運輸企業の組織的安全マネジメント手法に関する調査研究
全国の市町村長及び特別区長における地域づくりに関するアンケート調査(概要)
◆要旨
1. 調査の目的
21世紀に向けて、国土の均衡ある発展のために必要な国土づくりとともに、生活者的な視点に立った「豊かで住みやすい」地域づくりを推進していくことは、我が国の重要な政策課題である。
「豊かで住みやすい」地域づくりの基礎となる自治体は市区町村であり、全国の市区町村においては、地域住民のニーズや予想される社会潮流の変化に対応しつつ、さまざまな課題を抱えながら、地域づくりに取り組んでいるものと考えられる。
そこで、本調査は、地域づくりの責任者である市町村及び東京都23特別区の首長にアンケートを実施して、各市区町村における「豊かさ・住みやすさ」のの自
己評価、地域づくりの現状と問題点、目標とする都市類型等について、首長の意向を直接把握しようとするものであり、この調査結果については、今後、建設省
が地域づくりの支援策を検討する際の基礎的な資料として活用することとしている。
2. 調査項目
既存の資料により、市区町村の基礎的属性(人口規模、就業者比率等)を基礎指標として整理するとともに、下記「アンケートの質問項目」により、当該市区町村における「豊かさ・住みやすさ」の自己評価、地域づくりの現状と問題点、目標とする都市類型等を把握する。
《アンケートの質問項目》
問1各市区町村における豊かさ・住みやすさの評価
問2各市区町村における豊かで住みやすい点について
問3各市区町村における豊かでなく、住みにくい点について
問4各市区町村における今後の地域づくりにあたっての問題点及び解決のための施策
問5各市区町村における現在及び目標とする都市類型
問6各市区町村における目標とする将来人口
問7各市区町村が地域づくりを進めていく上で、関心の高い、あるいは影響が大きいと思われる社会潮流の変化
3. 調査の実施方法
(1)調査実施時期:平成6年1月〜2月
(2)調査対象:全国の市町村及び東京都23特別区の首長
(3)調査対象自治体数:3,258団体
(4)回答のあった自治体数:2,465団体(回答率75.7%)
4. 調査結果の概要(主な調査結果)
1)各市区町村はどの程度の豊かさ・住みやすさか
1.豊かさ・住みやすさの程度が「高い」「やや高い」とする自治体は32%、「ふつう」とする自治体は43%、「やや低い」「低い」とする自治体は23%である。
2.地域別には、大都市地域と北陸地方等で評価が高く、北東北地域及び西日本の一部の地域等で評価が低い。
2)豊かで住みやすい点と豊かでなく住みにくい点は何か(1〜3位の選択)
1.自治体全体では、豊かで住みやすい点として、「自然環境が良好である」(78%)、「住環境が良好である」(60%)を挙げる自治体が多い。一方、豊かで
なく住みにくい点としては、「就業機会が不足している」(67%)、「街ににぎわいが足りない」(58%)、「交通の利便性に欠ける」(56%)を挙げる
自治体が多い。
2. 大都市圏の既成市街地では、豊かでなく住みにくい点として、「住環境に問題がある」(75%)、「自然環境が良くない」(57%)を挙げる自治体が多く、他の地域とは異なる特徴が見られる。
3)これらの課題を克服するための施策は何か(自由記入)
【大都市圏の既成市街地】
1.大都市圏の既成市街地では、住宅・住環境対策、都市基盤施設の整備、都市防災対策が求められている。
2.特に都心部においては、定住人口の回復、都心居住の推進のために住宅・住環境対策が必要であるとする自治体が多くみられる。
【その他の地域】
3.大都市圏の既成市街地以外の地域では、道路整備等の交通基盤のほか、就業機会の確保や街の活性化のための対策が求められている。
4.中山間地域、過疎地域を中心にした地方圏では、定住・交流基盤の整備や地域の連携を進めようとする動きがみられる。
4) 現在の都市類型及び将来目標とする都市類型は何か(1〜3位の選択)
1.現在の都市類型を「農業振興型」(65%)、「自然尊重型」(51%)、「生活・居住機能型」(42%)とする自治体が多く、将来目標とする都市類型では「生活・居住機能型」(49%)、「観光・レクリエーション型」(45%)とする自治体が多い。
2.都市類型別に伸び率《「将来目標とする都市類型」の「現在の都市類型」に対する倍率》をみると、「情報通信機能型」(8.1倍)、「学術・研究機能型」(5.4倍)、「先端技術産業型」(3.4倍)が高い伸びをみせている。
5) 地域づくりを進めていく上で、今後、我が国で起こると予想される社会潮流の変化の中で、関心の高い、あるいは影響が大きいと思われるものは何か(1〜5位の選択)
1.ほぼすべての自治体が「高齢化の進展」(97%)について非常に高い関心をもち、「環境との調和」(71%)もかなり高い。次に「過疎化の進行」(49%)、「国民の価値観の多様化」(48%)についても関心は高い。
2.人口規模別に関心が特化している事項をみると、人口1万人未満の自治体で「過疎化の進行」、1万人以上10万人未満の自治体で「都市化現象の進展」、5万人以上の自治体で「情報化の進展」、10万人以上の自治体で「国際交流、外国人労働者問題などの国際化」に関心が高い。
5.調査結果から導かれる政策課題
調査項目 |
調査結果の概要 |
政策課題 |
1.「豊かさ・住みやすさ」の地域別格差[問1関係] |
地域間の格差は大きい(大都市地域で高く、北東北地域・西日本の一部で低い) |
国土の均衡ある発展を図るための政策 |
2.地域づくりの課題解決のための施策[問4関係] |
【大都市圏の既成市街地】
・住宅対策、都市基盤整備、都市防災対策
【うち都市部】
・人口の空洞化、住環境が劣悪、地域コミュニティの崩壊→総合的な住宅・住環境対策
【大都市圏の既成市街地以外の地域】
・中山間地域・過疎地域等の地方部では、《定住・交流基盤の整備、地域の連携化》を求める自治体が多い
・定住対策企業の誘致、道路整備、住宅対策、住環境整備、住み良い街づくり、生活関連施設整備
・交流及び地域連携対策多くの自治体が道路整備
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【大都市圏の都心部】
都心居住(人口の定住化)を促進するための総合的な住宅・都市政策
【中山間地域・過疎地域等】
定住・交流基盤の整備、地域の連携化を支援するための政策
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3.地域づくりに大きな影響を与える社会潮流[問7関係] |
【高齢化の進展】
どの地域でも圧倒的に高い(全自治体97%)
【環境との調和】
どの地域でも高いが、特に大都市部で高い(全自治体71%、既成市街地89%)
【情報化の進展】
既成市街地(57%)地方中枢中核都市(51%)地方拠点都市(47%)近郊整備区域(41%)で高い
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福祉・環境・情報等の新たなニーズへの対応(バリアフリーの街づくり・福祉インフラの整備、水・緑豊かな環境づくり、情報通信基盤の整備等) |
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