国土交通省 国土交通研究政策所 Policy Research Institute for Land, Infrastructure, Transport and Tourism

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 国土交通政策研究所は、国土交通省におけるシンクタンクとして、内部部局による企画・立案機能を支援するとともに、 政策研究の場の提供や研究成果の発信を通じ、国土交通分野における政策形成に幅広く寄与することを使命としています。
  

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 ● 報告書概要


 J-REITのリターンに関する研究

〜第1編〜

J-REITリターンのイベント・スタディー
−新規物件取得の発表に対するJ-REITのリターンの反応−
(2001年9月から2004年3月まで)

◆要旨

本論文は、イベント・スタディーの手法を用い、上場時に取得予定が公表されていない新規の物件取得に関する発表がJ-REITのリターンに与える影響を分析する。
J-REITが投資家の利益のために運営されていることを前提に、物件取得がインサイダー情報であることを考えれば、(上場時に予定が公表されていない)新規物件の取得の発表に対するJ-REITのリターンの反応は非負(おそらくは正)で、それは発表が価格に反映され得る最初の日であるイベント日以降(おそらくはイベント日)に起きるはずである。
本論文では、2001年9月のJ-REIT市場開設以降から2004年3月までのデータを用いて、これらの予想を実証的に検証した。その結果、新規物件の取得の発表に対し、J-REITのリターンは概ね正の反応をするものの、その反応は公表以前に始まっていることが確認された。
このことは、物件取得に関する情報が公表前に市場に伝わっている可能性を示唆し、J-REIT市場における情報伝達や価格形成のあり方に問題がないか、精査を求めるものである。

〜第2編〜

J-REITのリターンの分析
−2001年9月から2004年3月までの週次データによる分析−

◆要旨

本論文では、2001年9月14日から2004年3月26日までの週次データを用いてJ-REITと株式・債券の超過リターンの関係を、同時点における影響及び異時点の波及効果という観点から分析した。
この結果、同時点の関係については、東証指数(二部)で表される小型・低流動性株式の超過リターンの変動がJ-REITの超過リターンの変動に強く有意な影響を与えることが確認された。
一方、異時点の関係については、小型・低流動性株式はJ-REITに対して説明力を持たず、代わりに債券や電力・ガス株式の超過リターンの変動がその次の週のJ-REITの超過リターンの変動に有意に影響を与えることが確認された。
さらに興味深いことに、時間の経過と共に、J-REITに影響力を持つものが電力・ガス株式から債券に変化したことも確認された。
このような変化をJ-REITの投資対象としての位置づけから捉えるなら、投資家は、J-REITを大型・高流動性株式(TOPIX)とは無関係に扱い、小型・低流動性株式(TOPIX2)との関係で捉えており、ディフェンシブ株式という位置づけを弱め、債券との関係を結果としてより強く反映させる投資を行うようになってきたといえよう。

◆発行

国土交通政策研究第35・36号/平成16年8月

◆在庫

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◆詳細

詳細(PDF:160KB)