ICカードを活用した都市交通におけるCRM戦略に関する調査研究 III
−ITを活用したマルチモーダルな交通環境家計簿に関する実証実験−
◆要旨
京都議定書に基づく二酸化炭素の削減目標を達成する上で、産業部門と比べて排出量が増加している運輸・民生部門の対策強化が求められているが、特に運輸部門では、排出量増加の主要因である自家用自動車から公共交通機関へ利用転換させることが求められている。
この点に関し、交通需要マネジメント(TDM)の手法の一つとして、社会構造を変革せずに個人の良識や認知等の心理的要因に働きかけることで自発的な交通行動変更を促す施策(心理的方略)があり、その一つとして、人々の交通行動を調査し、それをフィードバックすることで交通行動の変容を期待するフィードバック方略(TFP:TravelFeedbackProgram)の取り組みが行われているところである。
そこで本研究においては、乗車券機能を有する交通系ICカードから得られる公共交通の利用履歴、GPS機能を持つ車載端末から得られる自動車の利用履歴をもとに、その利用者のCO2排出量等を算出した「マルチモーダルな交通環境家計簿」をWEB上に作成しPCや携帯電話を通じて提供し、また、モニタに自らの交通行動に関するプランの作成の依頼やアンケート調査を行い、モニタの交通行動や心理指標の変容を検証する実証実験を行った。
本研究の実施に当たっては、「ITを活用したマルチモーダルな交通環境家計簿に関する研究会」を設置し、東京工業大学大学院理工学研究科藤井助教授、北海道開発技術センター原理事、東京工業大学大学院理工学研究科谷口特別研究員にご指導いただいた。本報告書の第3章については、藤井助教授及び谷口特別研究員に執筆していただいた。また、実証実験の実施にあたっては、札幌市並びに札幌総合情報センター、NTTデータ、NTTドコモをはじめとする関係の方々から多大な協力を賜った。
本報告書発刊に当たり、ここに厚く感謝の意を表する次第である。
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