バリアフリー化の社会経済的評価の確立へ向けて
〜バリアフリー化の社会経済的評価に関する研究(PhaseII)
◆要旨
我が国は、今後、世界でも類を見ない速さで高齢化が進展し、2050
年には実に3人に1人が65歳以上の高齢者となる超高齢社会となる。このような社会の中で、豊かで活力ある社会を保つためには、高齢者及び障害者を含むす
べての人々が社会参加できるよう、生活空間におけるバリア(障壁)を除去することは重要な課題である。
我が国でのバリアフリー化の取組みは、先進的な地方公共団体で始まり、現在では、国・地方公共団体においては、ハートビル法(1994年)、交通バリアフ
リー法(2000
年)をはじめ、法律・条例等の制定、基準・ガイドライン等の策定、各種事業、補助、助成等を行っているところである。しかしながら、バリアフリー化の水準
は以前と比較すれば向上しているものの、まだまだ満足できる状態にはほど遠い。国・地方公共団体の財政状況、高齢化の進展速度、それに伴う投資余力の減
退、バリアフリー化された施設のストック量を勘案すると、今後より一層バリアフリー施策を実施していかなければならない。これらのバリアフリー施策を行う
ためには、直接的または間接的に国民に負担をかけることになるため、この施策に関する国民のアカウンタビリティーを高め、理解・支持を得なければならな
い。そのための一つの手法として、バリアフリー施策の社会経済的評価は非常に重要と思われる。
そこで、本研究は、バリアフリー化の社会経済的評価に焦点をあて、その手法を確立するために必要となる論点を提供することを主たる目的とする。さらに、バ
リアフリーの位置づけ・あり方、これまでの経緯をとりまとめるとともに、バリアフリー化の効果計測のための現地調査のケーススタディ、さらに海外での動向
の整理を行い、バリアフリー施策に資することも目的とする。
なお、本報告書は、旧建設省建設政策研究センター時の平成11年度より取り組んでいる「バリアフリー化の社会経済的評価に関する研究」の2年目の成果をと
りまとめたものである。また、平成12
年度は「バリアフリー化の社会経済的評価に関する研究会」を設置し検討を行い、研究会参加の先生方と当研究所で分担して本報告書の執筆を行った。
|