第6回計画部会 議事要旨

第6回計画部会 議事要旨

1 日時
 令和4年3月3日(木)10:00~11:54

2 場所
 合同庁舎2号館国際会議室

3 出席委員
 増田部会長、家田委員、畝本委員、小田切委員、風神委員、木場委員、坂田委員、地下委員、瀬田委員、高村委員、田澤委員、冨山委員、中出委員、中村委員、西山委員、広井委員、福和委員、藤沢委員、村上委員

4 議事
 (1)カーボンニュートラルへの対応
 (2)交通ネットワーク
 (3)その他

主な発言内容(委員発言順)
 事務局より議事について説明を行った後、各委員から意見などの発言があった。各委員から出た意見は以下のとおり。

○国土管理の面から適正にカーボンニュートラル政策を進めることが重要。熱海の土石流災害も太陽光発電が関係している。太陽光発電にブレーキをかける意味ではないが、災害防止の観点がきっちり出来ているかということを厳正にやり、制度的体系を充実させる必要がある。
○使われていない農地を持つ人たちにとって収入が入るのは太陽光発電として貸し出すこと。日本の食料需給についてはできるかぎり日本でつくっていくべきであるという意味からすると食糧政策や国土管理という面からよく考えるべき。
○交通ネットワークについて、日本のインフラはもうできあがってきているという論調が続いてきたが、土木学会では冷静に考えた方がいいという視点に立っていて、日本の各種インフラを海外と比較したときに優れている点やまだ足りない点、停滞していて飛躍できないでいる点がわかるようなレポートをしている。こういったものを事務局に参照してもらえると客観性があっていいと思う。
○デジタル化を進めるほど、電力を使用するということで、デジタル化のブレーキとならないよう、各政策を連携すべき。
○一番デジタル化で電力を使っているデータセンターはほとんど東京にある。データセンターは寒冷地にあることが世界の常識であるが、東京に集中していると、防災の面も含めて危機管理上、東京が終わると、日本の産業が止まる状態になる。やはり、データセンターは早めに寒冷地に移動すべき。北海道含め、東北以北に環境対策をしたデジタル化を進めれば、デジタル化で使う電力は充分まかなえると思う。
○地域生活圏間の交通として、飛行艇の再度検討をすべき。防衛省しか使っていない飛行艇のUS-2を民間転用すれば相当安く作ることができ、地域間の湾から湾、湖から湖への交通網としてもう一度考えられると思う。新規の大規模な設備投資も要らず、老朽化やメンテナンスも機体に集中することができる。また、飛行艇をスマートシティのパッケージに入れ、インドネシア等のアジア諸国の島国に、自然破壊の開発を行わない交通手段として日本から提案出来ればいいと思っている。
○カーボンニュートラルについて、資料2-1の対応の方向性で整理されている徹底した省エネ型や脱炭素型の交通・物流システムに賛成である。しかし、今回の資料は効率化ということを強調しているが、もう少し人にとって住みやすくなるという、ポジティブな意味合いを加えてもいいのではないか。具体的に言えば、ウォーカブルシティのような、歩いて楽しめる街並みで、公共交通機関も充実しているような街の姿が、街の賑わいにつながり、人にとって快適であると同時に脱炭素にもつながるということを言及すればいいのではないか。
○交通ネットワークでは地方交通、公共交通の衰退を課題として取り上げられていたが、欧米では公共交通は公共のものであり、民間企業だけでなく税を通じて負担しあって支えるという認識のものである。そういうことも踏まえ、財源のあり方も含め高度成長期とは違う交通の在り方を考えるべきではないかという点を盛り込んでもいいのではないか。
○DX、GXは多面的にも、大きなインパクトを持つ。国土計画との関係では、それらが国土を広くインクルーシブに使う方向に力を向けていくことが重要だと考える。
○サステナビリティに貢献するリソースが生み出す価値は、再生可能エネルギーだけではなく、食糧生産における環境負荷低減といったものなど、大きなインパクトを持つ領域だと考える。地域にある価値の源泉を形として実現して行くことが国土計画上大事だと考える。それにより、人々や企業の行動変容が広がり、結果的に大都市から地域への人やリソースの移転につながると考える。
○交通ネットワークは、人の移動支援という面ではリモート化が進んだ中でも知識や発想、考え方などに多様性をもたらすものであって、新しい価値や事業の創出の源泉であると考える。地域の足回りは、シェアリング、オンデマンド交通、自動運転などによって、10年ぐらいの間に大きく変化することが予想されるが、これらの変化を踏まえた上で、長距離高速輸送網や機関交通網と、地域の交通の足回りを経営的・合理的につなげていくことが重要。
○人口減少で過疎化が進む社会において、カーボンニュートラルを目指すという事と地域のフィジカルでリアルな世界の持続性の問題はトレードオフとなる。仮に軽自動車が走りまくる世界が電気自動車に置き換わったとしてもパーフェクトにエコフレンドリーではない。シェアリングの究極の姿は公共交通機関であり、どう公共交通機関化を実現していくかという問題から逃げてはいけない。トータルな意味でシェアリングも含めて公共交通的なもので、どうシームレスな仕組みで地域をカバーするかを考えなければいけない。
○1次、2次あるいは2.5次交通といったネットワークの繋がりをシームレスにしないといけない。結局、フィジカルインフラとオペレーショナルな仕組みがどうシンクロナイズするかという問題である。公共交通だからといって、経済性を無視して税金投入したらいいという甘い話ではなく、税金の効率化を考えると、乗車密度上げないといけない。最小限のコストで最大限の効果を上げようということになると、DX的なテクノロジーを導入しながら、どう回していくかを考えるとことになるのでAIの活用となる。その上にどうソフト的にテクノロジーが乗っかるかという組み合わせの議論になっていく。それをコーディネーションしていく話が大事であり、国土計画の問題がどこまで踏み込めるかというのは重要なテーマだと思う。
○分散グリッドは、実はミクロではすごく脆い。ミクロで分散グリッドを進めていくことと従来の中央集権型の大規模グリッドは上手にコーディネーションされないと上手くいかない。今は電力会社ごとに切れている。このフィジカルの国土計画含めて、どうトータルにコーディネートしていくかというのが、今後求められる。分散グリッドになったら人間の作業では対応できない。DX的な解決策が大事になる。
○再生可能エネルギーの充実には大賛成だが、デジタル化が進み電力需要が増える中で、再エネだけだとまかなえないという現実もある。水素アンモニアという非化石エネルギーないしは、LNGのような化石エネルギーだがCO2を地中化するなどオフセットするような炭素中立的なエネルギー、そういうものに即した国土計画っていうのも必要だと考えている。再エネだけで上手く行けるという風に思うと、ちょっとまずいですよという部分を認識共有したい。
○金融機関の役割として、トランジションファイナンスや、ESG金融に触れているが、残念ながら、実際の自治体は、脱炭素について非常に温度感の違いがある。国土計画によって、その自治体のコンセンサスづくりをサポートすることが非常に重要。国土計画によって、問題意識の中長期計画への落とし込みというのが非常に重要と考える。
○洋上風力については、雇用の確保等を含め地元自治体の期待が高まっており、また、観光の観点でも期待できると考える。今後は、カーボンニュートラルの視点だけでなく、港・臨海部を活性化していくことについて国土形成としても位置付けられるのではないか。
○CO2の吸収源は主に森林であるが、今後森林資源の成熟化により二酸化炭素吸収量は減少していく予測等を踏まえると、ブルーカーボンがどのくらいフォローできるかが重要となっている。島国である日本の国土の特性を踏まえて、カーボンニュートラルに取り組み、さらに地域活性に繋げていくことが大事である。
○2030年の日本のデータセンターの電力消費量は6倍になると見込まれているように、デジタル化によってCO2排出量が増大する見通しであることにも留意することも大事である。
○カーボンニュートラルの実現に向けて、多様な性質をもつ複数の地域が連携を積極的に進めるべきである。都市では経済活動は活発であるがカーボンニュートラルは達成しづらい一方、農山漁村では経済は衰退していてもカーボンニュートラルに対応する手段が豊富であったりするため、両者の長所を生かし連携した空間計画が重要である。
○将来の技術の進展やライフスタイルの変化を考えると、物流にも注目する必要がある。大手民間通販では地域によって配送料金が違うように、物流による新たな地域間格差が発生する恐れがある。効率性だけでなく平等性(ユニバーサルサービス)も大事であり、コストが関わるインフラの問題でもあるが、官民連携のロジスティックス検討についても国土計画で配慮していく必要がある。
○カーボンニュートラルについては災害対策にも関係する。日本の東西で周波数が違うことにより、災害時の電力の融通が難しい。日本の総発電量のうち周波数変換が可能なのは1~2%しかなく、これは安全保障上極めて重要な問題であり、この点についてどうすべきか国土を考える上で重要かと思う。
○私自身田舎に住んでいる身としては、田舎は恐らく将来的にインフラがなくなるのだろうと感じている。そういった意味で、自宅の自律住宅化を進めており4つの電池で生活している。その際、4つの電池の連携が難しいことや系統につなぐ際に様々な規制があることが問題として感じている。仕組みの部分を上手く作らないと普及させることは難しいと思う。
○例えば第二東名や第二名神などの高速道路において、完全3車線化をしなかったためにトラックの自動運転による走行が難しくなっていると思う。今からでも、東京-大阪間の高速道路の3車線化を進め、その内1車線をトラックの自動走行ができるようにすると言った考え方が必要かと思う。
○全ての道路インフラを維持できるとは思っていないので、維持しない道路をどうやって決めるのか、合意形成をそろそろし始めるべきと思う。
○10年後のことを考えれば、空飛ぶクルマというものも現実味を帯びてくると思う。その際、従来の道路を使わずに、恐らく川の上を飛ぶのではないかと思う。そうなると、今までの道路行政と河川行政の連携が必要になってくるため、このようなもっと先の交通がどうなるのかについて検討が必要になると思う。
○地域間交通について、従来型の企業活動や物流・観光需要だけでなく、関係人口・二地域居住など新たなライフスタイルの普及という要素を加えているが、これらは交通を考える上で新しい視点となると思われるので、重要視していきたい。これらを推進する上で、多拠点居住事業者が航空事業者やJRと連携して行ったサブスクリプションサービスの実証実験がヒントになると思う。
○リアルの人の流れとオンライン上の関係人口、情報の流れが、シームレスの関係にあると位置づけられるのではないかと思う。このように考えると、交通ネットワークの充実にあたっては、オンライン上の流れを活発化させることが前提になることにつながるのではないか。
○カーボンニュートラルについては、今回の資料で第5次環境基本計画にある「地域循環共生圏」の話がないことに違和感がある。第5次環境基本計画は同じ長期計画であるし、地域循環共生圏の取組についてはプラットフォームも作られ企業含め国民的な動きとなっているので、国土形成計画でも位置づける必要があるのではないか。
○再生可能エネルギーの推進は重要かと思うが、推進にあたっては周辺景観との調整が重要ではないかと思う。イギリスでも陸上風力発電に対する住民の拒否感が顕在化してきており、今後日本でも、営農型太陽光発電と周辺景観との間でコンフリクトが出てくると思う。景観との調整を考えることは、国土行政にふさわしい内容かと思うので、景観問題の観点も積極的に扱ってほしい。
○カーボンニュートラルの実現は国の横断的な政策目標であり、国土計画も同様に横断的な計画であり、両者の関係をわかりやすく整理することが必要である。また、国土形成計画の法定計画事項がカーボンニュートラルに大きく影響を与えるということがどういうことなのか書き記すことが必要である。
○カーボンニュートラルの実現のために国土形成・管理がどうあるべきか、カーボンニュートラルの様々な施策が国土形成・管理にもつ意味合いを記載する必要があると思っている。前者については、カーボンニュートラルに向けたシナリオは様々であるが、どのシナリオでも必ず必要とされるデジタル化や分散型社会といった共通要素を整理して、国土形成とどう関係するか書き記す必要がある。後者については、日本の将来の気候変動の影響は、経済と国土管理に大きな影響を与えるため、カーボンニュートラルへの取り組みは国土保全の問題であると明確にすることが必要。さらに、カーボンニュートラルの施策のトレードオフの関係となり得る地域の雇用や産業の喪失などを引き起こさないような国土の管理・活用について考え方を示す必要がある。
○ご議論いただきたいことに記載している内容は、様々な分野の施策を断片的に示されている印象であり、国土計画の性質からすれば、統合的なビジョンを示すことが必要と考える。中長期の観点を持った他の関連計画で言及されていない点もあるかと思うので、そういった計画を国土計画との関係で統合・反映していくことが大事である。
○再生可能エネルギーの導入によって、再エネのポテンシャルの高い地域に、エネルギーの代表事業者や事業施設が移っていくことは課題である一方、地域活性、地域分散型社会の実現、レジリエンスの観点等でメリットになるため、留意点に産業立地の適正化を入れ込む必要があるのではないか。
○インフラ老朽化更新時の脱炭素化についても留意点に入れるべきである。インフラの副次的活用を含めて、交通ネットワークやデジタル・電力ネットワークをどう統合的に制御していくかという観点が盛り込まれるべきかと思う。
○再エネの導入にあたり、災害時や更新時の対応の仕方も含めた導入時の計画が必要かと思う。例えば、個人の住宅に太陽光パネルを設置したものの、老朽化や建て替えの際の処分に困るといったことも考えられる。不要になったものについて処分に困ってしまうことは、将来の日本を考えると問題だと思うので、将来的な懸念も盛り込んでいただきたい。
○水素とアンモニアも重要な資源だと思うが、実際に日本での利用の可能性はどの程度あるのか気になるところである。今回のような戦争政変等によって他国からの輸入が難しくなるということも考えられるのではないかと感じている。
○スマートシティの中や地域生活圏間の交通において、今後自動運転や空飛ぶ車といったものが重要になってくるかと思う。その際、専用レーンの開発は重要かと思う。
○総合的にいまの議論を考えると、経済効果、経済価値の可視化が上手く表現されていない印象を受ける。2050年のカーボンニュートラル達成に向け、経済価値の可視化の議論を入れていくべきだと考える。世界的に、ESGの枠組みを国際的に作ったり、カーボンプライシングなどの動きがスピード感を持って進んでいる中、日本のカーボンニュートラルの目標達成のためには、経済価値の可視化を具体的なアクションに結びつける議論が必要だと思う。森林や交通手段など、社会全体の資本を経済換算して考えるとわかりやすくなる面もあると思うので、そういった議論がされていくよう道筋を示すべき。
○カーボンニュートラルに向けて様々な道がある中でも、イノベーションの観点は重要である。イノベーションを生むにはスタートアップの役割が大きく、今日ない技術やサービスを明日事業化するというコンセプトを、カーボンニュートラル実現のためにどう国土計画の中で議論していくか考える必要がある。なお、スタートアップに関しては他省庁でも様々議論されているので、国全体でやるべきこと、その中で国土計画がやるべきことを整理していかなければならない。
○計画の中で提言されることを効率的かつ効果的に実施するためには、デジタルを使ったシミュレーションと検証が重要。国土交通省のPLATEAU(プラトー)などを活用することを提案する。
○森林は、伐採の補助金があることによって、木材価格が低下し、植林をするという動機の低下を招いているという状況があると聞いている。おそらく森林だけではなくて、あらゆる部分で補助金を出すことが部分最適になっていて全体最適になってないものがあるように思う。経済分野にも繋がるところだと考えられ、実は経済不均衡、部分最適になっていないかということの検討は必要。
○交通について、現在、宇宙港の整備が各国で進んでいる。その中で日本は今、北海道、和歌山県、大分県が手を挙げてハブ宇宙港を目指しているという風に聞いている。随分先のことになるかもしれないが、いまから準備をしておくことが重要ではないかと感じている。
○国土計画を編集するにあたり、変化点、変曲点から編集をした方がよいのではないか。現在の表現の仕方だと、縦割りの表現となっている。委員各位が提供している視点の多くは、縦を跨いだ話となっている。縦でまとめられない横の視点、それが変化点だと思うが、それを中心に編集したらどうなるかということを示すことが国土計画の大事な役割。ミクロではなく巨視的・全体最適は言い換えると、横の視点をいくつか出すことを巨視的ということなのではないか。地域生活圏も横割りの視点だと考える。
○カーボンニュートラルにおいては記載いただいた内容はそのとおりかと思う。付け加えていただきたいこととして、産業の面で、様々なものを生産して消費した後に廃棄するという行為があるかと思う。廃棄にはゴミ処理と下水処理の2つがあり、長岡市ではゴミ処理については生ゴミから発電し、下水処理については下水汚泥からバイオマス発電を行っている。廃棄物を扱うことについて盛り込んでもよいかと思う。地産地消型のエネルギー生産でもある。国土全体の観点から致し方ないかも知れないが、例えば小千谷の水力発電所では、理論的に信濃川の水を全て使って発電し山手線を動かしている。200km以上の送電線で電力を運んでおり、その間のエネルギーロスを考えると、なるべく地産地消をやっていく手がかりとして再エネだけではなく廃棄物的なものも考えていただければと思う。
○日本の地形的に谷筋だけで高速道路を通しても足りないかと思うが、例えば資料3-2の26ページに記載のある高規格幹線道路等のミッシングリンクを見ると新潟県では3箇所あることが分かる。まさに高規格道路の整備の推進が、高速道路が足りない状況でも救急医療の体制に貢献できるといった面があるかと思う。また、高規格道路ではないが情報提供として、三条市の東側と福島県の会津三島の間に国道を通そうとしている。三条市側ではあまりメリットはないが、会津三島側から見ると救急車がその国道を通ることで三条市の3次医療の病院まで30分程度で着くことができるようになる。現状は会津若松まで行かなければならず、かなりの時間がかかる。このような事例は全国でも多くあるとすれば、ナショナルミニマム的な発想として、ありとあらゆる地域でという訳ではないが、地域に人が住み続けてもらい、国土全体をいかに維持するかという観点からも欠かせない視点ではないか。
○国土計画として総合的なビジョンが必要であるが、個別の観点になっている感じがある。オンラインの上で成り立つ社会を想定して、未来のカーボンニュートラルや交通、まちづくりの観点を考えるべきではないか。
○デジタル化が進むと通勤や出張が減る一方で電力消費が増えるなど言われているが、実際にはどのくらいの数字になるのか、今から算出して想像する必要がある。地域に人が行くことによる物流の増加も考えられるため、ある程度の数値を算出し物流のあり方の検討も行うべきだと思う。コロナ禍での生活もこうした変化に関するひとつの経験として捉え、未来のCO2排出量がどうなるのか、どんな暮らしになるか想像していくことが必要かと思う。
○物流も含めた交通量をデジタルでコントロールしていくことで、カーボンニュートラルの実現にも繋がるのではないかと思う。また、例えば送料が柔軟になるとカーボンニュートラルに貢献するといった視点もあると思う。
○交通について2050年を考えた際、メタバースの方がリアルよりも大きくなる可能性も含め想像した上で、どのようなエネルギーを使いどのような社会を作るか検討していくことができれば良いと思う。
○国土計画で10万人単位や小さなコミュニティを想定するのであれば、分散していることによるエネルギーの非効率はどの程度で、何によって対処するのか考える必要がある。
○前回までの議論においてはDXが念頭に置かれていたが、今回の交通インフラの議論ではあまり含まれておらず片手落ちにならないだろうか。教育においての多様性の確保や労働のマッチング、偶発的な出会いの創出などが実現するインフラ(仕組みなど含め)を整える必要があるのではないか。
○資料3-1の11ページに「インフラの廃止・除去、集約・再編の取組により、インフラストックの適正化を図る」とあるが、人々の無理な集約を回避し、ある程度の分散を許容する計画であるならば、曖昧にせず具体的な議論が必要ではないか。
○他の委員からも発言があったようにカーボンニュートラルの部分については、地域循環共生圏や第5次環境基本計画をどのように位置づけるのか。カーボンニュートラルは国際的な課題でもあり、我が国でも意欲的な目標を掲げているものであるが、これを国土という観点で考えていくことは、非常に重要なポイントである。この点について、どう整理をするのか、議論を整理した上で、また示してほしい。

(チャットによるコメント)
○相当規模の機動的な電源、水素やアンモニアが実用化されるまでは、天然ガスと、相当規模のベース電源すなわち原子力と、それが分散グリッドを確実にカバーできるような送配電網の再整備は必須。ドイツやスペインは今年の風力不足のピンチを他国と地続きであることで何とかしのいでいるが、日本はそうはいかない。
○財源に限りがあるなかでユニバーサルサービスを効率的に維持しようとすると、結局、積載密度を上げるしかない。社会的コストを最小化してそれを実現しようとすると、もっとも経済効率の悪いラストワンマイルの密度をどう維持するか、すなわち集住とラストワンマイル部分の共通化、相乗り化が事業者間、貨客間などあらゆる意味で重要である。
○国土という軸は最も巨視的、長期的、全体最適的な軸の一つなので、その軸からカーボンニュートラルの議論をすべき。
○自然エネルギーはその性格上、気候や地形による立地最適性に国内でも地域によって大きな差異がある。これは従来の電源との根本的な違いで、国土計画という脈絡ではこの視点での最適配置と適地不適地の間の公平性(エネルギー供給は公共財性を持つので)と分散グリッド間の相互融通システムと予備電源、ベース電源を担う系統電力とのトータルなフィジカルとオペレーショナルなコーディネーションが必須である。
○イノベーションをどんどん取り込むためには、国土計画そのものをレイヤー構造化して、比較的固定化されざるを得ないものの上に、可変的な新しいものを載せられるようにすることが大事である。
○高速道路ネットワークについて、延長など物理的な数量ばかりでなく、規制速度の遅さなど質的な側面でもわが国は遅れをとっている。また、大きな空港と都市圏の間を繋ぐ高速道路の車線数が少なく、渋滞が常態化している点なども、他国に比べて顕著に遅れている。こうした状況は地域間を繋ぐ一般道路の「質」においても、例えば歩行者や自転車の安全走行環境などが典型だが顕著である。

(以上)
※速報のため、事後修正の可能性があります。(文責 事務局)

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