国土審議会第2回推進部会 議事要旨

国土審議会第2回推進部会 議事要旨

国土審議会第2回推進部会 議事要旨
 
1 日時
 令和6年1月19日(金)10:00~11:00
 
2 場所
 中央合同庁舎2号館12階国際会議室(オンライン併用)
 
3 出席委員
 増田部会長、石田委員、畝本委員、加藤委員、木場委員、越委員、地下委員、図司委員、瀬田委員、田澤委員、冨山委員、中出委員、(移住・二地域居住等促進専門委員会)小田切委員長
 
4 局長挨拶
○令和6年は、国土形成計画の着実な実施を図るため、関係省庁と連携して具体的な取組を進めてまいりたい。
○移住・二地域居住等促進専門委員会においてとりまとめいただいた内容を、小田切委員長より説明いただく。
○地方への人の流れの創出・拡大による地域の活性化を図るうえで、二地域居住という新しい住まい方・暮らし方の普及・定着、多様なライフスタイルを実現する施策の展開は重要なポイント。
○国土交通省としては、とりまとめを踏まえ、次期通常国会において、二地域居住等の促進のための法案を提出する準備を進めている。
○国土形成計画のプロモーションとしては、策定中の広域地方計画で学生とのワークショップなどを実施している。
○地域生活圏としては、年末のデジタル田園都市国家構想実現会議において、各省庁が出席の下、一体となって取り組んでいくことが閣議決定された。
 
5 議事
(1) 移住・二地域居住等促進専門委員会からの報告(中間とりまとめ)について
(2) その他(プロモーション・地域生活圏)
 
主な発言内容(委員発言順)
議事について小田切委員長及び事務局より説明を行い、各委員から意見などの発言や事務局から回答を行った。各委員からの発言や事務局からの回答は以下のとおり。
 
(1)移住・二地域居住等促進専門委員会からの報告(中間とりまとめ)について
○第一次から第四次までの全国総合開発計画のような国民からの信頼と力を国土形成計画が取り戻すために、国土審議会推進部会は正念場であり、人口減少が問題になっている中で、地域生活圏と二地域居住は大事である。
○良いモビリティの実装には、データのコミュニティ、ビジネスのコミュニティ、モビリティを支える人たちのコミュニティといったコミュニティを形成していくことが大事。そのためには「信頼」を勝ち取ることや「楽しさ」、「喜び」を実感することがキーワードとなり、それらを行う場として教育の場、地域づくりの場が必要なので、省庁連携で取り組んでいただきたい。また、義務と権利の関係を整理することも大事であるため、マイナンバーカードを活用したデジタル住民票や納税証などに努めていただきたい。
○中間とりまとめに記載された「意志決定」は、ビジョンをつくって、バックキャストで進めるということを表した言葉であり、将来のことを皆で希望をもって決めるという表現を用いたことに敬服する。
○二地域居住にしろUIJターンにしろ、まずは地域と何らかの関わりを持つこと、関係人口をつくり上げていくことが必要。今後、専門委員会で議論する際には、関係人口をどう創出し、それをどう二地域居住につなげるかを議論されたい。参考となる事例は既に多くある。
〇資料1の18ページにある新たな制度設計にて、二地域居住等の促進に向けた計画の策定を促すのは良いが、これを錦の御旗として、「都市計画法や建築基準法等の各種法令手続きの円滑化」について単純に規制緩和を進めるのは良くない。どういうふうに手続きの円滑化を進めるのか今後きちんと詰めてほしい。
○テレワークから出社への回帰が進んでいるという話があるが、コロナ禍前から比べればテレワークの数はむしろ倍増しており、二地域居住にしてもワーケーションにしても“今”が力を入れるチャンスである。
〇区域外就学は学校ごとの学力差や教科書の違いを考えると就学時は課題が残っている。一方で保育の広域利用は、学力差といった差が小さいので全国で使っていただけるような施策を考えていただきたい。
〇北見市で空き家をワーケーション・長期滞在に活用する取組みを行っている中で、空き家は住宅地にあって、条例等で簡易宿泊に用途外利用することが難しく、民泊についても家主居住型でないと難しいという障害がある。特例があると、これらの取組が進んでいくのではないか。
○移住支援金が活発な自治体が目立つ傾向があるなかで、仕組みづくりや地域側の体制を整えていくことが大事だというメッセージを出したことが非常に大きい。目に見えにくい質的な整えを見える化させていくことが非常に大事になってくる。
○協議会をつくるとKPIを移住者数と捉まえてしまいがちだが、質の問題がでてくると思う。仕組みづくりとともにコミュニティのなかで、関係人口をベースにしながら、外の人を受け入れていくことに慣れていくような場づくりが必要である。その1つ1つの仕組みづくりを積み上げていく部分とコミュニティのなかで雰囲気を醸成していくことの2本立てが必要であり、その組み合わせ方を協議会の場でビジョンとして伝えてくことが大事である。
○二地域居住が仕組みづくりから現場の実装の段階に進んだ際には、今後興味を持った方は、おそらくダイレクトに自分の好きな自治体の市役所に電話することもあるかと思う。そういう時に、各自治体が二地域居住について分からないとならないよう、対応の筋道を今後立てることが興味を持った方が興味を失わないようにするための工夫として、非常に大事。
〇横断的事項に災害時の点を記載しているが、今般の能登半島地震においても地域から離れがたい人も多く、二次避難が進まない問題もあったものの、若者においては仕組みを作ってあげることで学習のために集団避難を行った事例も出てきている。災害時の対策のために二地域居住を利用する仕組みを制度的に用意してあげることは重要だと考える。
〇二地域居住の目的によって対応を変えるのかどうか、例えば仕事や介護などのための二地域居住と、趣味等の余暇のための二地域居住で対応や扱いを変えるのかどうか、が気になる。
○二地域居住に対する、高知県四万十町の空き家のサブリースや徳島県の区域外就学制度など制度的には整ってきたと感じた。しかし、住民票がない居所について、行った先のコミュニティに入るために、居所での町内会の参加を認める、町内会費を払うなど、居所として行っている所に地元で認識されていないと、いざという時に見落とされるのではないかということを今回の能登半島地震で感じた。今後、法律や制度を考える時に全ては解決しないだろうが、居所の扱いについても論点にしてはどうか。
○移住や二地域居住を進める政策の目的を明確にすべきである。単純に「移住者の増加」を目的とした場合、人口減少が進んでいる地域では多少移住者が増えても全く足りないところがほとんど。何を目標にするかは政策の費用対効果を考える上でも必須の検討事項となる。単に人数ではなく、二地域居住者が地域の中で活躍してもらうことを目標にすることもある。そうなると講ずべきことも変わってくる。
〇子育て世帯の二地域居住では、教育の機会確保は重要であり、もっと強調してよい。既に措置されている「区域外就学制度」の活用も重要だが、多くの世帯にとってはこれだけでは不十分。子どもの学びの環境については可能な限りもっと多面的に検討すべき。
○メインターゲットの1つである、子育て世代にとっては家族1人1人の幸せが必要になるため、子どもの教育は非常に重要である。そのため、教育をもっと強調していい。
〇移住において、保育園から高校が公立の場合、基本学区があるため住民基本台帳ベースとなる。区域外教育など事例はあるが限られており、まだ一般的な手段とはなっていないと思う。
〇省庁連携の中でも、文部科学省との連携は特に重要である。勉強が大事なフェーズになると、学びの選択肢が多い東京に戻りたいという話も聞く。子どもにとってのなりわいは学びだと思うので、住まい・なりわい・学び・コミュニティでもいいと思う。
〇転職なき移住とあるが、フルリモートの会社に転職後、子どもの進学・就学を機に転勤や二拠点居住をするという話も聞く。テレワークが特に進んでいるのはスタートアップ企業が多いので、政府が行っているスタートアップ政策や各自治体の施策についても検討していただきたい。
○官民連携で進めることが非常に重要。自治体だけできないこと、民間だけでできないことがたくさんある。
○二地域居住は、自治体にとっては新しいものである。住民票がない人が増える一方で、行政サービスが増えると言うような課題もまとめられていると思う。また、地域の産業のDXや、産業に与えるデメリットなど、産業に与える影響もあるので、二地域居住に自治体が取り組む際の道しるべになればよい。
○二地域居住については、局長から話があったとおり、通常国会に法案提出すべく準備をされている。今後、法案の審議を行うことになった際には、その質疑の中で我々委員としても把握しておくべき事項があれば情報提供願う。

【事務局からの回答】
○多岐にわたるご意見いただき感謝。今後の制度の運用の部分も含めて制度設計に役立たせていただきたいと思う。
○都市計画法や建築基準法等の規制緩和の話は、考え方としては、やみくもに建築規制を解除するわけではない。例えば、空き家だったところをワーキングスペースにするとか、交流カフェにするなど、用途変更の場合の手続きの円滑化など、現場が動きやすくするというところを念頭に置きながら制度設計を考えている。
 
 
(2)その他(プロモーション・地域生活圏)
○国土交通省が声掛けできるところに相当多く声かけている印象。非常にプロモーションとしては頑張っていると思う。さらに言えば、あえて一般的な新聞や雑誌といったあまり関わりのない方々へのプロモーションを今後進めていくことが次のステップだと思う。

【事務局からの回答】
○プロモーションについては、我々でできることを目一杯進めているが、委員の先生方にもご協力いただければと思っている。
 
(以上)
※速報のため、事後修正の可能性があります。(文責 事務局)

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