国土交通省 国土交通研究政策所 Policy Research Institute for Land, Infrastructure, Transport and Tourism

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 国土交通政策研究所は、国土交通省におけるシンクタンクとして、内部部局による企画・立案機能を支援するとともに、 政策研究の場の提供や研究成果の発信を通じ、国土交通分野における政策形成に幅広く寄与することを使命としています。
  

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 ● 報告書概要


 バリアフリー化の社会経済的評価に関する研究

◆要旨

本格的な少子高齢社会にあって豊かで活力ある社会を保つためには、高齢者や障害者を含めた全ての人々が社会活動に参加できるよう、生活空間のバリアフリー化が重要な課題である。本報告書では、バリアフリー化施策の推進にはその社会経済的効果を評価し、広く国民に示していくことが有効であるとの認識にたち、評価の現状及び課題について、全4章にわたってとりまとめた。
第1章では、アカウンタビリティ向上や効率的・効果的な施策推進の観点から、バリアフリー化の社会経済的評価を行うことが有効であること、またその際には将来の経済社会がどうなるか可能な限り想定する必要があることを確認した。
第2章では、バリアフリー化の社会経済的評価事例の整理を行った。国内については、住宅・公共交通・歩道等に関し代替法やCVMを用いて評価を試みた事例を収集整理した。また海外については、建築物、公共交通のバリアフリー化に関する法令・基準の規制インパクト分析を中心に収集整理を行った。規制インパクト分析では、高齢者・障害者と事業者(交通事業者、建築主等)との間の調整が大きな課題となっている。また、便益計測は概して定性的となっている。
第3章では、現時点における評価の課題をとりまとめた。評価にあたっては、今後の少子高齢社会がどうなるのか、どのような施策によってバリアフリー化を進めるのか、バリアフリー化によって誰にどのような便益が帰着するのか等について考慮しつつ、我が国の実状に合わせた各種評価(費用対効果分析、規制インパクト分析、マクロ経済的・社会的評価等)のあり方について検討する必要がある。
第4章では、各国のバリアフリー関連施策の概要及び制定経緯についてとりまとめた。各国の経緯を見ると、高齢者や障害者等の権利の確立、生活の質の向上の重要性が主張される一方で、事業者の費用負担増加に対する反論が寄せられており、制定後も幾多の議論が重ねられている。しかしながら、各国とも20〜30 年にわたる議論及び実際の整備効果を実感することの積み重ねにより、国民全体の意識が醸成され、徐々に合意形成が図られてきており、その合意形成の手がかりとして、第2章で見る各種評価も活用されていることが分かった。
我が国においても、急速な少子高齢化の中、このような諸外国の先例を参考としつつ、社会経済的評価を手段の一つとして用いながら、バリアフリー化施策の一層の推進を図っていく必要があると考えられる。

◆発行

PRCNOTE第26号/平成12年6月

◆在庫

<在庫切>

◆詳細

詳細(PDF:1.4MB)