第1回長期展望委員会

第1回長期展望委員会 議事要旨

<日時・場所>
 平成22年9月27日(月)14:00~16:00
 中央合同庁舎第2号館低層棟国土交通省共用会議室3A・3B

<議事>
・小泉政務官ご挨拶
・大西委員長ご挨拶
・事務局から資料説明
・討議(以下概要)

  ○ 製造業の空洞化が地域経済へ負のインパクトを与えている。製造業から他の産業への転換は難しい。
   人口・労働の産業間での配置をどう見ていくかが重要。特に製造業の生産拠点の変化が人口や労働力の配置に影響を与えるのでその点を見ていく必要がある。
  ○ 資料にあるように100年後には明治と同様の人口になるかは実際には分からないが、いずれにしても出生率が大きな影響を与えるだろう。
  ○ 耕作放棄地や林地については、持ち主が分からないとの問題も増える。自然環境の点では、気温変化に備え、地域地域での抵抗力などを整える必要。生物多様性に
   関連しては、ヒトの手が入りすぎたところを元に戻していくことも必要。
  ○ 意識調査(資料4)は、そうなって欲しいという希望と客観的予測が混ざっているのでは。
    人口減少の問題と比べても、気候変動の影響は勝るとも劣らず大きい。気候変動によって住みにくくなる分が、人口減少で救われるということもありうるかと思う。
    また、アウトプットは地図をメインにすべき。地図を重ねるのか、データを重ねるのか、どのような見せ方をするのかも重要。
  ○ 今後、国土情報をどう整備するかを考える必要。モニタリングをしっかりして行くことを考え、その時々に適切な対応ができるような情報を整備する必要。 
    また、この展望結果を国民がどう考えるか、日本がどれほど大変になるか、国民が認識しやすい形で示す必要。
  ○ 温度が上がるからいけないのではなく、変化すること自体がいけない。人口減少についても、3,000万人となることはいろんな意味で楽にもなるが、今の水準から
   4分の1になる。本作業では2050年までを展望することになっているが、気候変動は今世紀の後半の方が影響が大きくなるのではないかという点にも留意が必要。
   変化を見越して社会的マネジメントすべき。
    展望については、「今のままでほっといたら」ということと、「どういう将来像を描くのか」、との2段階で話を進めるべき。この際、経済、食料価格、エネルギー価格が、
      世界の中で相対的にどうなるかが重要。
  ○ 人的ストック、ノウハウ、知識が重要。GDPは下がるが、ストックとして保有している資産は大きい。こういった無形の資産もどうカウントするか示して欲しい。
    また、豊かさ、ゆとり、余暇時間といった点は、今回の展望の中でどう示すのか。
  ○ 人口減少といった変化にアジャストできるかといったことを国民に示す必要。
    人口が数千万になると他の国の経済の影響を受けるようになる。例えば、自動車販売を見ても、他の国の市場で生きていかないといけない状況。国際化は切実。
    スウェーデン、フィンランド、デンマークなど今の日本よりも少ない人口でもうまくいっているところはある。そういった国との比較も重要。
    また、見せ方としては、地図に落とすだけではなく、例えば、外国には、病院に平均○分かかるようになるといったデータもある。さらに、定位点での変化を追うのも
       国民にとってリアリティがあるものになるのではないか。
  ○ 国土の7割を占める森林について危機感。森林法が甘く、伐採、売買について国にデータが集積されていない。個人情報の保護もあって、例えば固定資産台帳上の
       データなど行政機関相互でデータが共有(リンク)できておらず、課題が把握できていない。
    また、例えば、山火事、土砂災害では消防団が対応。以前はコミュニティ内の若い人が組織していたが、最近は、女性や地元の企業などで組織している。このように、
   農山村の国土管理の主体がどうなっているかも整理する必要。
    意識調査(資料4)については、世代間で意識が違うのではないか。
  ○ 地域の格差も、「豊かさ」で算定するのは難しい。例えば、地域内で生活するのに最低幾らかかるのかといった観点で見る方が意味があるかもしれず、東京はコストが
   かかるなど、豊かさの違いも見えてくるのではないか。
    少子化については、当面の問題は、今の年金制度では破たんすること。他方、外国人の流入により人口が安定すると今の制度でも何とかなるのではないか。
    子育て支援は一つの解決方法でしかない。動物学的にみると、人口密集エリアほど出生率が下がる。ストレスを解消する都市構造も必要。こうした点をもっと詳しく考え
   ていいのでは。なぜ産む気になったのか、労働時間が影響しているのか、など。
    また、かつての都市への人口集中は、都市のどの利便性が生んだものなのか。今後、アジアが発展する中で、太平洋側から日本海側へ重心が移るとしたら、過去の動
   向から分析すると都市に何が必要なのか。過去に検証したものがあったら見たい。
  ○ これまでの「人口ボーナス」は、今や「人口オーナス」になってきている。現在有しているハードもレガシーになる。例えば湾岸エリアのマンションを危惧。震災の際にどうな
   るか。今、40代、50代がローンで入っている。将来、この1、2割が認知症になったらどうなるか。ディペンデント・ポピュレーション・マネージメントの議論。例えば高齢化で
   も、相模原で3倍、多摩で2.5倍となるが、島根ではもう終わっている。大都市は若者向きに作っており、これがレガシー・コストとして降り掛かってくる。こういった矛盾が
   2050年頃に極大化する。
  ○ 果たして40年後の展望が可能なのか。せいぜい2、30年後ではないか。
    また、世界の中の日本という意味で、海外からの労働力の流入を考える必要。
    意識がどう変化していくかも考える必要。なんでもやろうという団塊世代の意識は、今後むしろ少数になるのではないか。
  ○ 率直には、40年後は想像が難しい。国際情勢、産業構造はドラスティックに変化しているのではないか。
    経済成長は、労働、資本ストック、技術水準が要素となる。人口が減ると経済にネガティブな影響が出るだろうが、一方で人口が減ることによって、何らかの調整が生じる。
   例えば、労働力減少によって、機械など労働を代替するものが生まれる、海外から労働力が流入するといったことも。
    今回の作業では、40年後の人口は示す模様だが、その際の経済的なフィードバックは考えるのか。
  ○ 国土のイメージ、認知を構築していく必要。例えば、「石川県」から来たと聞けば、「金沢」から来たと思う。一般的に認知されている都市名は非常に偏っている。例えば、
   スペインでは、アニメ(クレヨンしんちゃん)の影響で、春日部がよく認知されている。今回の作業で、国土のイメージの形成、保持等についても取り上げて頂きたい。
  ○ 今後、中山間への里帰り・定住が起きると見ている。ヒトとヒト、ヒトと歴史とのつながりが重要。マンションが地元と言えるか。「暮らし」をあわせて考える必要。人口空白は
   島根県が一番だが、例えば、人口1,000人、高齢化率40%の村に子連れ夫婦が一組増えるだけで人口構成は安定するというようなことを考えるようにすると具体的な議
   論になると思う。
    また、ニュージーランドでは、夕方6時に家族が集まって食事をするが、日本の首都圏では夜8時でも父親は家に帰っていない。これを変えるようなシナリオを提示できな
   いかと思う。
  ○ 情報通信技術の分野でも国対国の覇権主義が強まっている。これまで情報通信分野の技術標準は、国連の下部組織で紳士的に決めていたが、最近はEUが強引に推進
   したりしている。
    産業のバックとなる「市場」をどのように発展させていくかという点を少しでも示せればいいと思う。例えば、最近、携帯電話の販売奨励金を無くすとの施策が採られた。表向
   きは一般ユーザーの利便性を上げるとの趣旨だが、裏では、メーカーがキャリアの束縛を離れて、海外にも進出しやすくなるというもの。国土交通省でもこういった施策が
   無いものか。
    また、国土交通省で持っている膨大なデータを整理できないか。
  ○ 人口が無人化する地域、特に無人島になるところはどこか示して欲しい。
    また、土地・建物ストックの価格の問題。これまでの20年は、ストック価格が下がってきた。こうした国富をどう保全するか。これまでの推移、状況が見たいし、できれば予測
   も示せればと思う。
    資源・エネルギーの自給自足が見えてきた。空いている土地を使うと、相当のエネルギー供給が可能との試算も。石油・鉱物の資源価格が上がっているなど、交易条件が悪
   化している中、資源・エネルギーの自給自足は、地域振興やライフスタイルにも影響するのではないか。
    クリエイティブなヒトがどこに、どう集まっているかといった分析も意味を持つのではないか。
  ○ 将来の人口縮小は間違いない。人口が江戸や明治の頃の水準に戻ったとしても、外国との流出・流入があるという点が違う。今や、外貨を稼がないと食っていけない。付加価
   値をどれだけ付けられるかが課題。
    今回は、国土形成計画でやりきれなかった点について検討したい。旧全総では日本しか見ていなかった。経済も上り調子であることを前提にしていた。スピード感もゆっくりし
   すぎている。また、ここ10年、「地方分権」が金科玉条となっているが、国家は何をすべきで、どんな権力、責任を有するべきか。その際、よその国がどのような国土観を有し
   ているかも重要。さらに、居住人口ではなく、交流人口の観点や、海外に居住する人口といった観点も必要。
     また、「今のトレンド」だけで見るのではなく、「完全にサステイナブルな世界」になるためにはどうしていくべきかという点もやった方が良い。
  ○ 今回の長期展望は何のためにやるのかを整理する必要。その際、新全総の時にやった20の質問が参考になる。単なる予測というより、備える、変える、目指すといった能動
       的行為につながる観点が重要。


                                                                                (速報のため、事後修正の可能性があります。)

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