国土審議会第11回半島振興対策部会議事概要
1.日 時 令和5年2月24日(金)10:00~12:00
2.場 所 中央合同庁舎第2号館1階共用会議室3A・3B
3.出 席 者 小田切部会長、沼尾委員、岡部特別委員、岸本特別委員(代理出席)、黒谷特別委員、坂田特別委員、重藤特別委員、高橋特別委員、玉沖特別委員、中嶋特別委員、中山特別委員、永澤特別委員、野口特別委員、山下特別委員
国土交通省 木村国土政策局長、吉田審議官、佐藤地方振興課長、出口半島振興室長
4.議 事
半島地域を巡る現状及び半島振興施策の概要について、事務局より説明。主な議論の概要は、以下のとおり。
《人材の育成確保について》
○ 過疎法では人材の育成確保が条文に書き込まれており、離島振興法では関係人口が目的に規定。半島も人材の育成確保が重要。
〇 地域づくりができるつながりコーディネーターの育成確保が重要。
○ 専門家を大都市圏から引き込むような仕掛けを工夫する必要。少額でいいので、渡し切り型の人材派遣支援ができないか。
○ 定住していても地域の担い手にはならない人もいる一方、来訪者でも地域と関わりを持ちたい人がいることを踏まえるべき。
○ まちづくりに関わる住民を作りたいと思っている側が、新しい時代に合わせた発想を持ってないと、新しい出会いや繋がりが生まれない。
○ 特産品の開発・ブランド化のノウハウが小規模自治体には不足。
《地域ブランド化について》
○ 半島の強みに関する情報を把握すべき。
〇 半島のブランド化や地域内経済循環等、経済の質を考えるべき。
○ ブランド化とは、差と個性。他になくて半島にあるもの、個性や持ち味を誇ってブランドを作っていく取組が大事。唯一無二の地域を作るという考え方によって高い価値が生まれる。
○ コストに基づき値付けする考え方に捕らわれがちだが、共感してくれる者が価値と感じる価格で売る発想が大事。
○ 戦略を持って差別化をどう図るか。商品の価値が見た目から連想されるパッケージ等、売り方も含めて工夫が必要。
○ 半島の多様性の視点が今後ますます重要。ウェルビーイング等、ストーリーも加え言語化しながら伝えていくこと。ファンを作りながら、地域の方向性を示していく工夫が大事。
○ 人口減少や高齢化が進んでいく中、一律の振興は困難。地域毎の個性を生かした考え方で、自分のまちをこうしたいという意思を持っている人が、戦略を立てて実行したときに、初めて自立支援策等のお金や政策が生きてくる。
○ 半島はインバウンドを受け入れる対象となり得るため、景観も含め、美しい半島づくりも目標となり得る。
〇 国土交通省の半島の食のブランド化推進事業に期待。ぜひ継続いただきたい。
《広域連携、地域内経済循環について》
○ 半島は広域であり、道府県と市町村、市町村でも町と村、中山間部と都市部で地域づくりの方向性が違うことがある。道府県単位の計画と市町村の活動にも温度差を感じる。計画作成のプロセスも重要ではないか。
○ 半島で中核的な役割を担う自治体は、過疎法の対象から外れており、サポートが弱いので、過疎法とオーバーラップしている事項も配慮すべき。
○ 半島の根元部分と半島の経済は密接に結びついており、半島部分が廃れていくと根元部分の経済も危うくなる。
○ 地域内経済循環の考え方を根づかせるべき。稼いだ後にどう使うかまで考えて、初めて地域は豊かさを享受できる。
○ 里山資本主義の考え方で、温泉のボイラーで使用している重油を木質バイオマスに代えれば、地域内の循環が生まれる。
《自然環境保全・再生について》
○ 30by30や国立公園の重なり等、自然環境保全・再生は法改正における柱の1つとすべき。
○ SDGsや生物多様性、世界農業遺産といった価値を、半島の価値と紐づけていくことは重要。
○ 自然環境保全のための土地利用ルールを整備する必要。外国資本含め、乱開発対策について考え方を整理すべき。
○ 再生可能エネルギーは、洋上風力の動きあり。ブルーカーボンの取組も大事。
《その他》
〇 デジタル活用が大事。半島にも光ファイバー網は整備されており、デジタルインフラに関しては不利性がほとんどないが、ラストワンマイルの整備や省人化等の活用面が遅れている。
○ 人材育成確保、自然環境保全、再生可能エネルギー、移住定住の促進等、過疎法と重複していても、半島振興法にも配慮規定を設けるべき。
○ 海の恵みを使いつつ、海の脅威もある地域。津波対策の備えは十分か。
○ 高規格道路等、交通基盤の整備が遅れている。
○ 一次産業関連資材は、物価高騰に苦慮しており、食料安全保障の観点からも対策が必要。
(速報のため、事後修正の可能性があります。)