国土審議会離島振興対策分科会第1回離島指定検討部会:議事要旨

国土審議会離島振興対策分科会第1回離島指定検討部会:議事要旨

平成24年12月20日(木)17:00より、国土交通省(中央官庁合同庁舎2号館)国土政策局
会議室において、国土審議会離島振興対策分科会第1回離島指定検討部会が開催された。
議事概要は以下のとおり。

(1)離島指定基準の点検及び論点等について
(2)離島指定基準に関する検討について
(3)その他

審議に先立ち、委員の互選により阿比留勝利委員が部会長に選任された。
阿比留勝利部会長より山下東子委員が部会長代理に指名された。
議事(1)について、事務局から資料3及び資料4により説明の後、議論が行われた。
議事(2)について、事務局から資料5により説明の後、議論が行われた。
議事(3)について、今後の検討の進め方について事務局から資料6により説明が行われた。

【議事概要】
○指定基準に関する考え方
・分科会のほうで、離島振興法の立法者の立場から委員が、「できるだけ間口を広くしてい
ただきたい」と言っているので、その趣旨からしてできるだけ間口を広げた指定基準を
設けるべき。
・今回の法改正は、人が住み続けることをベースにしており、ソフト事業を大きく拡充する
という話になっているので、指定は広いけれども個別施策とか事業に対する支援というの
は多様性のある形で進めていくという考え方もあるのでは。
・最初から指定の傘をかぶせるという意見もあるが、財政的な逼迫感もあるので、それで
国民に納得してもらえるのかと疑問。データに基づいて客観的に根拠を言えたほうが、
アプローチとしては透明性があるのではないか。
・それぞれ事情があったと思うが、厳密に言うと始めから要件を満たしていないのに指定
された離島があるようだが、それは現代に照らして合理的な事情であったかどうかとい
うことを検証しなければならないのではないか。一方、昔は基準を満たしていたのに状
況が変ったというものもあるが、これは同じ土俵で議論できないのではないか。
・指定をすることによって高齢化や人口の減少が食いとめられるということをデータ等で
検証できれば未指定離島を指定する合理性があると思うが、今まで長い間指定してきた
島も、高齢化・人口減少が進んでいるので、指定をしたからといって当初の目的が達成
されるという保証が無いということとなり、説得力を持って人々に説明できないのでは
ないか。
・無人離島の増加の防止が法目的に追加されたが、どの程度無人島の増加が予測され、そ
れを防ぐために指定をすればよいか、というアプローチもあるのではないか。
・項目は極力シンプルに考えるべき。
・あまり項目を複雑にしないで、基準に「おおむね」も入っているので、総合的な観点の
中でどうやって指定していくのか、あるいは優先度を高めていくのかを考えるほうが良
いのではないか。

○現行指定基準の内容(項目立て・水準)についての社会・経済情勢の変化を踏まえた評価・検討
[1]新規項目の追加について
・人口10万人の都市や最寄りのよく行く都市までの時間と料金といったもの、改正法の
人口減少防止という目的規定から人口減少率といったものが考えられるのではないか。
・指定をして何もしないというのは趣旨から外れると思うので、指定後に想定している事
業があるということはかなり重要。ただし、かつては離島振興法の事業はほとんど公共
事業だったが、今回の法律の中でかなりソフト事業が重要になってきているということ
を考えると、ソフト事業も含めて検討すべきではないか。

[2]人口・隔絶性(航路距離、寄港回数)といった既存項目の項目立て・水準について
・本土と離れているということが唯一の条件ではないか。
・橋がかかったら指定を解除するというのであれば、橋がかかってない、つまり本土と離
れているところは指定の対象にする、これが一番の極論で、どの程度そこに条件をつけ
るかということではないか。
・離島振興法の趣旨から言えば、海を隔てて離れていること自体がもう既に格差であるが、
一方で財政的な意味で、非常に近くて、実態的に道路が通っていることと変わらないよ
うな離島を支援するのかどうか。
・離島でも、自動車のコスト相当の船賃だったら我慢できるが、それより高い運賃だと格
差となると考えられるため、中山間地域との衡平性も含めて議論すべき。
・人口減少で集落が非常に小規模になってきているため、人口要件の100人という部分
に、離島コミュニティー・小規模集落の活性化や維持などの観点を持ち込むべきではな
いか。
・ある程度、暮らしを維持し続けるためのいわば最低のベースとして、集落をどうやって
維持していくかという意味での人口のボリュームは必要ではないか。
・人口については、そこで何か事業を行うに足るだけの人がいる、あるいは今現在いなく
ても将来それが見込めるというところはポイントではないか。それをどういう指定の基
準でやるのかと、将来のことまで考えてやるのかというのは、議論が必要。
・人口が100人でも10人でも住んでいることに意味があり、住むからには医療も福祉
も教育も、また、インフラについても最低水準のものは必要だという議論はある。
・離島振興法の指定に限らず医療等の施策は実施されており、法の効果に着目して検討す
る必要があるのではないか。

[3]排他的経済水域や領海等の基点となる離島の取り扱い
・文化の継承、排他的経済水域の保全、海洋資源のことなどを考えながら離島振興法につ
いて考えないといけない。
・排他的経済水域や領海等の基点となる離島のうち、無人島は離島振興法とは別に考える
べきではないか。
・未指定の離島で、領海等の基点となっているところはあるか。

○既に指定されている離島で、(評価後の)基準に照らした場合に、該当しないこととなっ
たものが生じた際の猶予期間などの取り扱い
・既に現基準からは外れている離島がたくさんあるということだが、離島みずからは、既
に基準には該当していないけれども、今、離島の指定をされているということをどのく
らい認識をしていて、これが該当しなくなるという可能性をどのように認識しているのか。

○内水面の離島(現在指定基準が示されていない)の取り扱い
・内水面の離島も本土から離れているので、内海や外海などの海に面している離島と同一
に判断すべきではないか。

○その他
・離島振興対策実施地域に指定されていなくても対象となる補助事業があり、これは予算
措置で行っているものと思うが、離島振興法の趣旨とこのような予算措置の整合性はど
のように考えるのか。基本的には、離島に対する施策を実施するのであれば、離島振興
法でカバーすべきではないか。
・定住人口が減り実質的に無人島になったような離島でも、交流人口という形で維持して
いこうというふうに考えることができるかどうか。
・基本的には有人島が対象と思うが、有人島にいる住民が活用する無人島であればそれは
対象とすべきではないか。受益者が誰かということを考えるべき。
・個人所有の島などではなく、住民が住み続ける離島というのが基本ではないか。
・財政が日本全体として厳しい状況だが、離島振興に対する全体の予算というものは、例
えば島の数が増えたら並行的に増えて、減ったら減るという前提なのか、全体のパイは
決まっているというふうに考えるのか。
・国境問題や海底資源などによって離島は非常に注目を集めるようになったが、その辺り
も含めて振興を考えていくべき。
・離島振興法の指定によって離島での生活にどれだけプラスがあるということをしっかり
と住民に向けて情報発信していかなければならない。

(速報のため、事後修正の可能性があります。)

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