第1回移住・二地域居住等促進専門委員会 議事要旨

第1回移住・二地域居住等促進専門委員会 議事要旨

国土審議会推進部会第1回移住・二地域居住等促進専門委員会 議事要旨
 
1 日時
 令和5年10月19日(木)17:00~19:00
 
2 場所
 中央合同庁舎3号館8階特別会議室(オンライン併用)
 
3 出席委員
小田切委員長、石山委員、井上委員、加藤委員、越委員、高瀬委員、谷邉委員、原田委員、堀口委員、森田委員
 
4 議事
 (1)移住・二地域居住等の促進に向けた検討の方向性について
 (2)委員からのプレゼンテーション
 (3)移住・二地域居住等の促進に係る施策の取組状況について
 (4)意見交換
 (5)その他
 
主な発言内容(委員発言順)
議事(1)・(3)について事務局より、議事(2)について井上委員、高瀬委員、森田委員より説明を行い、(4)の意見交換では各委員から意見などの発言や事務局から回答を行った。各委員からの発言や事務局からの回答は以下のとおり。
 
(4)意見交換
○委員の意見・質問
○二地域居住であっても、子育てなどの住民サービスは充実したほうが良い。そうしたサービスを自治体が提供する際に、住民税を支払っていない人にどこまでサービスを提供できるか。
〇二地域居住の場合の税の支払いの仕組みや、住民票の扱いをどうするのかといった点は議論の余地がある。
○自治体の規模が大きくなるほど、自治体を介して空き家の状況を把握することが難しくなるため、民間の主体と連携することが重要である。
○2016年に市街化調整区域における観光目的での施設の整備に関する開発許可制度の運用が弾力化された。これにより、市街化調整区域にある古くなった保養所を宿泊施設などに転用を進めることができた。移住促進のため、市街化調整区域にある建物の活用についても検討の余地がある。
○原則フルリモートワークを採用しているある会社では、社員の内5割近くが一都三県以外の居住者であり、様々な地域の方が入社している。
〇その会社では、どこに居住しようともアウトプットは一緒なので、成果に応じて、給与水準は全国一律としている。
〇ITなどの知識産業は東京一極集中しており、地域にはそういう仕事があまりない。東京から、Iターン、Uターンしたいが、やはり仕事がないとなかなかできない。
〇移住者からすると、仕事や生活環境などが一気に変化するとストレスがかかるため、ひとまずリモートワークの会社に転職し、数年たって子供の学齢期に移住したいという話も聞く。
〇企業側としても地方だと採用競争力をもてるメリットもある。やはり、知識層の方々がITをしながら、地域に住むのが1番well-beingではないかと感じている。
○この約30年間の間に、それぞれの地域の持つ独自の価値が再認識されてきている。メディアには、移住や地域とつながるハードルが下がり、オンラインで仕事やリモートワーク移住できるようになった中で、今の時代だからこその働き方、暮らし方を選択肢として提示できるような、ライフステージに合わせた移住の仕方の強みが見える形でどんどん発信してほしい。地域ごとに強みを分かりやすく発信して行くことが、全国を見て足りていないと思う。
〇楽しさを中心において考えたいが、地域に行けば行くほど、覚悟や危機感を持ってやっている事業者や行政職員の話を聞くと、それだけではいけないと感じる。
〇移住したい人あるいは二地域居住希望者に対して、媚びる施策や情報発信がいまだに多いが、そうではなく、その地域に人が動いた結果、その人たちが幸せになることは大事だが、最終的にはその地域が喜ぶような結果に至らなければ地方創生の意味がない。
〇移住してでも働きたい会社や、官民連携ではなく民間行政という言葉を使って、企業や事業者で地域を変えていくという覚悟を持っている、地元の人でも移住者であってもそういう方々を意識して応援したい。
〇地域の事業者が強くなるような応援や発信をし、その人たちに惚れて若者が動いていく際に楽しさだけではなく、覚悟や危機感の理解が進んでいくと良い。
〇優良事例とされる地域においても、実際は地域のインフラを支えている事業者に人がなかなか回らない。そんなときに身銭を切ってでも担い手を育てている現実を移住希望者や多拠点で活躍できる人に知ってもらった上で関わり方をもっと提示して行くべきと考える。
○特に若者の地方移住への関心の過去にない高まりやコロナ禍でテレワークの普及が進んでいること、コロナ禍後のライフスタイルの変化として、自然やローカルを魅力だと思う方々が増えていることは非常に好ましいデータである。
○コロナ禍以降の変化が出てきている中で、例えば、キーワードとして転職なき移住やテレワークを前提とした人、さらに若者、女性のニーズの具体的な部分や課題を可視化していく必要がある。移住・二地域居住のサポートを従来の画一的なメニューではなく、属性的にニーズを具体化して、適切なサポートや補助を検討できると良い。
〇移住となると、これまでは駅からの近さや交通インフラの整備状況が重要視されてきたが、Wi-Fiがあれば、若者も含めてテレワーク普及以降は場所の遠さが関係なくなってきている。そういった視点を加えていくということが必要。
○場所と環境によって移住のハードルが高い地域が存在する。例えば、限界集落のような、このまま人が来なければ現状維持が難しい地域は、優先的に対策を取る必要があるので、画一的な地域・移住ではなく、地域ごとの現状を踏まえた対応が必要。
○近年、地域内の人と地域外の人の交わりが多く見られるようになってきているが、実際に地域の中に入り込むには、何段階もの壁がある。例えば、交流の場では仲良くするが、自治会や商工会、お祭り、観光行事などの役割をもった参加はハードルが高い。女性や若者の価値観を深く受け入れてもらえるような土壌が感じづらい。こうしたソフトの面の課題を可視化した上で、適切な対処・対策の検討が必要。
○空き家が売買できる前の下準備のお客の8割は65歳以上の高齢の方で、空き家を売るためにどうすればいいの分からない、誰に相談して良いのか分からない、息子・娘は協力してくれず空き家の相続問題に巻き込まないで欲しいと言われることがあると聞いている。
〇空き家を売る前の準備として困ることが4つあり、1つ目が家財道具の処分で、だいたい9割の方が空き家に家財を残したままの状態で相談する。2つ目が相続をしていない未登記物件で司法書士に繋いで相続のお手伝いをすることが相談者の3割である。3つ目が建物未登記でそもそも建物の登記がないものが3割ほどある。4つ目は根抵当権がまだ残っている状態の物件がだいたい1割ほどある。
〇売買するまでの準備は多岐にわたり複雑だが、不動産の仲介手数料は安価である。不動産の手数料は全国一律決まっており売主からは平成30年の改定により18万円までもらえるようになったが、買い主からは未だに安価な手数料体系となっている。そういったものを見直すことによって空き家を扱う業者が増えれば、全国的に空き家が流通しやすいのではないかということを提言させていただく。
○デュアルライフを希望した人が求める要素を自治体または地域が提供できた事例で、移住や二地域居住が非常にうまくいっているという調査内容がある。その中でも地域の課題、必要な人材やナレッジを明確にして、兼業・副業を中心に地域との関わりはじめの敷居をうまく低くしていくような工夫、追加的な収入や金銭的な便益だけではなく、心理的な便益、すなわち地域に貢献している満足感の提供等がうまく演出できている自治体で移住がうまくいっているという調査結果がある。
〇そういったことを推進するために、自治体職員の方、実際に移住された方、仲介をされた方、どなたか非常にコアな方が必要だと感じた。
〇一方、GXやカーボンニュートラルの動きは、ある意味産業革命のようなもので、産業構造が大きく変わり、人々の生活、場合によっては職業も変わらなければいけない。その地域自体のコアとなる産業が変革して行くことで、これまでの職業が変わっていかなければいけない。そもそも仕事がなくなるというような大きな変革を迎えるような契機になるかと思う。
〇それは移住者であり、また転職した後で働き方が変わる人を受け入れる地域にとってはチャンスになるかもしれないと思っており、その観点からは、これまではどちらかというと大都市圏、特に東京圏から移住や二地域の候補者を募るという大きな流れだと思うが、例えばカーボンニュートラルで影響を受ける沿岸部のコンビナートなど、これまでとは違うようなところで、これから人口の流動や転職活動というものが起きると思っているので、いろんなソースを検討できるような体制、考え方を変えるような必要性も出てくるのではないかと思う。
○地域のシンボルになるような古い建物が交流の場として重要だが、どんどん壊されている。地域がどう守っていくかが重要。
〇二地域居住の問題点では、移動の交通費がかかること。高速の料金改定など、移動のコストを軽減できないか。
〇教育の問題もある。せっかく移住しても、移住先でのいじめや学校の先生の考え方が古い等、移住者からやっぱり出て行こうかという声もある。また、伝統的なコミュニティとの関わりをどうするか。消防団などは地域の人と仲良くなれて良いのだが、無駄なことが多く、そこを見直していくことができないかと思う。
○将来のプレイヤーを育てていくことが大切と感じた。行政と民間、行政と移住者の間に立つ人がいないと、二地域居住にしろテレワークにしろ問題は解決できない。プレイヤーを育てる支援についても考えていけるとよい。
○地方×地方という考えがあってもよい。例えば、人口規模、産業構造が同じ都市はつながりやすい。
○他委員のおっしゃっていた不登校の話は実際にある。1学年1クラスしかなく、いじめがあったとしても、6年間クラス替えが出来ないが、隣の都市では1学年に5クラスあり、クラス替えが可能であるので、「近くで二地域居住」もあり得るではないか。大人にとっても同様。近くの二地域居住により、環境を少し変えることで、リフレッシュできるかもしれない。
○地域の格差もある中でなかなか全ての市町村でというのは難しい。パイロットエリアを設けてもいいと思う。
○第1次国土形成計画の時には小さな拠点という概念がこの場から生まれた。第2次国土形成計画の時には、関係人口が生まれている。今回は比較的短い会議だが、新しい仕組みが今回もまた出てくるのではないか期待する。
○移住、二地域居住や関係人口あるいは観光も含めてシームレスに考えるべきである。特に地方自治体においては、観光と二地域居住あるいは移住の部署が連携することは絶対必要。その中で関わりの階段、つまり観光から関係人口、関係人口から二地域、そして定住へという階段がどれほどあるのかということについてはまだまだ見極めができていない。場合によったら、これはあまり移動がないのではないか、という議論もある。つまり移住は移住、二地域は二地域で属性が違うという議論さえもある。どれだけ連続性があるのかということの見極めは、政策的にかなり重要ではないかと思う。そのような検討もこの委員会でできればと考えている。
〇この委員会での議論を踏まえて、今後提言をまとめるのか。
 
【事務局からの回答】
○12月の委員会における中間とりまとめに向けて、施策のあり方について議論させていただければと思う。


(以上)
※速報のため、事後修正の可能性があります。(文責 事務局)

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