政策効果の分析システムに関する研究 II
−港湾投資の効果計測に関する分析−
◆要旨
港湾投資の最も典型的な経済効果は、輸送に係るコストの縮減である。特に、国際海上コンテナ輸送市場においては、大水深のコンテナターミナルの整備と連動し、コンテナ船を大型化して単位貨物あたりの輸送コストを削減する行動が盛んであり、港湾投資の経済効果が顕著に出現している。
港湾投資の経済効果については、これまで主として個別の港湾整備プロジェクトの経済効果を、港湾投資の事前評価あるいは再評価の一環で推計してきた。しかしながら、港湾投資がもたらした経済効果を、市場の変化の実測値を用いて事後的に分析した研究事例は少ない。
そこで、本研究では、国際海上コンテナ輸送市場を対象とし、我が国の港湾投資政策による経済効果を定量的に把握するモデルを構築した。また、構築したモデルを用いて、過去の港湾投資の経済効果、及び将来の港湾投資政策による経済効果を試算した。
本研究は、国土交通政策研究所が平成14年度より実施している「政策効果の分析システムに関する研究」の一環であり、国内航空分野における規制緩和及び航空ネットワーク拡充を対象とした政策効果分析(国土交通政策研究第13号2002年12月)に引き続く港湾・海事分野の政策効果分析研究である。研究の実施にあたっては、「政策効果分析システムに関する研究会ワーキンググループ」を設置し、ワーキンググループでの議論を踏まえ、研究成果をとりまとめた。とりまとめにあたっては、研究会の座長である森杉壽芳東北大学大学院教授、ワーキンググループの座長である上田孝行東京工業大学助教授をはじめ、ワーキンググループに参加された学識経験者や国土交通省の関係者の方々等から貴重なご意見をいただいた。また、調査・分析作業について(株)三菱総合研究所に御協力いただいた。ここに深く感謝の意を表する。
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