計画推進部会(第2回)・議事要旨

計画推進部会(第2回)・議事要旨

1.日時
  平成29年5月29日(月)13:00~15:00

2.場所
  中央合同庁舎2号館地下2階講堂

3.出席委員等
  奥野信宏部会長、家田仁委員、岡部明子委員、柏木孝夫委員、坂田一郎委員、坂村健委員、佐々木眞一委員、地下誠二委員、寺島実郎委員、中出文平委員、宮本旬子委員、望月久美子委員、矢ヶ崎紀子委員、藤山浩住み続けられる国土専門委員会委員長代理

4.議事
(1)各専門委員会の審議状況に係る報告について
(2)その他

主な発言内容(委員発言順)
(1)開会挨拶
 ・審議会冒頭、国土政策局長よりあいさつ
(2)委員紹介
(3)部会長互選
 ・奥野委員が部会長に選出された
(4)部会長挨拶及び部会長代理指名
 ・増田委員が部会長代理に指名された
(5)企画・モニタリング委員及び委員長指名
 ・奥野委員、垣内委員が委員に指名された。また、奥野委員が委員長に指名  された
(6)議題
稼げる国土専門委員会、住み続けられる国土専門委員会、国土管理専門委員会からこれまでの審議状況についての報告。企画・モニタリング専門委員会については、事務局より資料の説明。その後、意見交換が行われた。各委員から出た意見は以下の通り。
 
<稼げる国土専門委員会について>
○「Society5.0」という考え方の中では、遠隔教育やネット通販により、不利を不利としない環境をつくることができる。
○知的対流について、知識集約が重要であり、足りないものは都市で補うという社会構造が必要である。
○地域の大学がキャンパス周辺で知識集約拠点を形成して、高速通信ネットワークで全国と繋がって地域の基盤を支えることも考えられる。
○稼げる国土専門委員会については、キーワードは「内発的」であることだと考える。今後のあり方について、べき論で語ることは危険であり、内発的な活動を規制するものをなくす、ということが大切。

<住み続けられる国土専門委員会について>
○住み続けられる国土専門委員会について、中小都市の役割が今後の課題との指摘があった。現在、田舎に憧れて若者が移住していると考えるが、世代を超えて考えると、20~30年後にどのようなライフスタイルをイメージしているのか、見えているものがあれば教えてほしい。
○介護の面では、地域社会で一定の役割を持つことが重要であり、小さな拠点でお互いがサポートし合うような整備が必要である。
○エネルギーに関しては、熱供給などを小さな拠点で小規模分散型に配置した方が、発展可能性があるのでは。
○情報の拠点としても小さな拠点には可能性がある。
○住み続けられる国土専門委員会については、解決できない問題にどう対処していくのかという点で、従来にとらわれない「大胆な転換」がキーワードであると考える。
○限界集落にもいろいろなところがある。高齢者が健在しているところや、小綺麗な町並みが保たれているところなど。

<国土管理専門委員会について>
○東日本大震災の復興に携わっており、三陸や福島の復興が進んでいることを感じている。しかし、周辺の市町村ともっと役割分担について連携して復興を進めることができれば、もう少し規模の小さい復興で済んだかもしれない。これを踏まえ、国土管理専門委員会で議論された市町村計画については、広域的な視点の中でどうするかを強調すべきであると思った。
○市町村計画への広域的な視点の導入は重要と認識しており、都道府県の役割や市町村間の連携が課題である。

<国土のモニタンリグ2.0(仮称)について>
○国土のモニタリングについて、できる限り科学的な手法を用いて表現することにより、モニタリングの成果がより良く見えるようになり、国民にも伝わりやすくなることが期待できる。政策の枠組みの妥当性の判断もしやすくなると考えられ、方向性について当然と考える。
○資料8の22ページに、コンパクト+ネットワークの達成前後イメージ図が記載されている。ここで、コンパクト化された図をみると、郵便局は全ての拠点に記載があるが、図書館はすべてではない。これがポイントで、ネットワークが繋がると、各拠点で全ての施設を整備する必要はなくなるので、個々の市町村でクローズした議論にせず、より広いエリアで考えた方がよい。
○モニタリング2.0について、国際的な比較の視点を持ち、日本を相対的に見るということが国土政策の課題と考えていたので、その点を踏まえており良いと思う。「国と国の国際比較」でなく、「地域と地域の国際比較」をして地域の戦略に繋げるとよいと考える。
○コンパクト+ネットワークの施策のモニタリングについては、従来型では政策の達成度を指標としていたが、右肩上がりのフェーズではなくなり、どうすれば正しくモニタリングできるのかという点が難しい。
○ビッグデータの活用には過度な期待もあると感じる。モニタリングには、複数世代をまたぐような時間軸が必要だが、昔のデータが得られない点が課題である。ただ、今どういった対流が起きているかといった観点では、ビッグデータ活用の可能性はある。
○ヨーロッパレベルの空間政策について、課題は権限を持っていないところとどうやって空間情報を共有していくかということであり、ベースとなる土地利用の現況のシェアをESPON(European Spatial Planning Observation Network)という機関で進めている。現況図をベースにして、モニタリング、国土管理を組み合わせていく必要がある。
○コンパクト、ネットワークというものを把握しようとすると、今までは将来のイメージからどれだけ達成したかを考えがちだったが、現況を把握して過去からのプロセスも把握して始めて、実態に近い形でモニタリングができると考える。
○モニタリング2.0については、政府で「Society5.0」と称した取り組みがあり、ドイツでは「インダストリー4.0」ということを言っているので、それらとの整合性を図り明快な説明をする必要がある。
○モニタリングのデータについて、人間の活動に関するデータは蓄積されているが、自然環境型のデータのフローなども考える必要がある。
○エネルギーの視点は地域づくりに重要なので、モニタリングの重要な観点としてほしい。
○IoTはものづくりに大きく影響するので、こうした技術進化の視点もモニタリングの視点に入れてほしい。
○国の施策が地域の人に伝わっていないことも多いため、モニタリングについては、成果を自治体や住民に分かるようにビジュアル化してフィードバックする必要がある。
○他省庁とも、モニタリング2.0で連携していくのか、統合したポータルなどで共有していくのか伺いたい。
○ハザードマップ等のネガティブなデータも積極的にモニタリングして公表してほしいと思うが、見える化すべきでない情報かどうか検討することが必要である。また、そうした情報がテロ等に悪用されないよう留意する必要がある。
○リモートセンシングで上空から森を見たときと、実際に現場で調査をする結果にギャップが生じることもある。現地踏査は効率は悪いが、それをどのように選択して行っていくべきかもしっかり議論をしていただきたい。
○平面図で示したときに、見えなくなるものもあるのではないか。例えば文化的価値のある施設などの、時間的作用によりプラス・マイナスの重み付けができるものを、どう平面図に落とすのか検討していただきたい。

<専門委員会全般について>
○人口減少によって大きな転換があると言われながらも、物事の進め方は大きく変わっていない気がしていた。しかし、今回4つの専門委員会の報告を聞いて、特にモニタリングについては大きな変化が見え始めてきていると感じた。
○エネルギーの視点をもっと盛り込んでいただきたい。ローカルエネルギーのとりこみ、スマートエネルギーの推進などを、自治体主導で地場産業を取り込んですすめていく。この新たなビジネスモデルを6省庁(経済産業省、総務省、林野庁、環境省、金融庁)で進めており、国土交通省も参画することになった。
○それぞれの委員会の検討の方向性については、よいと思う。
○現代がネット社会であるという視点を入れた方が良い。物販、医療、教育などネットでサービスを受けられることを踏まえ、情報通信技術を最大限利用して、一刻も早くネット社会に適用できるよう国が率先して移行するべき。その際に重要となるのは、基盤の標準化と、オープンデータ化である。
○住民参加も大切である。また、コンパクト+ネットワークは1人ではできないので、いろいろなところと協力して取り組む必要がある。
○専門委員会の分け方は、合理的で論点がクリアになって、よいと思う。
○規模の経済と逆行することもしなければならないので、コンパクトシティがうまく機能するのか疑問であるが、規模の経済が働かない中で対流を促進して、どれだけ付加価値を上げられるかが重要であり、各専門委員会の報告を聞いてもその流れを追求しているものと認識している。
○各専門委員会それぞれの分野からのコンパクト+ネットワークについて読み解いて説明していただいたと思う。

<国土政策全般について>
○付加価値を上げるためには、金融に携わっていると、ないものを持ってくるよりも、あるものを活かす方がよいと実感しており、エネルギーなどの地域資源を見直す必要がある。
○異次元高齢化が進行して、80歳以上人口が1000万人を越えた今、2050年に向けては80歳以上人口が2000万人に迫ることを念頭に議論をする必要がある。
○生命科学の進化の知見を国土計画的な視点にどのように生かしていくかも重要になってきていると感じている。
○アジアダイナミクスは刻々と変化しており、2050年の世界のGDPの約5割は、日本を除くアジア(中国、インド、ASEAN)で占められるということを念頭に置いて計画する必要がある。
○去年の全国の1世帯あたりの家計消費が2000年から2016年の間に42万円も減っており、貧困格差がものすごい勢いで進んでいて、地域間の経済格差をどうするかという構想力が問われている。
○そもそも何のため、誰のための政策であるのかを忘れないでほしい。世代を超えて人々がそれぞれの幸福を追求することを可能にする国土であること、という目標を最終的に目指すべきだろうと考えている。
○日本の観光において、例えばガイドをつけること等により、観光に付加価値を高めることが大切である。そうして、稼いだお金を地域で循環させることが重要である。文化資源が維持補修費を自ら稼げるようにするべきである。
○観光客に滞在してもらい、地域の人と交流してもらうなど、観光客を巻き込んだ対流をつくるべきである。
○移住者は確かに増えており、観光面でも移住者の果たす役割は大きい。地域に住む外国人が活躍している事例も有り、そのような力を積極的に取り入れていくべき。
○それぞれの町のコンパクト+ネットワークも大切であるが、町や県単位では片づかないコンパクト+ネットワークもある、スーパーメガリージョン構想もそうだが、全体としてコンパクト+ネットワークをどのように進めて行くのか大事な議論が残っていると思う。

(以上)
※ 速報のため、事後修正の可能性があります。(文責 事務局)

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