国土交通省 国土交通研究政策所 Policy Research Institute for Land, Infrastructure, Transport and Tourism

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 国土交通政策研究所は、国土交通省におけるシンクタンクとして、内部部局による企画・立案機能を支援するとともに、 政策研究の場の提供や研究成果の発信を通じ、国土交通分野における政策形成に幅広く寄与することを使命としています。
  

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 ● 報告書概要


 都市環境施策の社会的・経済的影響の定量評価に関する研究

◆要旨

1.多面的評価の必要性

 昨年度において研究を行ったCO2排出削減に関する施策効果の定量評価は、地球温暖化対策の推進にあたっては重要なデータとなる。しかし、施策というものは一般に単一の目的というよりも複数の目的を持って実施されることが多く、また、施策の効果も主たる効果の他に副次的な負の効果も含めて多面的なものである。
 例えば、CO2は局地的濃度が問題とされることはほとんどなく、都市圏全体の排出量が問題となるのに対し、NO2は都市圏全体の排出量よりも局地的濃度が問題となる。このような場合、都心居住型都市構造は、都市圏全体の排出量を削減するためには効果的であるが、都心部の密度が高まることにより、NO2の濃度が局地的に高まる可能性もある。逆に、副都心型都市構造は、都市圏全体でのCO2排出量は高まるが、都心部のNO2の局地的濃度は分散されて低下する効果がある可能性がある。
 また、施策の効果は環境負荷の削減にとどまらず、生活の質や経済といった社会的・経済的影響もあるものである。都心居住の推進により、生活の質はどう変わるか(利便性の向上と快適性の減少の両面があると考えられる)といったことも考慮する必要がある。
 そこで、本研究においては施策効果の評価項目をCO2から他の環境負荷項目や生活の質、経済という幅広い視点も加えて拡張し、多面的に評価していくこととする。

2.評価体系

 評価指標は、環境負荷、生活の質、経済の3つを対象とし、それぞれについて評価モデルを構築する。また、このうち生活の質は、住民の満足度を表す総合的な評価指標としてとらえ、環境負荷や経済のモデルからの結果も加味して評価する。
 対象とする施策は、都市環境施策に加えて、生活の質や経済に大きな影響を与えると考えられる道路整備や鉄道整備も対象とする。都市構造(都市圏内の人口配置)については、先のシミュレーションでは外生変数として与えたが、ここでは土地利用モデルを構築し、交通施策による交通サービス水準の変化やゾーニングによる誘導により、都市圏内でのゾーン間での人口移動を内生変数として予測することができるようにする。
 これらの評価モデルは、先に構築したCO2排出モデルを発展させて構築する。

3.総合評価

 これら環境負荷、生活の質、経済の3つの評価軸から、施策のプラス面とマイナス面を合せて、都市構造施策、交通施策、民生施策を多面的かつ総合的に評価するモデル体系を構築する。総合評価の方法としては、効果の全てを貨幣ターム等、一元的な指標に集約する方法(AHP手法)、各評価軸を活かして評価する多元的な方法(FactorProfile法、GoalAchievement Matrix法。簡単に言えば、グラフ、表による表現。)がある。
 ここでは、施策効果の多面性を表現することができる後者の方法を中心に研究を進める。また、環境負荷、生活の質、経済の3つの視点間における因果関係を分析し、人口、各種評価指標の動きを経年的に表現する評価システム(システムダイナミックス)についても検討することとしたい。

◆発行

国土交通政策研究第31号/平成15年12月

◆在庫

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◆詳細

詳細(PDF:13.3MB )

◆事後評価

内部評価シート(PDF:8KB)
有識者評価シート(PDF:7KB)