第6回計画推進部会 議事要旨

第6回計画推進部会 議事要旨

1 日時
令和3年6月21日(月)16:00~17:57
 
2 場所
中央合同庁舎第2号館地下2階第1~3会議室
 
3 出席委員
増田部会長、飯尾委員、家田委員、大西委員、岡部委員、垣内委員、熊谷委員、坂田委員、
坂村委員、田村委員、津谷委員、中出委員、藤沢委員、宮本委員
 
4 議事
(1)各専門委員会等の審議状況に係る報告について
・国土の長期展望等について
・国土の管理構想について
(2)計画推進部会について
(3)その他
 
主な発言内容(委員発言順)
(1)部会長互選結果の報告
増田委員が部会長に選出された。
(2)部会長代理の指名
家田委員が部会長代理に指名された。
(3)議事
議題第1号のうち、「国土の長期展望等について」は増田国土の長期展望専門委員会委員長及び事務局から、「国土の管理構想について」は国土管理専門委員会委員長の中出委員から説明を行い、それぞれ意見交換が行われた。各委員から出た意見は以下のとおり。
 
<国土の長期展望等について>
〇今回の報告書は国土計画に関して、デジタルとサステナビリティの双方を捉えた画期的なレポートであった。後者のサステナビリティ又はグリーンに関して、気候変動だけではなく、風土システムや広く人権までを含めて考えていく必要があると思う。
〇企業のトップの方々と接しているとDX(デジタルトランスフォーメーション)とGX(グリーントランスフォーメーション)への温度が急速に上がっており、国も企業も目標を示すだけではなく、目標達成に向けた筋道を具体的に示すことが求められる。
〇デジタルに関しては、インフラの面で超高速ブロードバンドは全国的に敷設が済んでおり、都市機能の一部をデジタルで提供することを考えれば、国土計画に関して、我々が前提としてきた制約をひとつ外すことができ、柔軟な手段を手に入れることができる。一方で報告書にもあるようにラストワンマイルの接続が課題であり、現状では十分にデジタルを活用できていない。そのため、IT人材の活用・育成が重要と考える。
〇地域を維持する活動への貢献を可視化し、そこに資金の調達、支援が流れ込むような仕掛け作りが重要で、こうした資金や支援の循環ができれば、支え手の減少を防ぎ、国土管理にも貢献するような基盤になると考える。
〇人が生きていくときに、生活圏というフィジカルな領域は必要だが、それを10万人規模という区切りをつけてしまうと、この時代では、説明がつきにくい場面も多い。デジタルなネットワークが、人々の生活にどれだけ定着しているのかをベースに、もう少し分析を深め、10万人規模という区切りが必要なのか考えるべきだと思う。
〇人と人が利用する土地空間について考える国土管理において、今後は外国人の役割、意味が重要になってくると思う。観光や在留外国人を含めて、外国人と日本の国土という切り口の議論がもう少し深めることによって、新しい地域社会の在り方を考えていくような方向を持った国土計画に発展させていく必要があるのかなと思う。
〇国土の長期展望にデジタルが入ったことは画期的。一方で、物理的な国土に対してデジタルは物理的な制約がないバーチャルなものであり、国土とは正反対のところにある。物流や薬のネット販売、医療、教育など、デジタルと現行の物理的制約との関係をよく考え、さらに「デジタルツイン」の中で国土をどのように活用するかを深堀りできれば、今回の報告はさらに良いものになると思う。
〇デジタルを入れた今回の報告の前提にあるのは、世界が共通したリスクに見舞われ、その渦中でデジタルの意味とデジタル基盤の遅れが明瞭になったということだと思う。加えて、結局人間は、人に会いたい、集まりたいということがよく分かった面もあるではないか。この点を踏まえて、デジタルの重要性と同時にリアルのさらなる重要性を痛感し、この二つは車輪の両輪であるということが認識できたことがポイントだったかと思う。
〇今まで悪く言えば絵に描いた餅のようなところがあった国土計画が、少なくともリモートの連絡手段を使うことによって、東京一極集中の緩和が具体的に期待できそうなところまできたと感じている。よって、国土計画には今度こそ実効性が求められ、期待もしなければならない。この大転換を国民と共有するために、全国レベルでの展開をお願いしたい。
〇我々はデジタル化によるメリットを享受してきたが、その背中合わせでサイバー攻撃へのリスクといった脆弱性が高まっている。それに対する備えが、ガバナンス、システム、リアルワールドという点において、議論が足りなかったと思うので、継続して検討してほしい。
〇外国人の受け入れ・女性の活躍をセットに、社会の寛容性、多様性を高めていかなければ、日本の活力は高まらないので、国土計画の一環として取り組んでもらいたいと思う。
〇デジタル化でリモートワークが進み、地方居住を選択する流れができ、東京一極集中の是正や地方創生のチャンスと捉えている。しかし、他方でリモートワークを減らす企業の存在や地方への移住がスムーズに進まないなどの実態もあるので、この変化を後押しし、積み重ねていくことが重要と考える。
〇デジタル化が地域にとって福音になるだろうという中で、地域特性に応じた地域づくりを進めることが必要である。今後、人口減少やデジタル化、カーボンニュートラルにより、地域特性がどう変わるのか。特にカーボンニュートラルによる地域の産業の変化というのは小さくない。この点を踏まえた計画づくりが重要になると思う。
〇地方からの吸い上げによる東京一極集中は問題だが、世界の中で東京が地位を保つために、東京での一定の活動を維持するというのは大切であり、この点は両立させなければならないと考える。
〇実は東京は豊かではないという話は浸透していないが、人々の意識を変えていくことによって、人々の暮らし方、生き方を変えるという考え方も必要。次の国土計画を作る際は、国民的な議論が巻き起こる問題提起をして、審議会の外でも論争が巻き起こるようになれば、国民意識が変わって、変革は早くなると思う。
〇ネットワークという概念は、「人」単体ではなく、「関係性」が主体にしたものに変わった点を評価する。
〇冒頭の目標に「真の豊かさと喜び」と記載があるが、政策や計画に記載される言葉は、大体その時代に欠如していることの表れだと思う。そのことを痛感させられた。
〇いまやバーチャルオフィスで、実際に集ったこともない人たちが一緒に働くということも実態として出てくる。国土を皆が働く場・生活する場と捉えるとすると、国土が多層化していくのかなと感じる。
〇リアルでの関わりが減れば、リスクも減ると一般的に思われがちだが、そうではない。リアル、バーチャル、アナログ、デジタルのいずれかで関わりが増えれば、リスクは高まる。例えば、サイバーテロがあれば、デジタルはやられてしまう。
〇デジタル技術が進んでも、リアルの世界に最後まで残るものは、防災、医療、保健、介護であり、完全にバーチャル化はできない。デジタルとリアルのバランスを取っていくことが必要だと考える。
〇とりまとめの中で高く評価している点は、国土づくりの目標に「真の豊かさ」「快適」「喜び」という政府の報告書の中に入りづらいワードが入ってきた点である。一方で、歴史・文化等の価値を地域づくり、人づくりに活用するということであれば、その価値は所与のものではなく、放置すれば劣化するものである。最終とりまとめの本文のリアルの充実という項目の中で「有形・無形の文化等による魅力ある地域づくり」とあり、そのための人材の確保・育成について言及があるが、地域づくりの人材だけでなく、前提となる資産を継承する人材づくりということにも目配せいただきたい。
〇共生社会の構築で書かれている「人」「場」「仕組み」は、非常に重要なポイントであると思う。地域の文化財の保護という点でも、お金を多くつけるより、地域外の人、違う分野の人々を呼び込み、興味のある人がそういった活動を担っていくということが重要。そのため、興味ある人の情報がわかるプラットフォームが重要となり、NPOや住民や関心のある人々を組織できるような自治体が、そういった活動を後押しし、大切な資産を守っていくということを打ち出してほしい。
〇デジタルを前提とした国土の再構築、人口減少下でも安全安心に暮らしていけるように国土を再構築するという目標を掲げられており画期的ではあるが、色々な状況を考えて目指さざるを得ない国土像でもあるかと感じた。
〇高齢者のワクチン接種の取組で浮き彫りになったが、ITリテラシーの低い高齢者等に対してはきめ細かな対応が必要。小さい市町村であれば、自治体の職員等が住民を集めたり、巡回の声かけによって、ある程度対応できているが、大都市圏ではITリテラシーの低い高齢者を十分にケアできていないのではないか。
〇再生可能エネルギーに関連することとして、資料2-1の<リアルの充実>の中で、「地域分散型エネルギーシステムの構築」という項目があり、資料2-3のP.173にも「再エネ利用適地と需要地の不一致」という資料があったが、この二つの資料を見比べた際、今後非常に小さい地域でエネルギーを地産地消するのか、それとも広域で融通しあうのか、そういったことがどういう条件で行われるのか詳細に検討いただけたらと思う。
〇再生可能エネルギーは自然エネルギーとも呼ばれるが、ある意味自然に負荷がかかるタイプのエネルギーとも呼べる。環境保全とエネルギー政策との間で調整が必要となってくると思われる。
〇資料の2-1のP.10にある「外国人等が魅力を感じる地域づくり」、資料2-3でP.181には外国人の割合が将来的に伸びるという試算結果を示しているが、本当にこの試算通りとなるかは注視、検討をしていった方が良いと思う。
〇国土の長期展望最終とりまとめに欠けている視点として、これから国境を守ることが大事になってくるわけであるが、物理的な国境だけでなく、サイバー空間の国境を守るということも必要となってくる。外国人を国内に取り込んでいくのは賛成であるが、それと同時に国境を守るということをどのように国土計画に含めるという視点を持った方が良いかと思う。
〇今回の長期展望最終とりまとめは攻めの色合いが出ているが、守りの観点から言うと、今後色々な国が輸出規制をすることも想定し、エネルギーや食糧をある程度日本で自給できるようにすることも大事かと思う。輸出規制を受けても国民が生活できるようにするという観点を含めてもいいと思う。
 
<国土の管理構想について>
〇国土の管理構想は素晴らしいものであると思う。この取組は住民主体で進めていくとのことだが、長期展望の最終とりまとめ内容の実現に当たっては、住民の協力、自治力が重要と思われる。是非、国土の管理構想の取組は次期国土形成計画に反映していただきたい。
〇管理構想の担い手として行政OBが良いという話があったが、地域の金融機関に勤めていた人材もキーマンとなりうると思う。そういった人材の扱いも含めてどういったことをやるべきか考えるべき。
〇気になった点としては、国土の長期展望最終とりまとめでデジタルという言葉が出てきたのに、デジタルという言葉が国土の管理構想で見受けられない点である。地域の管理についてもデジタル・ネットワークの活用ということを考えてほしい。
〇例えば福島の原発被災地や沖縄県の辺野古基地など、やむを得ず土地の使い方が決まっている、または土地が使えなくなってしまったという問題が国内でもある。こうした土地の問題に対して国全体としてどうやって考え、対処していくかということをオープンに考えていくべきではないかと思う。
〇国土の管理構想のフローチャートについて、フロー自体は論理的に考えて自然なものだと思うが、優先的に持続したい土地と必要ない土地の分岐点を考える条件については、時代も変わる中でどう決めるかが大きな課題だと思う。例えば防災面と、他の側面で食い違う可能性もあるが、こうした課題について議論は進んでいるのか。
〇国土の管理構想のフローチャートについては、市町村管理構想の策定プロセスに関する議論の中で、必要な情報収集や考え方についてよく議論をしている。今の局面として、今すぐ全ての自治体・地域で地域管理構想を作る必要があるということではなく、地域管理構想を早く作るべきところ、例えば中山間地、首都圏縁辺部、担い手不足となる郊外地という地域があり、その地域で早めに市町村・地域管理構想を作り、20年~50年後の将来像を用意しておいた方が良いという局面かと思う。
 
<計画推進部会について>
事務局から資料を用いて計画推進部会について説明。(委員から特段の発言無し)
 
(4)閉会挨拶
・部会閉会にあたり、増田部会長、中原国土政策局長より挨拶
 
(以上)
※速報のため、事後修正の可能性があります。(文責 事務局)
 

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