国土交通省 国土交通研究政策所 Policy Research Institute for Land, Infrastructure, Transport and Tourism

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 国土交通政策研究所は、国土交通省におけるシンクタンクとして、内部部局による企画・立案機能を支援するとともに、 政策研究の場の提供や研究成果の発信を通じ、国土交通分野における政策形成に幅広く寄与することを使命としています。
  

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 ● 報告書概要


 ドイツ、フランス、オランダの郊外の土地利用コントロールに関する研究

  −我が国の人口減少社会における土地利用コントロールに向けて−

◆要旨

 人口減少社会において都市全体が持続的であり続けるためには、中心市街地の持続的・保全的都市更新と同時に、郊外の適正な土地利用に重点を置いた政策が必要であると考えられる。このため、国土交通政策研究所では、平成16-17年度の2ヵ年で、人口減少下の我が国が今後進めていくべき土地利用コントロールに関わる知見を得ることを目的に、持続性を重視した土地利用コントロールを行おうとしているドイツ、フランス、オランダの法制度とその運用とともに、国内の条例等による取組み事例等を調査し、検討を行った。
 ドイツ、フランス、オランダの持続性を重視した土地利用コントロールには、それぞれ特徴がある。
 ドイツの特徴は、連担市街地・外部地域制度を基にした現状の個別判断による土地利用コントロールにある。連担市街地・外部地域制度は周辺と同レベルの建設を認めることを基本とし、周辺と異なる土地利用を行う場合には、原則としてBプランを策定し、この計画に基づき建設が行われる(建設法典30条、34条)。周辺がどのような土地利用を行っているかは、現況から敷地単位で判断される。外部地域は、Bプラン策定区域・連担市街地以外の建物が集合していない土地すべて(森林や農地等を含む。)である。外部地域における新たな建設は原則として制限され、特別の条件に適合した場合にのみ許可される(建設法典35条)。また、外部地域を連担市街地とみなす条例を策定し、連担市街地の建設許可基準を適用する方法もある(建設法典34条)。
 フランスの特徴は、市町村が土地利用のコントロール手法を選択できることである。PLU(建設可能な範囲を含む区域指定や、詳細な土地利用の規定が盛り込まれる都市計画)あるいは市町村図(建設可能な範囲が線引きされる都市計画)を策定するか、いずれも策定せずに全国一律の規則にのみ従うかという土地利用コントロールの手法のうち、いずれを選ぶかを市町村が決める権限を持つ。PLUや市町村図を策定しない場合には、「建設可能性の制限の原則」(都市計画法典L111-1-2条)によって、市街地以外での建設が原則制限される。新たな建設行為は、市町村全域を対象とするPLUや市町村図において建設可能と指定された土地に限られる。
 オランダの特徴は、既成市街地外において、Bmプランの策定が義務付けられ(空間計画法10条1項)、この計画によって全面的に土地利用がコントロールされることである。Bmプランが一度策定されると、既存の計画に沿わない建設行為を行う場合には、計画の変更が必要であり、新たな建設により市街地になった後も、変更されたBmプランによって引き続き土地利用がコントロールされる。
 また、ドイツやオランダでは地域計画、フランスではSCOTという広域の計画があり、州政府等の上位機関が策定する場合と、市町村が策定主体になる場合が見られる。市町村レベルの都市計画は、広域の計画に整合することが求められており、合わない場合には、市町村レベルの都市計画の策定や改定が許可されない場合もある。広域の計画を策定する場合には、関係機関による調整等がされている。
 ドイツ、フランス、オランダとも、都市計画に関する権限は、基本的に市町村が有しているが、場合によって上位機関(ドイツは州政府や州管区政府等、フランスは国が任命した県プレフェ、オランダは州政府)が関与し、環境保全といった広域的な視点等から調整を行っている。
 ドイツ、フランス、オランダの土地利用における原則は、現状の維持を重視し、郊外における新たな建設を制限し、都市計画の策定等を行った場合にのみ、その計画に従った建設を許可する仕組みになっている。一方、日本では、都市計画区域外で新たな建設を制限するためには都市計画の策定が必要になる。
 このように、ドイツ、フランス、オランダと日本とでは、都市計画の策定等に、上位機関とのやりとり、住民参加等を含む手間のかかる一定の手続きが必要であるのは共通だが、前述のように、新たな建設を巡って、都市計画の策定等が必要となる局面が逆になっている。
 その他、連担市街地・外部地域制度(ドイツ)や、Bプラン(ドイツ)、PLU(フランス)、Bmプラン(オランダ)等の策定において、敷地単位での詳細な検討が行われている点が特徴的である。
 なお、新たな建設に対するコントロールは重視されているが、建設可能な土地の範囲を縮小するような、市街地を縮小する方向の事例はほとんどみられなかった。



◆キーワード

土地利用、都市計画、郊外、ドイツ、外部地域・連担市街地、Bプラン、フランス、PLU、市町村図、オランダ、Bestemmingsplan

◆発行

国土交通政策研究第67号/平成18年3月

◆在庫

<在庫切>

◆詳細

詳細(PDF:8.6MB)

◆事後評価

内部評価シート(PDF:12KB)
有識者評価シート(PDF:12KB)