1.令和6年9月6日(金)15時より、中央合同庁舎3号館11階特別会議室において、国土審議会第5回山村振興対策分科会が開催された。
議題は以下のとおり。
(1)山村振興施策について
(2)その他
2.山村振興施策について事務局より説明し、今後の山村振興対策等について審議が行われた。
[主な意見]
・山村振興においては、外からの人だけでなく、障害を持っている方などを含めてもともと地域にいる様々な人を巻き込んで一緒に取り組むと良い。山村地域でも慢性期医療は必須であり、医療と福祉、教育という面をもっと山村振興に含めるべき。郵便局は交通や物流の拠点であり、人が集う場にもなるので、地域インフラとして山村振興のプラットフォームに入れてほしい。郵便局やJAは山村振興の主体のひとつになりえる。
・山村の素晴らしさや役割を示すとともに、条件不利性もきちんと明示すべき。最近、自営業によるIターンが見られるなど、山村においては雇用と異なる働き方が求められているので、雇用に限らず自営も含む就業の確保という言葉を使用した方がよい。移住策を検討する山村自治体が多いので、子育て支援についても含めるべき。
・企業が環境貢献活動を活発に行う中で、農山村の集落に長期的なスパンで入るようになっているので、1つの企業が1つの集落に対してふるさとを持つ「企業一山村づくり」のような施策もあっていい。長期的に人口が減る中で、山村は国土保全、水源涵養、防災など国民生活に欠かせない公共財を有していることから、新しい国土計画のような土地利用政策をつくる必要がある。山村の豊富な資源を活かし、産・官・民が連携して国産の商品生産のプロジェクトを創出することで、山村発の日本農業イノベーションができてくるのではないか。健康問題を国家財政に関わる課題として捉えるならば、健康の維持・改善に森林など山村の資源を活用する等、国民経済の中に山村経済を当てはめ、将来の国土グランドデザイン計画の中に位置付けていくことでも、イノベーションにつながる。新しい人たちが地域に入った時に、コミュニティにどのように関わり、それをどう進めるかという施策も必要。豊富な山村の資源を見直して、国土政策との関連を位置づける時代にきており、山村を根本から見直すために、振興策よりも基本法の検討が必要。
・山村が有する、里山を手入れすることで人間も山も豊かになるという共生の点、人間性を回復する機能・癒やしや安らぎをもたらす働き等を有しているというウェルビーイングの視点や、都市と山村が共生・対流する循環型社会が理想であり、都市の人のメリット、ベネフィットになるという点に配慮すべき。都市の人が未来の自分たちのために山村に投資するとの考え方を生かしてほしい。二拠点居住を進めるのは重要であり、都市と農村を両方取るという新しいライフスタイルを進めてほしい。
・山村振興活性化支援交付金については、非常に効果が出ていると実感しており、地域の活動が全体的にレベルアップしている。過疎地では人手不足が深刻になっており、機械化やDXで効率化を考えなければいけない。二地域居住は楽しみな施策であり、各地でコワーキングスペースの整備が進んでいるが、これを山村で支店登記すれば法人税が入り、荷物を預けられるサービスがあれば、より活性化するのではないか。起業の支援も重要。
・都市住民への山村に対する正しい理解を戦略的に深めることが必要。山村として人が住んでいる地域を維持する意義は必ずある。山間部の小学校の閉校が相次いでいるが、都市が必要としている空間、都市が絶対提供できない教育の機会を提供していく力が残っている山村地域では、その機能を維持する政策支援が必要。教育と地域振興は一体化し、国が子供の健全な育成を国のリスク管理として進めるべき。
・山村では、農林漁業といった一次産業が大事なので、若い人が商品の高付加価値化など新しいことにチャレンジできるよう、新しい取組のDXに対して支援してほしい。若者が都会から戻って働ける場、特に一次産業で稼げる場の整備を進めるのが大事。
・二地域居住の促進については、遠隔地の自治体間での財政的な支援と情報や人の交流・往来へのサポートが課題であり、遠隔自治体間でそれをサポートしていける仕組みを考えることが必要。山村に関して豊かな地域を作るポジティブなアイデア、知恵や技などを整理し、美しい景観やそれを活かすことを含めたビジョンの構築等の支援を国が検討することが大事。施策の前提となるビジョンの共有やプラットフォーム構築に向けた人材の派遣・交流等を打ち出すことが大切。
(速報のため、事後修正の可能性あり)