第2回計画部会 議事要旨

第2回計画部会 議事要旨

1 日時
 令和3年11月16日(火)15:00~16:52

2 場所
 合同庁舎2号館国際会議室

3 出席委員
 増田部会長、家田委員、畝本委員、小田切委員、風神委員、木場委員、桑原委員、坂田委員、
 地下委員、首藤委員、末松委員、瀬田委員、高村委員、滝澤委員、田澤委員、冨山委員、中出委員、
 中村委員、西山委員、広井委員、福和委員、藤沢委員、村上委員、諸富委員

4 議事
(1)ローカルの視点等
  ・「地域生活圏」について

主な発言内容(委員発言順)
事務局より議事について説明を行ったのち、各委員から意見などの発言や事務局から回答を行った。各委員から出た意見や事務局の回答は以下のとおり。

○10年前から会津若松市に拠点を置き活動している。会津若松市が11万6千人、会津地方全体では17市町村、28万人の人口規模で、デジタルを使ったスマートシティやスーパーシティのような活動をしているが、今回の事務局からの説明は非常に腹落ちするものである。中核に10万人いれば、コンパクト+ネットワークで十分やっていけるということがこの10年間の実感。特に教育や医療の分野はオンラインでできることが増えているし、医療で規制緩和が進めば良いと感じている。
○課題は地域のモビリティである。二次交通はビジネスにならず補助金で回しているのが現実で、地域で新たなエコシステムのモビリティを作らないといけない。例えば、地域の学生は車も買うことができず免許もなくどうやって移動すれば良いのかという状況もあるので、モビリティに関しては地域生活圏における重要な課題になる。
○コロナの影響によって、従来想定していた規模よりも小さい都市で、デジタルを使って様々なことができるということが分かったと思う。
○例えば、世界ではオンラインを用いることにより、大学のあり方に物理的な変化が生じると議論されている。それを踏まえれば、一定の規模の都市に大学があり、そこを中心として種々の活動をするという現在の姿を議論の前提とすることについても、見直す必要があると思う。
○連携ということが度々この資料に出てくるが、設備を提供する側と利用する側の費用負担をどうするかという問題について、費用と便益のバランスを詰める必要があると思う。
○コンパクト+ネットワークの考え方は具体的にどう取り組むのか、また、総務省の定住自立圏など他の構想とどうつなげるのか、考えていく必要がある。ハード面だけでなくソフト面も考えて、実行性のある具体的な方法を考えなければならない。
○国土形成計画において地域生活圏が非常に重要な概念だと理解している。また、他の委員からもあったように会津若松市を中心として考えると、この考え方がぴったりくる。例えば、帯広市と十勝の関係も人口17万人くらいの帯広市があり、人口30万の十勝圏域の中心であるためしっくりくる。一方で人口30万人以上の都市も全国で95都市あり、それらの都市は地域生活圏についてあまり考えなくてよいという整理で、むしろ900を超える、人口10万人を割るような自治体で、地域生活圏というものを特に考えようということなのか、そのあたりの概念整理がつきかねているため回答をお願いしたい。
○国土の長期展望専門委員会が以前行われていたが、その時に比べて今回の資料は緊迫感がないように感じた。今回のコロナ禍の経験やリモートの普及、東京から離れてみようという動きがある程度あることを踏まえると、一極集中の是正等の課題はやる気になれば状況を変えられることが分かった。このようなモメンタム(勢い・はずみ)を利用して、本来国土形成計画がやらなければいけないことを実現するのだという緊迫感をもっと出して欲しいと感じた。
○資料2の9ページについて、地域には買い物や食事等の日常生活や義務教育、医療の確保だけでなく、憲法に記載があるように健康で文化的な生活の確保も重要だと思っている。ただ、具体的な機能の話になると日常生活において文化的な機能が抜けてしまっている。地方の振興を図るために、地域生活圏に文化というものをもっと定着させるべきである。それは、巨大なコンサートホールを作るという意味ではなく、農村や山村の文化であり、お祭りの文化のことである。また、リモートを活用しながら図書館に簡単にアクセスできるようにすることも文化的なものである。是非文化というものを日常に持ち込んでいただきたい。
○地方の生活圏の空間の質を高めることも重要である。ドイツの郷土保護運動のように、地域の風景を市民と一緒に作り直すというような空間の質の向上について地域生活圏の中でうたっていただきたい。
○生活圏という概念が、いまだに距離と結びついているが、クラウド上の世界との棲み分けを意識しないといけないと思う。ネットでできること、できないことを踏まえたまちづくりを考えていかなければならない。
○問題となるのは人口10万人以下の圏域で、どのように手を携えていけるかということである。そこに大きく関わり、役に立つものとして、今回コロナ禍で経験したところだが、オンラインに可能性があると感じた。コロナがなければ在宅で仕事をすること、二箇所で居住してやっていけるという体感を得られなかったと思う。この変化のスピード感と人々が感じた体感をいかに活かしていくかが重要である。
○他のまちと手を取り合うため、その場合の連携の仕方として、リアルの場合はどこに行けば何があるかをしっかりと案内する必要がある。オンラインの場合はどこにどうアクセスすればよいかなど、連携の仕方の筋道を具体的にすることが重要である。
○医者不足について、いくら医者がいても地域に根付いてもらえない場合意味がないため、地方の魅力を出して住んでもらうというまちづくりも重要である。
○国土という言葉を広辞苑で調べてみると「領域、領土、土地、大地」しか出てこない。今回の事務局資料の「なぜ、いま、新たな国土形成計画が必要か」を拝見すると、ボリュームとしては人や人の活動に関するものが多い。名は体を表すと言うが、国土形成計画というタイトルが内容と合っているかというと、土地の話よりも今は人の生き方や生活の仕方の話が非常に増えているため、前提の部分で計画の指すところを示すことやサブタイトルの工夫をしないと、このままでは中高生や一般の方が手に取ろうとは思わない。
○ローカルの視点から話し合うというのは今までになかったと思う。当自治体は20万人規模であり、どちらかというと地域生活圏に当てはまっていくと感じている。すべて揃わなくてもオンラインで補完できることもコロナ禍で実感した。
○コロナの中で医療圏域だけは非常にシビアに考えていく必要があると考える。教育、買い物、農林水産業、観光などはカバーできるところもあるかもしれないが、医療については、命に関わり特異なものだと思うため、今後この計画部会の中でどれくらい議論できるか分からないが、地元を預かる立場として医療についての議論をお願いしたい。
○10万人の地域生活圏という概念により多くの地方がカバーされるということを聞いて、実現できそうな規模であるということで地方に希望を与えられるものと思っている。また、地方選択の可能性を広げる議論が進むと期待している。これも、デジタル技術の発展のおかげであり、特に郷土教育を受けている子供たちに対して希望を与えるものだと考えている。
○資料2の6ページの中で取り上げられている「有効利用」という考え方は良い。多くの地方、特に町村というのは豊かな自然に囲まれているので、自然と共存し、この自然を大いに活用するという考えを持つことがカーボンニュートラルの時代でも必要であり、地方の経済成長のヒントにつながってくると考えている。
○地域生活圏というのは、機能面が重要だと思うと同時に、地域のアイデンティティや地域への愛着という視点も重要だと考える。中心市街地が空洞化していれば、いくらネットで買い物ができても地域の求心性が失われていくと考えるため、地域への愛着や地域の歴史性、文化性、町や都市の魅力、風景、中心市街地の賑わいなどが、地域生活圏を考える上で重要だと考える。
○地域は、東京のような大都市圏、地方都市、農山村の3つに分けられると考えているが、それぞれにおいて地域生活圏は性格が異なる。首都圏のような所では、電車で1~2時間かけて通勤することも珍しくなく、数十万人規模の都市が数珠つなぎに並んでいる圏域がある。地方都市においては基本的な交通手段として車で往来しているところがあるなど、そのあたりの性格が異なってくるため、地域生活圏の分類についても意識する必要があるのではないかと思う。
○資料2の4ページに「これまでの国土計画は何よりも先にインフラを考えがちであった」と記述がある。国土総合開発法が2005年に国土形成計画法に変わった際に、開発主義からの脱却という観点から、開発という言葉をあえて使用しなかった。その結果、第1次国土形成計画では新たな公という多様な担い手が参画するという、まさにSDGsのゴール17とも連携するような議論がなされている。その議論が延長され、第2次国土形成計画では、地域の内発的発展に議論が行き着いていると考えている。そのため、インフラを何よりも先に考えがちであるという記述は、過去の議論を精算しているように思われ、このことは、おそらく前向きなものにはならないと考えている。むしろ、内発的発展という路線が実現できたのか、あるいはそこに問題がなかったのかが1つの論点であると考える。デジタルとの融合、内発的発展、都市と農村の格差よりも農村部、地方部の格差、私自身は「まちむら格差」から「むらむら格差」のように農村部レベルで格差が開いているといったことに対し、新たな国土形成計画がどのようなチャレンジができるのかが論点ではないかと考える。かつての国土計画がインフラ中心だったとしてしまうと、それらの論点が見えなくなるのではないかと思う。
○住み続けられる国土専門委員会で、当時人口10万人の津山市を事例に検討した際に、人々の行動がちょっとした買い物でも高速道路を使って行くなど、地域の内外がある種のシームレスになっているという実態について議論が行われた。デジタル化が進めばシームレス化が強力になっていくが、総務省の定住自立圏構想では、住民はいずれかの自治体に属するという視点から、シームレスになれないため、実態がうまく捉えられていないと感じる。生活圏よりも生活エリアと呼ばれている、例えば小学校区単位などをセットで考えないと議論が違う方向に進んでしまうと考えている。
○市町村より少し大きな単位である地域生活圏という概念を用いること、10万人、30万人というように地域生活圏に複数のレベルを設けるということは分かりやすく、それらの考えについてはいずれも賛成である。
○地域生活圏の圏域の分け方について、現在人口規模、時間的範囲(移動時間)を目安にしているが、色々な人に話を聞いていると、同じ距離であっても通勤・通学、買い物の際、親戚、友人が多い方に行くということがあるように、人々の生活の中でつながりの強さというものがあると思う。それも踏まえて、距離を目安にするときには、物理的な距離だけで考えるのではなく、人々の心理的な距離という観点からも圏域の区分を考える必要があるのではないか。
○圏域内の機能について、資料2に記載のある「地方に確保すべき機能」は、概念としてはわかるが、具体性が一部分でよく分からないものもあり、さらにこの資料で取り上げている機能だけで十分網羅されているのかと疑問に感じる。東日本大震災で原発事故により全町避難したところの復旧・復興の手伝いの中で、今後の新たなまちづくりのワークショップを行うと、その中で医療・福祉といった話も出ていたが、子供であれば100円ショップ、若者世代ではゲームセンター等の娯楽施設、親世代では進学塾やチームスポーツができるくらいの規模の学校が欲しいといった声もあった。そういった大きな災害を受け、復旧・復興にむけた新しいまちづくりの議論をしているところでは、具体にどのような生活の機能が必要か議論されていると思うので、そういった議論を参考として、改めてどういった機能が必要か網羅的に示せれば良いと思う。
○圏域内の機能について、次回以降の議論項目の中に「[9]防災・減災」とあるが、この表現を含めて検討をすべきかと思う。「防災・減災」というワードについて、あくまで災害の被害を防ぐ・減らすという考えであり、近年では、災害に対して耐え忍ぶ力(レジリエンス)についても重要な考えとなってきている。圏域内の機能として、人々の生活に最低限必要な水・食料・エネルギーについて、圏域内である程度備蓄、生産力が持てるようにして、災害があったとしても耐えられるような機能を盛り込んで欲しいと思う。
○医療の現場からすると、コロナ禍で進んだのはオンライン診療が是とされたことであるが、まだまだ不十分である。AIができるような口頭での診察やポイントを絞った身体診察はオンラインで可能かと思われるが、通常の診察であれば患者さんの歩き方といった部分から診察を始めるため、オンラインというモダリティだけで診療が進められることはないと思う。やはり、地域生活圏で十分な医療が提供されることは必要かと思われるが、専門性の高い部分については様々な手段で各地域生活圏を結び確保していく必要があるかと思う。
○医師の偏在の問題を考えた際、地域生活圏の圏域の大きさや距離感が重要であると感じている。厚生労働省や文部科学省が取り組んでいるように大学の地方枠や初期研修医、各専門領域にシーリングを設けるなど、ある地域にある科の医師が集中しないような試みがなされているが、理想どおりにはいっていないようである。例えば、専門性が高いところを選択してもその地域で定員に達してしまえば、別の地域の同じ専門に行くのではなく、その地域で別の専門を選んでしまうことがある。また、専攻医くらいまでの若い時に、ある地域で働いていても結局別の地域に移動してしまうこともある。
○圏域を定めるにあたっては、誰が主体となるかについても議論が必要である。今回の圏域の議論に類するものとして、総務省の自治体戦略2040構想研究会の報告書があるが、この研究会の議論は最終的には地制調で基礎自治体の反発が強かった。計画部会でも、圏域の議論をするにはその反発をどう受け止めるのか、考える必要がある。
○国土計画の作る理由や地域生活圏の話に関わる事としてデジタル化を考えると、デジタル化の進行により人の活動やサービスが大きく変わることになり、それがインフラを含めた物理的なものにも影響を与えることになり、この傾向が一層進むということになると思う。
○法律を変えることではないが、「国土」という言葉が示す意味が、物理的なもののみを示すのではなく、その上の人々の活動等も含めた議論ということを上手く伝えるようにはすべきかと思う。
○地域生活圏については、事務局の提案の中核概念かと思うので、定義等をはっきりとさせることが必要になってくるかと思う。
○デジタル化が進むことによって、ある機能については圏域単位で確保する必要がなくなったという話と、これまで30万人圏域でしか確保できなかった機能が10万人の圏域でも確保できるようになるという話があるかと思うが、それぞれ別の話となるので、10万人という圏域を示すのであれば、分けた上でなぜ10万人の圏域で良いのか議論をすべきであると思う。
○圏域という問題を議論する際には、自然と実現するもの、積極的に取り組みを進めないと実現しないものについてはきちんと分けて明示をすべきかと思う。
○他の委員からサイバー空間の話が挙げられていたが、物理空間に残る生活機能というのはどうしてもあり、例えば物流というのはその一例として挙げられる。そういった生活機能を考えた時に、人口規模というよりは人口密度が重要になってくる。人口密度によって、物理空間での色々な効率性、持続可能性が決まると思っているので、生活圏として議論をする上では、人口密度の概念は頭に入れて議論すべきかと思う。
○GXやDXの潮流の中で、国土を広く使う新しい方法論を考えることが、いま、新たな国土形成計画を作成する意義だと思う。
○地域の人口を維持するには、稼ぐ力が重要である。稼ぐ力には、新しい社会的価値を見い出して対応することと、スマート化によって大きな市場にアクセスすることで稼げるようになるという二つの側面があり、その両方を追求するべきである。
○地域生活圏の主体には、ガスや水道、学校などの社会的共通資本とスーパーのような市場ベースで生まれたものの二つがあり、稼ぐ力の議論は後者に関するものとなる。前者は政府によるコントロールが一定程度可能だが、後者はコントロールできる要素が少ないので、二つに分けて、どちらに属するのか意識して議論する必要がある。
○地域生活圏で提供されるサービスは、デジタル化でより柔軟に、多様になると思う。
○地域の住民の生活を支える不可欠な機能を確保するための圏域という観点は非常に重要である。他方で、資料2の8ページに記載されている地方のあり方について、国土計画で考える背景と課題については、長期展望の委員会では、我々は非常に大きな変化に直面しており、その変化についてプロアクティブにしっかりと見た国土の再構築が必要ではないかという問題意識が国土計画の議論の前提として必要であるとの共通認識があったかと思う。その点については、東京の一極集中の是正や地方への人口移動を促す、あるいは地方が魅力的になるような国土のあり方を考える必要があること、感染症対策や災害リスク等を踏まえた分散型国土の重要性等を一部資料に盛り込んでいただいているかと思う。しかし、全体的に見ると住民にとって必要なサービスの確保をどうするかといった視点が強く出ているように感じており、それだけではなく今起きているあるいはこれから起きる変化を見越した圏域をどう考えていくのかという視点も必要ではないかと思う。
○カーボンニュートラルという国の大きな目標に向かっていったときの分散型の国土形成やグリーン成長戦略に記載されている産業構造を変えていくといったような観点をどういう風に織り込むか考える必要があるかと思う。例えば、地方の自然資本の価値がより高まっていくことやカーボンニュートラルの観点では洋上風力の立地は水素などを含む新たな産業集積地になっていく可能性があるかと思う。
○今起きている変化やこれから起きる変化をどのように国土計画の議論に織り込んでいくのかという視点を改めて位置付けていただきたい。言い方を変えると、他省庁で政策の中で議論されている中長期のことについてどのように反映させるかということである。
○資料2の18ページで地域生活圏に係る今後の検討課題、論点を出していただいているが、今起きている変化やこれから起きる変化をどのように織り込んで課題を設定し、深掘りができるのか。都市集中を起こすいくつかの要因について、長期展望の委員会で資料として出していただいていたかと思うので、そういったこれまでの検討も踏まえて課題の洗い直しをお願いしたい。
○資源配分の観点から考えると、労働生産性の高低がポイントとなる。同一人口規模でも付加価値が高い地域はなぜ高いのか、その理由を探るとともに、その地域を拡大することが重要となる。平均と比べて生産性の低い地域に資源を移動させることは、マクロのGDPの増大には寄与しない。
○資料2の9ページに記載されている、「既存産業の高付加価値化や新規産業の創出、企業誘致」は各地域で達成すべき目標だと思うが、そのための具体的な方策の検討がなされているのか。
○都道府県別の研究開発費などのデータを見ると、東京と地方の格差は拡大している。誘致に最低限必要な機能を地域に確保することだけでは不足ではないか。ビジネスをする上で、時間、費用、制度などの面で、都市部から地方に移転するコストを上回るような魅力が地方に必要だと思う。
○今回提案してもらった地域生活圏の概念、圏域の設定によって何を実現するのかといったことについて、今後具体的に深めてもらいたい。
○1つの論点として、デジタルの応用可能性をどう捉えるかということがあるかと思う。これまでの計画では、「一定の距離以内でどれだけのサービスを提供できるか」ということが重要であったが、デジタル化といった距離以外の要素が入ってきていることもあり、デジタル化も含めて、リアルで必要なこと、デジタルで代替できることについて、計画でも考えないといけないと思う。
○もう1つの論点として、世の中の変化のスピードへの対応である。現在の世の中は昔以上に早く変化しており、ある一時点で作られた計画が時代遅れになるペースが早くなっていると思う。この点を踏まえると、現在の計画は世の中の変化に対してフレキシブルに対応できるような計画である必要があると思う。それについては地域生活圏も同様であり、変化し続ける状況に応じていけるよう、どうやってフレキシブルな圏域の概念を設定し、計画としてどう制度化していのか考えていくのが重要なのではないかと思っている。
○参考資料に都市雇用圏の図を付けていただいたが、雇用圏もある種の圏域であり、これを見ていくとどの圏域にも属せない白地の町村もあるかと思う。白地になっているような小さな町村がどのように生活を確保し続けることができるか、確保しきれない場合は容易に移動できることが必要であるが、単純にハード整備をして高速道路を作れば良いということではなく、圏域としてどのように担保できるのか考えていく必要があると思う。平常時、緊急時問わずどのように確保できるのかについて、拠点とネットワークの関係やそれを担う人材を考えることで圏域についてより考えが深まるのではないかと思う。
○今回の地域生活圏の提案というのは、リモートワーク・テレワークや自動運転が盛んになってくる中では良い話かと思う。
○地域の特性によって、適正な都市規模が変わってくると思うので、階層的な国土のあり方を考えるべきである。具体に言えば、地域生活圏でやること、少し規模の大きな隣接市町村間で協力してやること、都道府県単位でやること、地域ブロックでやることについて整理し、それぞれのレベルで支援するシンクタンクは何か考えるべき。
○例えば地域ブロックであれば、地域の経済連合会やブロック単位の地方誌の会社があり、県レベルでは地方大学や地方新聞、地方銀行がシンクタンクの役割を担うと思う。今回の地域生活圏で示されているような10万人単位であると、シンクタンクとしては信用金庫や商工会議所レベルの組織かと思う。そういった単位の中で、それぞれの地域の魅力や独自性を出せるような仕組みづくりがあれば、良い形で全国展開ができるかと思う。
○デジタル化はもちろん重要だが、デジタル化することで高速道路を作ったときのように人が出て行ってしまうことが考えられる。雇用はその地域では生まれないが外の仕事をする動きがすでに起きている。デジタルがインフラとしてしっかり整ったときに雇用がどのように変化するか、また、物理的に動けない人たちがデジタルを使うことで働けるという面もあるため、デジタルインフラによる雇用の変化、人流の変化について一度調べるとよい。
○金融機関が銀行法の改正が行われたので様々なことができるようになっている。金融機関、金融グループをどう使うかという観点からも検討ができればと考えている。
○圏域の魅力をもっと高めることについて、文化という観点からより掘り下げるべきではないかと考えている。
○地域生活圏の圏域内に住む人の多様性をどう確保していくか、地域生活圏の主体についてより議論が必要だと考えている。

(委員からの質問に対する事務局回答)
現在30万人、50万人あるところを10万人に分割するという考えではなく、コンパクトシティやデジタル化で、30万人以上の圏域では高度な機能を持つことができるため引き続き確保し、周辺の10万人規模の生活圏と連携しながら高次機能を確保していくべきではないかということで、10万人前後の地域生活圏を考えている。

(以上)
※速報のため、事後修正の可能性があります。(文責 事務局)

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