第12回国土交通技術行政の基本政策懇談会 議事要旨

第12回国土交通技術行政の基本政策懇談会 議事要旨

1.日時
令和2年8月24日(月) 15:00~17:00
 
2.場所
国土交通省3号館10階共用会議室(WEB開催)


3.出席者(五十音順、敬称略)
委員:石田東生、伊藤香織、鵜澤潔、春日伸予、金山洋一、木下剛、小池俊雄、小林潔司、谷口綾子、谷口守、中川聡子、福和伸夫、藤田壮、藤野陽三、堀宗朗、松尾亜紀子、屋井鉄雄、山田正
ゲストスピーカー:小池淳司

4.議事
1.今回のテーマについての議論
<課題テーマ>
「新型コロナウイルス感染症を踏まえた国土交通技術政策総論」
2.その他
今後のスケジュールについて
 
5.議事概要
・気候変動に対応して計画を変える、流域治水に変えていく。背景として、災害対策、レジリエンスを高めること、持続可能な開発を進める(成長を描く)ことである。
流域治水は、持続成長ステークホルダーが権利・快適性を追求し、協力した体制作りが不可欠とした考え方として提言を行った。
・流域治水を進めるにあたってはファイナンスの考え方、ガバナンスのあり方、情報、データをステークホルダーが納得して共有することが重要である。社会資本は新たな文明を開く転換装置である。新たな文明を開く転換装置としての社会資本の在り方を議論していきたい。
 
・「国土の均衡ある発展」から2008年頃に選択と集中と路線変更し再び2015年くらいから分散型国土が注目されている経緯については?
・国全体でB/Cを使っているなかで国交省がB/Cや効率性は二の次と言って財務省から予算を取れるのか?
・規制改革を行った結果について評価は行っているのか?
・DXは道路交通という共通のインフラを担う警察庁と連携してほしい。交通安全の紙をデータにして共有してほしい。
 
・新しい時代、新しい国土へ変わることは必然的に投資を伴う。変わるためにどういう投資が必要か見えてこない。コロナが終われば元に戻ればいいと思っている人がいる。戻らないような変わるための投資が必要。
・テレワーク、オンライン会議が日常的に使うようになったが、市場として育っていない、インハウスでやっている。事業者が育たないといけない。テレワークができるならアウトソーシングを実施すればよい。新しいコロナ社会が新しい市場を作り、成長の原動力につながるためのインフラに投資しなければいけない。
・土地に根ざすインフラの役割を見つめなければいけない。地方分散化は大都市の論理であって、地方から見れば受け入れたいと思っていない。地方の自治体はオンラインに対応できているかといえば厳しいと思う。一事業者でできる問題ではないため、地方の人がオンラインの活用できるプラットフォームを作らないといけない。受け皿としての地域政策を実施しないと、都会の人が行きたいと言っても地方分散化は実現しない。地方の人が来てもらいたいと思わないと実現しない。地方こそオンラインができる仕組みが必要である。
 
・「分散型国土」というキーワードが気になる。政策として何を変えて何を変えないのか、混乱状況にある。格差をなくすという趣旨ならよいが、いろいろな箇所にいろいろなものを作るという意味では困る。環境やCO2対策と異なる方向に行くのではないか。ワーディングがしっかりしないと混乱を招くため、整理しなければいけない。
・「権利」と言うといろいろな問題が出てくる。交通基本法において、だれもが自由に動ける権利というと、権利を振りかざす人がでてくるため、実務ができなくなる。土木ではこの様な状況をQOLという言葉でカバーしてきた。実務に落としたときの受け手の着地点がほしい。例として、スイスでは100人以上住んでいる集落にはバスのサービスを行うといった、線引きとのセットが必要。
 
・流域治水については、家田先生(土木学会会長)をリーダーとして、土木学会から「流域治水」という言葉を出し、これにより、国交省の治水対策に大転換があった。人それぞれ考えていることは異なり、国交省はダム建設をやめて流域対策だけでやっていくと思っている人がいるため、哲学的裏付けが必要である。新しい住まい方・生き方などにも関連する。
・記録破りの降雨はシミュレーションでわかるようになった。このような雨に対しては不確実として扱うのではなく、リスクとして対応していく。量子力学でいう不確実性と不確定性を分ける議論が必要であり、これについては、土木系分野として勉強していく必要がある。
・2地域居住を行ったが面倒な事が多い。投票権がないなど、生活の本拠地をどこに置くかわからない生き方をした際に、これらを解決していくための法律が整備されていない。
・宮崎県の延岡市では、高速道路を整備した際に人が移転したことから、道路をきちんと整備すると、人が移転しやすい。。道路の移転を進め、情報インフラ(インターネットがつながらない、モバイルWi-Fiが来ていない)を整備しないと暮らせない。この様な状況下では、2拠点生活は難しく、やるべきことは多いと感じている。
 
・インフラのDX推進は結構なことである。BIM/CIM、ロボットを使用した生産性効率には必須である。
・7月豪雨について、世界で初めて17の衛星データを使用し120の画像解析データを行った。世界で見ても先進的に進めている点を明らかにしていくべきである。
・BIM/CIM、衛星コンストレーション利用も土木技術の外にある借り物ではないか。国土交通の基盤的技術は何かを明らかにし、近い他分野の技術を利用するといった骨太の方針が必要ではないか。借り物の技術では中身がスカスカになる。
・スパコンが使える土木屋は世界でも先進的である。物理的に人を如何に分散させ、情報を如何に集中させていくか、高度な情報技術と土木技術の物理的分散と情報的周知の実現に向け、技術政策を立案させるための骨太の議論があってもよいのではないか。
 
・氾濫が起こるような地域に住宅を造ってきた。災害が終わったあと、災害があった地域に再度住むのは権利なのか。
・藤井先生が取り組んでいる社会基盤の長期耐久性をしっかりしないといけない。日本はパラダイムシフトに向かって小さな障害の山がいくつもある。今回のコロナが本来あるべき姿にもっていく機転とし、長期的に本来あるべき姿に取り組んでいく姿勢を議論していきたい。
・住宅問題はインフラにはいるのか?整備としての範疇として外れるのか。
 
・基本的には住む権利は憲法で認められている権利のため、範疇の一部だと思う。
 
・戦後の住宅難のとき住宅公団が設置され、使命がかわるに従い都市機構に変化した。3.11で防災公営住宅ができるなど、その都度、動きがあることから固定的に考えないほうが良いのではないか。
 
・小池先生の権利の取得効果は重要な視点である。谷口綾子先生が発言された物差しが必要なのはもっともで、物差しをどうするかが重要である。そうなると谷口守先生の、効率性と権利の関係において線引きが必要であり、都市経営が範疇ではないか。海外は都市経営の一環として公共交通に責任をもっている。都市経営の観点から公共交通をとらえている。
・国交省は交通分野についてもっと踏み込んでいくべきである。欧州は補助金を飛び越え、自治体が公共交通に責任を持っている(PSO(パブリック・サービス・オブリゲーション))。
・コロナの経済的影響が長引くことが懸念され、また、かつてインターネットの普及期に人が動かなくなるのではと言われたが、コロナによるweb会議の体感等により顕在化し、公共交通の利用者は大きく減ってきている。これからの公共交通の経営のあり方について、交通事業者の格差もあるなかどうするか真剣に議論しなければいけない。コロナを含めた外的な自然災害に対して、公共交通はどうやって立ち向かうか、特に地方の公共交通は極めて脆弱。国交省としてかなり重要な問題として意識するべき。
 
・コロナでテレワークが進んだ。この経験をした若者が就職した場合、テレワークは一般的になると考えられる。ネットワーク整備を社会インフラの中でどう考えるべきか。現状は民間が実施しているが、道路や川と同じように整備する必要がある。地方移住、生活の場が変革するため(アフターコロナ)、国交省でインフラ整備を考えていくべきではないか。
 
・分散集中において、国土レベル・都市圏レベル・都市レベルがありそれぞれ異なるため、解像度をあげて考えるべき。中心市街地の話が都市計画では進んでいるが、インフラとの連携、集落と産業、ウィズコロナにおいて集まって住むことの意義を考えるとよいのではないか。
 
・今年度中に住生活基本計画に基づくと、耐震化率を95%達成することが国の目標であったが届きそうにもないため、ステイホーム時代の住の問題として取り上げてほしい。
・比較的影響度が高く、民官の保有である超高層ビル、火力発電所などがあり(建築が持っている)、民の安全性が問われた。他省庁が主体として見ている安全性については、国交省が主体的になって実施し、統一的議論が出来る枠組みがあればよい。省庁の取り合いに部分で失敗しているため、国交省が得意な安全性の問題で全省庁をリードすべき。
 
・DXに興味がある。使えないデータが多々あり、どのデータを使うが重要である。
紙のデータを電子化するだけは使えない、使える形に整備されていない。データカタログ・基盤、インターフェイスやAPIに問題があり、解決しないといけない。使えないデータはないものと同然。データについては総務省が主管のため、連携していくことが必要。
・MaaSは個人の利便性・最適化だけでなく、ビッグデータとして利活用できるように掘り下げてほしい。
 
・グリーンインフラ、里山、生産空間も含めて概念規定することは大賛成。しかし、民有地を社会資本と見なすには、まだまだ制度が不十分である。産業空間の環境も悪い。里山をインフラと評価し支援していかなければならない。
 
・実行の手立てがない。同じようなこととして、データガバナンスが挙げられる。データは誰のもの?といった、包み込むような技術・制度、考え方を提示しないと突破できないのではいか。できないことにもチャレンジしたい。
 
・日本では25年前にB/Cを輸入した。イギリス議会でスコットランドの道路整備をどうするか、B/C=1を切っていると質問した。回答として、議会で決める。根拠として、スコットランドは英国だからだと言われた。英国では、ガバナンス・権利の概念を王国として把握している。第三者的な人の権利を抜きにしては、国土政策は考えられない。
 
 
 
以上

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