバーが不足しているが、船舶においても同様である。船長の養成は一生ものであることから、人数が減ると問題である。人材育成は長い目で見ていく必要がある。それに対応するための自動化という話であるが、自動化の目的は安全なのか、省人化なのかで技術的な問題設定が異なってくるので、はっきりさせる必要がある。
  • 災害時において、倒木などのごみをどうするのか。ごみを処分する際、軽トラックにクレーンを付けた車両がとても役に立ったが、車検が通らない問題を抱えている。今後、高齢化が進んでいく上で、ごみを乗せる人が減少するため、クレーン付きの軽トラックを法律で許可する等の対策を考えていく必要がある。
  • 前回の懇談会にて柴崎先生のデータプラットフォームにおいて、データコミュニティをどう作成するかが大事である。国交省が主導で検討を進めてほしい。道路局の若手が道路行政ビジョンのプレゼンを懇談会で実施しても良いのではないか。
以上

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