国土審議会

第17回国土審議会・議事要旨

印刷用ページ
 
1.日時
 平成27年6月15日(月)17:00~19:00
 
2.場所
 中央合同庁舎2号館地下2階講堂
 
3.出席委員
 奥野信宏会長、石原邦夫会長代理、細田博之委員、前原誠司委員、松浪健太委員、森英介委員、山本公一委員、田中直紀委員、
 吉田博美委員、沖大幹委員、沖原隆宗委員、垣内恵美子委員、川勝平太委員、木村陽子委員、清原慶子委員、崎田裕子委員、
 澤田陽子委員、原田昇委員、宮脇淳委員、望月久美子委員
 
4.議事
(1)計画部会からの報告について
 
主な発言内容(委員発言順)
○開会挨拶
・審議会冒頭、西村副大臣より挨拶
 
○議事
(1)国土形成計画(全国計画)に関する計画部会報告及び国土利用計画(全国計画)に関する計画部会報告について             
 
奥野部会長より総括的な報告を行った後、事務局から詳細説明。その後、意見交換が行われた。各委員からの意見は以下のとおり。
 
 
・対流やコンパクト+ネットワークを進めるという全国計画の考えと、各ブロックによる広域地方計画は、整合が図られるべきである。
  新潟県は、広域地方計画においては、東北ブロックに入っているが、対流やコンパクト+ネットワークを進めることを考えると、むしろ、
  日本海側の新潟県と太平洋側の首都圏との連携がより重要であると考えられる。この点について、広域地方計画では、どういう施策を、
  どう取り組くんでいくのかということを考えていく必要がある。
・国土利用計画の数値目標については、住宅地と商業地とがどう関わっていくのかなどがわかるよう、もう少し細分化して目標を立てたほ
  うがよいのではないか。
・「国土基盤を賢く使う」点をしっかり打ち出している点が評価できる。
・その観点から、日本の国土のために「四国」の使い道を考えて欲しい。例えば、昨今、東九州自動車道が繋がって、従来までの九州から
  関門海峡を通り、関西に入ってくるというモノの流れより、大分の別府や臼杵から四国を経由して関西に入ってくるほうが時間的に早いな
  ど、物流のあり方に変化が見られる。こうした物流の流れが変わりつつあることも踏まえて、既存ストックとしての「四国」の使い道を今後
  しっかり考えていただきたい。
・これまで、「社会基盤があっても、仕事がなくては地元に住み続けられない」ということを言ってきたが、今回の案では、子育て環境の整備
 や女性や高齢者等が活躍できる社会の実現について盛り込まれていることは評価できる。
・しかしながら、地方における「小さな拠点」は、市町村合併した時点から既に形成されているといえる。そして、市町村においては、ネットワ
 ークでつなぐため、コミュニティバス等を走らせている。一方で、コミュニティバスは空気を運んでいるようなものであり、それでも市町村は費
 用をかけて走らせている実態がある。
・コンパクト+ネットワークを進めることが、安心して働ける社会を築くことにつながるといっても、地域の実情を考えるとまだ不安が残る面が
 ある。女性や若者などが地方で働ける場所を確保し、また、コミュニティを維持していけるようになるため、計画の進捗状況を確認しながら
 施策の定期的なフォローアップをお願いしたい。
・スーパー・メガリージョンのベース、物流のベースとなるリニア中央新幹線について、JR東海が事業を進められるよう「必要な連携・協力を
 行う」という書き振りに留まっており、全線同時開業の実現に向けた国の主体的な動きが見えてこない。リニアは、我が国全体にとって必要
 な設備投資であり、成長基盤の形成のための投資である。
・そのためにも国の支援が必要であると考える。具体的には、国土形成計画案のp34[4]中に「国も必要な連携・協力を行う」旨追記するとと
  もに、p109のリニア新幹線部分に、国ももう少し主体的に、経済効果や対流のさらなる促進に向けた具体策を検討するといった旨の記述
  の追記を検討して欲しい。
・南海トラフ地震対策の観点から、北陸新幹線の早期全線開業をお願いしたい。
・高齢になってからのお試し移住など、都合の良い時だけ東京圏の人が来ても、地方にとってはあまり望ましくない。むしろ、元気なうちから
  地方と関わり合いながら、いずれ移住を図るなど、お互いに望ましい対流の促進を図ることが重要であり、こうした対流を得るためのキー
  ワードが、「国民参加による国土管理」であると認識している。
・戦略的メンテナンスの必要性・重要性について取り上げている点は評価できる。そのためには、計画立案や調査実施、また、それらを行う
  技術者や建設業者の維持確保が重要である。こうした人材の確保・育成には大学との連携が必要であり、戦略的な人材や産業の育成が、
  特に地方において不可欠である。
・国土利用計画については、質的向上を追求することや複合的視点による施策の推進などを盛り込んでおり、極めて現実的な案であると評
  価できる。
・三鷹市では、「コミュニティ再生」から「コミュニティ創生」に、用語も認識もシフトしている。コミュニティについて、昔の形に戻るのではなく、対
  流を通じてこれを進化させる考えである。この点については、国土形成計画等にも今後の方向性としてあてはまるのではないかと考えるの
  で提案したい。
・計画に盛り込んだ施策については、既に取り組まれているものもあり、その中には課題にぶちあたって、解決策を模索しているものもあると
  思うが、いずれにしても、計画に盛り込むことにより、施策の方向性を全体で共有し、実行の段階で連携して効果を出せることになると考え
  る。各省庁や各自治体が施策を行う際には、計画との関係性を明確にして進めていただきたい。
・広域の8ブロックの地域分類の整理については、柔軟な対応を図った方が、地域としても受け入れやすいのではないかと思う。
・(国土形成計画)p16の東京一極集中の是正に関する記述については、現行計画と対比して、より踏み込んだ記載となっており評価できる。
・p144の人口減少下における国土の適切な管理については、イノベーション創出、経済発展、老朽化対策、防災、気候変動など複合的な観
 点から、土地利用施策等を明確に書くべきである。
・時間軸の設定に関連して、p45の「国土の選択的利用」など施策によっては計画期間の10年では終わらないものが盛り込まれていると思
  う。そのような施策については、計画期間である10年以上の時間を要する対応が必要であることを明示してもよいのではないか。
・p139の今後の水資源政策について、国土審議会水資源開発分科会において「需要対応型」から「リスク管理型」への移行を打ち出したと
 ころであり、国土形成計画の中でも用いてもよいのではないか。
・網羅的かつ具体的に施策が盛り込まれており、評価できる。
・その上で、この計画をいかに実行していくかが重要である。そのためには、民間の知恵の活用やベストプラクティスの共有が重要であるとと
  もに、各地域間の競争も必要である。盛り込んだ施策が多岐にわたるため、関係省庁と連携しながら、観光、地方創生、国土強靱化などを
  含め、施策全体を踏まえた進捗管理が重要である。
・防災対策については、特に観光の面とも関連するので、日本の安全・安心が損なわれないよう徹底して進めていただきたい。
・MICEについては、5000人規模の施設が必要であるとともに、都市部でのホテル満室対策にも積極的に取り組む必要がある。
・「攻めの農林水産業」においては、食糧自給率の目標がカロリーベースや金額ベースで設定されているが、例えば和食の代表である寿司に
 欠かせないお茶やわさびなどは、カロリーベースでは捉えられない。我が国の農林水産業や食文化の特徴を捉えていないところであり、目標
 を見直すべきである。
・高品質な農林水産物を海外に売り込む際、その価値を希少性に求めることができる。日本の農作物は、「農芸品(農業芸術品)」とも表現で
  き、その多様性を誇るべき。
・東京オリンピック・パラリンピックに向けて、今後、多くの施設が整備されるが、その際、どのような木材を使うかという視点が重要であり、FS
  Cなどの国際認証材の使用を義務づけるべきである。
・農地の管理について、所有者不明で放棄された農地は、行政の管理下に置くべきである。
・危機管理について、津波避難タワーなど、有事の際にしか使用しない施設は非常に高コストであり、平時と有事のいずれにおいても活用可
  能で、半永久的に使えるという観点での対策を進めるべきである。
・広域ブロックについて、(第3部において)現行のブロックそれぞれの人口や域内総生産が記載されているが、首都圏とそれ以外の圏域で
 は、人口や経済の規模の不均衡が著しいため、首都圏と対抗できるよう、例えば中国、四国、九州をセットで考えるなど、新たなブロックに
 ついての打ち出しが必要ではないか。
・「小さな拠点」など自治体によっては先行的に取り組まれているものについて、国土計画においてその施策の方向性を共有し、全国的に取組
  を進めるということは、好ましい流れである。
・複合的施策の実施や国土基盤ストックの維持・管理など、地方における施策の推進にあたっては、先行している国の計画などとの連携が必
 要であり、地方が施策を行いやすいように、地方債などの制度との整合性を図るなど、きめ細かな目配りが必要である。
・連携中枢都市圏のように、ハード・ソフト両面における自治体連携が重要になるが、事業単位での連携は現在でも行われており、今後は、特
 に地方行財政の状況との整合を図りつつ、政策レベルでの連携を進めることが重要である。
・少子化が進み、高齢者が増加する社会で新しいライフスタイルを確立する上で、「シェアリング」という視点が重要。例えば、車や住まい、食事
 など様々なシェアリングが考えられる。また、若者が高齢者と関わることも、いわば生活のシェアリングであるといえる。可能であれば、各施
 策において、「シェアリング」の考えを盛り込んでほしい。
・「小さな拠点」の形成は、地方では既に進んでいるが、地域発イノベーションをおこすことが重要である。地域の「しごと」を創出するためにも、
 この点についてPDCAをしっかりやってほしい。
・計画を読んでも、盛り込まれている施策と既存の政策との関係がわかりづらい。既存の施策との関係がわかるようにしてほしい。
・「地域の個性」や「豊かさを実感できる社会」を重視した計画となっていることを評価しており、人口減少などの課題について、マイナスの状況
 をプラスに転換するという力強い姿勢を打ち出していることが特徴と認識している。
・今後、地域が主体となり、幅広い国民の参加による国土づくりを進めるに当たり、計画内容の国民への周知徹底や既存の制度・施策との連
 携・方向性の共有が必要である。
・計画策定はスタート地点であり、計画の実現に向けた取組こそが重要。そのためには、計画が目指すものを、国民目線でわかりやすく伝えて
 いくことが重要であり、また、現場で地域づくりなどに参加する人たちが納得して動くようにするための仕組みが重要である。
・計画の実現に向けて、PDCAによるフォローアップを図っていくことが重要である。
・国土利用計画の面積目標について、人口減少が進むにも関わらず、宅地面積が横ばいとなっているが、例えば、宅地面積の将来目標を少
 しでも減少させるなど、メリハリのある目標を設定することなどにより、抜本的な政策を実施するモチベーションにつなげるべき。
・所有者不明となった農地については、川勝委員の意見と同様に、行政の管理下に置くなど抜本的対策が必要ではないかと考える。
・東京オリンピック・パラリンピックについては、多くの外国人観光客を受け入れ、もてなすための社会実験であり、その経験をその後レガシー
 として活用し、持続可能な社会づくりに貢献することが重要である。東京オリンピック・パラリンピックを全国の地域資源の活用や人の交流を
 進める契機とすべきである。
・災害の原因にもなる森林の手入れ不足が問題となっているが、森林整備を進める際に、所有者が不明であることが大きな課題。国土利用
 計画において、「安全・安心を実現する国土利用」を基本方針として掲げており、大いに期待する。
・計画の実行に当たっては、施策の相乗効果を発揮することを念頭に、優先順位をつけ、阻害要因を明確化して進めていただきたい。
・国土形成計画において基本構想実現のための方向性として「ローカルに輝きグローバルに羽ばたく国土」を掲げているが、目指すべき国土
 の統合イメージは、東京圏のような大都市モデルからの脱却であると考える。
 
 

ページの先頭に戻る